シーサーペントと小角族。
釣ってしまいました、シーサーペント。どうすんのこれ。
「ねえ、ユーミ。これだけの大物なんだから小角族も入れて大々的に捌きましょうよ!」
「あ、それ正解。じゃあみんな、小角首長国のカイバシラいくよー」
「へーい」
「すごいねシーサーペント!」
「ネイコ、はしゃぎすぎよ。シーサーペントって白いのね。革はなんに使えるかしら。小角族が白い戦士に……いいわ」
「ルルもはしゃいでるよ?」
「ふっふっふふふ、本当にユーミ帝国は毎日がお祭り騒ぎですね」
「ジルさん機嫌いいな!」
「荷運びの勇者セルト殿、しかし誰がこんなの想像しますか? 毎日なにか騒動が起こってて楽しいとか、奴隷になった身で考えられましたか?」
「はは、はしゃいでるな」
「マーベルも冷静に見えて盛り上がってねえ?」
「いや、普通に盛り上がってるけど? すげえなあの女皇帝は」
「マーベル殿は最初に声をあげていたしね」
「うっせジル」
おお、なんか人族が集まってる。うちでは珍しい光景だな。小角族がこの中に入るのも悪いわけじゃないんだけどね……。リンヤのいうとおり入れるべきなんだろうか。まあ毎日絡んでる気はするんだけど。ホタテさんとかブリ婆ちゃんとかアジさんとかカツオノさんとかね。
サーペントをしまって全員収納、一息に小角浜にテレポート。ここからは騒ぎになるから歩いていく。
「すごいですねユーミさんの大規模テレポート!」
「俺の技でもこうはいかないもんなー。可愛い子いるかな?」
「小角族は子供ばかりですよ兄さん」
「使用人にエルフとかいるしー。お酌してもらったら外交問題になるか?」
「普通にそれくらいしてくれそうですけどこちらから要求するようなことはしない方がいいかと」
「だろうな。しかし男も女も美形ばっかりだな。異種族多いけど」
「ユーミさんが気にしないからですよ。立派だと思う」
「本人に言ったら盛大にいやがられるぞ、たぶん」
「ですよねー。普通にアレだからすごいんですよね」
王族の二人も連れてきたけどいいのかな? ホタテさん辺りに許可を……いや、なにも言わなくてもホタテさんって受け入れそうだよね。新しいもの好きだし、表現は堅いけど実は人懐っこいし。一応声をかけるのはあの人だよね。
後ろから来てるドワーフたちは三日飲んでるのに普通にまた酒が飲めるとはしゃいでる。う、うーん、君たち奴隷じゃなかったっけ? 飲ませてるの私だけどね。我慢は許さないけど仕事も楽しいことからやって欲しい。
「やるともさ! オレっちの力を振り回したいぜ!」
「まあまだ正直仕事は少ないですが。領土もありませんからね」
「アーリさんたら。それなら釣りとかどうですか?」
「いいわねー! ドワーフ三人いたらシーサーペント釣れるんじゃない?」
「バーリさんなら釣れそうです~」
「力だけならネリンもアーリも大したもんだがな……」
「ドワーフだからねえ。商人でも体は鍛えてるわよ?」
「アーリさんはがっしりしてますもんね。私はヘロヘロです~」
「一番ネリンが飲むけどな……」
ドワーフって女性の方が勢いがあるね。最近こいつら飲んでばっかりだから微妙に顔が覚えられてないな。アーリとかいつもは外交もしてるし顔をあわす機会少ないんだよね。まあみんな仲良くはしてるんだけど。今度釣りに誘うかな。
「おお、ユーミ殿、また来たな! 酒じゃ!」
「あ、ブリ婆ちゃんやっほー」
小角族は人懐っこいから好きなんだよね~。あー、小角族と遊びたかったんだな私。普通にアジさんとカツオノさんは遊びに来るけど。
「ばあ、そいつがいつも酒くれる女皇帝?」
「失礼はするなよシバ。ユーミ殿、こいつはロブ・スターの息子のシバじゃ。アジといつも遊んどる」
「あ、遊んでねえよ! ああ、カツオノのニートジジイ、またよそで遊んでたのか」
