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神、アキハル。

 このお話もブクマ五百突破しました。ありがとうございます!




 地上の神様の一柱(ひとはしら)、アキハルくんのおうちに遊びに来ました。前世の話をいっぱいしたいよね。楽しみー。


「……身元を確認いたしますのでお待ちください」


「はいはーい」


「……こちらは神の御座(おわ)す神殿で御座います。言動にはご注意を」


「あー、気にしなくていーって。君が私より偉いなら謝るけど?」


「……少々お待ちを」


 こういうとこだと虎の威を借って誰にでも喧嘩売る人いるよねー。礼儀とか戦争して勝って隷属させた相手でもないなら言わない方がいいと思う。かえって(ふところ)が狭いと思われるよ。まあ私が言うことじゃないけどね。仲良くしたいと思う人に礼儀をわきまえろとか普通に言わないよね。パーティー会場で明確な身分差があるとかならともかく。ただの門番のこの人が言っていいことでもない。


 なので私は。


「おいーっす、アキハルくん、遊びに来たよー!」


「いらっしゃーい」


 無理やり扉を開いて押し入った。にへらーと笑うアキハルくんはなかなかに可愛いよ。私より長生きしてるから柔らかい感性を持ってるね。できる人はこうだよね。


 衛兵さんは面食らって真っ青になってる。しばらくしたらどこかに走っていった。このあとアキハルくんに注意されたのは神官さんの方でした。私はアキハルくんと遊びに来たのだ。邪魔するな。がるるるる。まあ私って御使いだし、いいよね。アキハルくんは「フリーパスで」とか言ってた。よっぽど元の世界の仲間に会えたのが嬉しいのかな?


 リンヤは呆れてたけどね。私になにを求めてるんだー、とかいって髪をわちゃわちゃしたら頬を引っ張られた。いたひ。


 しかしこの部屋は……。


「意外と片付いてるね」


「最初はゴミ溜めになってたけど死にかけた」


 普通にゴミ部屋だったけど百年ぐらいして住みにくいことに気付いたらしい。もっと早く気づけ。まあゴミ捨てに細かいルールができてからゴミ屋敷は増えたらしいけどね。ものぐさな人は一定数いるもんだよね。私は部屋は……ぬ、ぬいぐるみとかはわりと置いてたよ!


 さて、今日は。うーん。アキハルくんと政治の話をするのはなんかちがくない? 前世の話だけして盛り上がろうか。リンヤいるけど。


「この部屋に貼ってるアニメの絵って見たことないなー」


「俺が書いてる」


「マジで?! 才能あるね!」


 なんか新緑に木漏れ日が射してる暖かな雰囲気の中で少年と少女が手をつないで走ってるイラストだ。少年はこれから冒険に行こう、って感じの前向きな表情をしている。その手を取っている女の子は微笑みを浮かべて、頭には花の冠をつけている。ファンタジーな世界にいる私がワクワクするレベルだね。


 これはうちに来てもらって展望室のルルたちのイラストを書いてもらわないと駄目だね!


 そっか、私ちょっと五月病なのかも知れないなー。帰りたいと思っているのかもしれない。もう戻れないのが分かっているから余計にね。


 父さんが死んだのが悪い。バカ。ハゲ。ハゲてなかったけど。


 よし、全部父さんが悪い! ふはは! ユーミ女皇帝は悪くない!


 ……父さんが(うらや)ましがるような生き方、しなくちゃね。


「ユーミ、どうしたの?」


「おっと、放置しちゃった。なんか日本が懐かしくなっちゃったよ。すごいね、アキハルくん」


「へへ……感動してもらえると……うれしいね」


「アキハルくんも感動させちゃるからうちの展望室見にきなさい」


「ふえ? って……むり!!」


「大丈夫さ。みんな君を神様扱いなんてしないから」


「あぐっ……」


 実際さっきの部屋つきの人の態度を見たらもてはやされまくってるのわかるよね。アキハルくんは神棚か仏像かっつーの。一個の人間なんだぞ。閉じ込めんなや。物理的な話ではなく。


 アキハルくんは神を名乗ったけど今ならわかる。それは誰か人間が決めた枠組みだ。違う。彼は神棚じゃないじゃないか。


 うちの面子なら私をおちょくるし、アキハルくんも馴染めそうな気がする。


 私たちは別々だ。だから人生一緒に楽しもう!


