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女性、生きる、異世界、何で?  作者: かっちゃん
第一章 転生
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三話

内容を整理しよう。

言いたいことは三つある。


一つ目。身体能力欄。

こういう身体能力って、普通STRとかINTとかいう表示がされるもんじゃないの?何?握力とか100m走とかいう具体的な計測標目は。それも全部細かい数字が出てくるわけじゃないし。しかも評価が雑だ。ゴミて!ゴミて!

項目が異常に多いというのも問題である。1ページ13項目くらいあるのが100ページ程度見えた。どうやって参照しろっちゅうねん。

なんか検索機能という妙に便利な機能がついていたから試してみたら「戦闘能力(数値)」という項目があった。こんな便利なもんがあるんなら一番上にもってこいや!


戦闘能力(数値):−100 足手まとい


まぁ結果は大体わかっていたけどさ!

しょうがねぇだろ。赤ちゃんなんだから。



二つ目。固有スキル。

「贖罪」という文字が見える。食材?職材?いえ贖罪。

どういう意味だったっけ。確か罪が許されるとかそういう感じだった気がする。

解説ページは一応あった。


解説:いかなる罪も許される。


全く役に立たない。

なんだこの解説。広辞苑から引っ張ってきたの?ってくらい簡潔である。

一度使ってみたら分かるかと思ったのだが、そもそも使い方を知らなかった。強く念じても疲れるだけで終わった。

固有スキルを持っているだけ良いとするか。100人だか10人だかに一人の確率って言ってたし。それについては僥倖である。



三つ目。種族。

正直、これが一番の問題である。

不明って何ですか。もしかして私は人間じゃない可能性があると、そういうことですか。

そうだとしても不明ってどういうことですか。誰にとって不明なんですか。あなた神様が作ったシステムでしょうが。種族の如何くらい万能でありなさいよ。


…こうなるとステータスの信ぴょう性が疑われる。

仮にも神様がくれた以上おおよそ正確性の高いものだと思っていたのだが、こう不満点が多いと一転とても心配になってくる。元の期待値が高かった分疑念もひとしおである。

マルなんたらのおっさんがこれの要否を聞いてきたのはこういうことなのだろうか。他の項目も資格とか段位とか称号とか、能力の目安程度のものしかない。

まず間違いなく、これを戦闘に有利に使うということはできないだろうな。相手のHPの減りを見ながら戦術を組み立てるとか。MPの減りを見ながら戦術を組み立てるとか。

せいぜい「マジで強いやつ」と「強がっているチンピラ」とを区別できるくらいだろう。それでも日々を安穏と過ごす程度ならば十分すぎる機能である以上、あまりブーたれるべきでもないか。



加護というのは、あのおっさんが言っていたやつだろうか。

一応「マルシャの加護」の解説欄を見てみた。


解説:世に生まれ落ちてより5年間、絶対に死なない。


どうやらその通りらしい。

死なない能力とか凄いな。さすが神様。さす神。

つまりどれだけ怪我をしてもすぐに回復するということだろうか。そうじゃなかったら怖すぎる。死なないだけで怪我しても四肢を欠如しても頭取れてもそのまんまとか。壮絶な痛みに耐えながら首だけで5年間生き続けるとか、それどんな地獄?


…あまり考えないようにしよう。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ステータス画面を見て色々思索していたらいつの間にか夜になっていた。ほんのり肌寒さは感じるが凍えるほどでもない。丁度良い気温である。今は春頃だろうか。


言い忘れていたが、私は今すっぽんぽんである。無垢の乙女が一糸纏わぬ肢体を晒しているのだ。なんと扇情的であろう。…まぁ今の私は生まれて間もない赤子であるが。

そんな無防備な姿で夜の森に捨てられるなど、自殺行為も甚だしい。これが冬であったら凍死ものであろうし、正直春といっても赤子の体力では一晩もつか怪しいものだ。


そうすると、今私が夜風を心地よく感じているのはマルシャの加護のお陰なのだろう。感謝すべきか服をくれなかったことに怒るべきか。

なんにせよ、私はこの状態のまま数週間過ごすことになる。ならば早いうちに慣れておくべきだろう。私はこれより、宵闇の悦びを詩にする作業に入る。古来より人間は歌うか考えるか動くかして余暇を潰してきたのだ。動けない私は考えるか歌うしかない。考えたのは今やって疲れたから歌うしかない。よって歌う。


森林の 闇より聞こゆる 唸り声

 グルルルギュルル ウガガ、ギギギギ


…はい、そうです。

どれくらいだろう。一、二、三匹くらいかな?

尻尾が二本ある犬みたいな獣が周りの茂みに隠れていた。よだれを垂らしながら私を見つめている。

眼が爛々と輝いていて、ハァハァハァハァ肩で息して。闇の中だってのにはっきりと存在感が伝わってくる。どんだけ興奮してんのあんたら。あらら、ゆっくり近づいてきたよ。

…ふぅ。なるほどね。そういうことか。わかったわかった。



私のワガママボディに興奮しちゃったのね?

へ・ん・た・い・さん♡




あ、飛びかかってきた。

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