「お前みたいに槍ばっかり振って遊んどる小僧がいうな。カツオノは最近食料確保の一番手じゃぞ」
「女皇帝の力借りてるんだろ? あいつの成果じゃねえよ」
「シバ」
「うおっ、アジ?!」
「お前は釣りをしたか? カツオノはかなり釣りが上手い。俺も一緒に釣りしてるがほとんど釣れてないぞ」
「で、でもあのニートジジイだぞ?」
「カツオノは釣りニート。生まれ変わった」
「まあまあ、楽だと思うならお主も釣りにいけばいい。竿ならあるのだからのう」
お、見たことない人がいるな。あの人がシバさんか。カイバシラにはいくつか中心になってる家があるんだとホタテさんに聞いたことあるな。ホタテさんと息子の……息子のカラスさんの一家、ブリ婆ちゃんの一家、それともうひとつの名家があのシバさんのいるロブ・スター一家だ。……インフォさんの謎翻訳に突っ込んでは駄目だ。『ロブ・スターのスターは小角族における英雄の称号を翻訳しています』聞いてない。
「そのロブさんって凄いの?」
「うむ、小角大角水牛のヌシを倒して小角族の英雄と呼ばれておる……のだが」
「脚を失ってニートになっていた」
「も、もう治して狩りにいってる!」
「その薬を誰が作ったか知っておるか? そのユーミ女皇帝殿じゃ」
「うぐっ……」
「お礼とかはしなくていい。ユーミはお礼嫌い」
「そうだね、仲良くしてくれると楽しいね」
「ぐぬぬ……。あう……」
「シバはこういうやつ。子供だから仕方ない」
「こ、子供じゃねえし。ユーミ陛下、感謝してるよ。オレは、釣りしてみたい」
「いーよー。また遊ぼうね!」
「軽いなこいつ……」
「ユーミは軽い」
「軽薄なんじゃね?」
「重くて厚かましいよりずっといい」
「そうじゃな。軽い方が楽じゃな」
別に軽薄と思われてもいいかなー。軽薄の対義語って重厚なのかな? 確かに重いステーキばっかり毎日食べるの嫌だわ。自由って大事。
「んじゃシーサーペントさばくよー。小角のみんなあつまれー」
「はーい、なのだ!」
「のじゃ!」
「うん」
「おお、いよいよだな!」
「……た、楽しみにしてるよっ、オレもっ」
私の周りに小角族がわちゃわちゃ集まってきた。保育士さんか私は。シーサーペントを広場の真ん中に、特大の板を敷いてから出す。どーん。
「大きいー!」
「うわー!?」
「すっごいすっごい!」
「美味しいの?」
あー、小角族可愛い。シーサーペントは大きいからみんなに食べさせられるかな? 七千キログラムか。一万人いても余裕で食えるね。
「小角族はカイバシラに今は何人くらいなの?」
「三千人というところか」
「うむ、やはり広がった方が食うものは増えるんじゃ」
「酒とか珍しいもんが好きなやつらはユーミのくれるもの好きだからカイバシラに集まってるけどなー」
「ん、ユーミは楽しい」
「戦の準備もしなきゃなんねえけどな……」
集まりがいいのか悪いのかはよくわからないけど、養おうと思えば養える数だな。まあ基本的な生活は本人たちに頑張ってもらうけど、こういうお祭り騒ぎするときはたくさんいる方が楽しいもんね。利用させてもらってるねー。普通に喜ばれてるけどね。
セルト「うおりゃー! 荷運びの勇者セルトです!」
ベリー「今日は作中にあんまりでないモブ属性が強い私たちの話よ!」
セルト「言っててかなしくない?!」
ベリー「モブはモブだからねえ。他にはネリンとかアーリのドワーフ組は全く表に出てこないのなんで?」
セルト「裏方で仕事してるんだけどなぁ」
ベリー「仕方ないのかしら。ネリンとかはお酒の席では目立つんだけど」
アーリ「私はお酒を飲めたらいいんだけどねえ」
ネリン「表に出るとかこわいですぅ……」
ネシア「私ももっと出したいわ」
ベリー「黙れ変態」
シロル「みんなオレより登場回数多いだろ……」