 とりあえずアキハルくんの部屋にある漫画本を読んでいくけどね! うへへ、久しぶりだ。うーん。印刷とか私はよくわからんけど雑誌に使うような再生紙とか印刷技術自体もすごいな。……農業とかは手を出してないなこやつ。


 私も農業は無理かなと思いつつ頑張ってるのになんで紙媒体に人生かけてるのよー!!


ほっぺはひはひー(ほっぺたいたいー)


「まずはメシでしょうがー!! 食糧難なめるなー!!」


ひほんへほ(にほんでも)ひへへはひ(いけてたし)ー!!」


「世界中が食料自給率低いんだよー! 輸入できる先がないわーーー!! 日本は貿易でもってる国なんだよー! バカー!!」


 アキハルくんとしばらくバトルした。あれ、リンヤは? なんか感心してるな。あ、そうか、うーん。じゃあ私なりの答え。


「アキハルくんにはいろいろ問題があるのは自覚してるよね。指摘してもいいかな?」


「指摘されても……変えるの難しい」


「変えなくていいよ」


 アキハルくんに微笑むと、目を見張っているな。どういう感情だろう?


「アキハルくんはどうせあの門番さんみたいな人と話し合うとか苦手でしょ? いや、得意ならどれだけ無能なんだって(ののし)るけど」


「……わかる。苦手。あいつらバカだけど、盾になる」


「アキハルくんに引きこもる能力があるのも悲劇なのかなー」


 過酷な状況にならないと本気を出せない人って実はビジョンは持ってる人なんだろうね。それだけじゃ形にならないのは当たり前だけど。それで頼る先が無能だとイメージがいかに優秀でも意味がない。


 日本人はひとつの理想郷に住んでる。現実に成り立っている幸福な社会に住んでしまっている。だからビジョンはみんなが持っている。日本人と言うだけならそこに差違はそんなに生まれないと思うんだけど、考えることをしないけど実力のある人は多いからね。


 だから逆に考えるけど実力というか使える力、人材がない人はこんな風に鬱憤(うっぷん)を溜めてしまうんだろうな。でも、物理で動かさないと世界は動かないんだよね。別にテロリストの発想じゃなくて。


 物理でもないけど文章を書いて世界を変えるのも大昔からのスタイルだよね。


 そうだよ、アキハルくんにはちゃんと力があるじゃないか。物語を書けばいい。そこで主張したらいい。


 私みたいな行動するバカに任せたらいいんだよ。確かに働かないけどね。私は釣りしてスローライフしたいしね。


 まあ戻すと、アキハルくんには戦う力がある。今は漫然としているだけだ。そして彼は私と友達になった。


「いつの世界でもそうじゃん。武力だけでも戦術だけでも戦いには勝てない。自分と違う人とこそ仲良くするべきだ。そこまで理解したら、できるでしょ、コミュニケーション!」


「……!! ……うぐっ。……時間、時間欲しい」


「考える時間は死ぬまであるよ。考えていてもいいんだよ。行動するのは私だ!」


「……うん!」


 任せて。この世界をなんて言わない。この星をなんて言わない。この大陸をなんて言わない。


 せめてこの短い手の届く範囲を。


 私たちで幸せにしてやろうじゃないか!






アキハル「あれだね、ちょっとヤクザだよね」


ユーミ「脳筋気味なのは間違いないかな」


アキハル「そのわりに少し控えめな気もする」


ユーミ「必要があったら突破するけどねー」


リンヤ「とりあえずほっぺはつねらせろ」


ユーミ「あいいい……たたたた!」


アキハル「ほんのりユリっぽい。これはいいものだ。その路線を次は流行らせる」


ユーミ「時代に則してないような」


リンヤ「ん、結婚してる人が同性に走るのは普通かな。私は結婚はしてないけど」


アキハル「戦国時代の有名武将はだいたい衆道も嗜んでる。あの眼帯の人とか受けだったりもする」


ユーミ「そういう情報いらないー! てか詳しいね!」




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