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ダンジョン巡り。

 更新は朝と夕方ならどっちがいいですか?




 初心者ダンジョンをまずは攻略しよう。何人か冒険者と絡んだから出た時が少し楽しみだ。私に接触してくる人がいればいいんだけど。


 そう、これは私の、私による盛大な釣りなのだ。どんな貴族が釣れてくるのか楽しみである。リート子爵ならリリースかな。


 さて、二階のボスだけど、今度は小さなゴブリンだね。赤いって言うかどす黒い色の肌をしている。可愛くないなあ。


「ゴブリンアサシンか。面倒な方が出たね」


「面倒な()?」


「もう一方って言うか、二層のボスはこいつとゴブリンキャプテンのどちらかなんだけどね、戦闘が素直なのがキャプテンでこいつは月魔法とか毒を使ってくるんだよ。面倒な奴さ」


「つまり」


「今までと変わんない」


「りょーかい」


 毒とか、良く分からない魔法とかは全部キャンセルね。殴り合いならすばしっこいけどタフでもないんだって。弱い者いじめもあれなんでかみなり一発で消しておいたよ。


「スキルに頼るなとかアドバイスしたいけど無意味なんだよねえ」


「使ってないからねえ」


「素の度胸でゴブリンずばーって殺していくし……」


「ふはは、私は殺人鬼なのさー」


「やめてー、えいへいさーん」


「衛兵さんから退治?」


「退治っていうな」


 アホな事をいい合いながら三階層に来た。たのしー。


「ここは物理的に襲ってくるね」


「この階は雑魚モンスターがホブゴブリンになってるからね~」


「うん、でももう手加減しても一撃だわ」


「ここ来る必要なかったね」


 いや、初心者だし慣らし運転は必要だよ? 血とか汚れないから普通に被ってるけどキモいのはキモいし。


「スキルが強すぎるのは本当だけどスキルを外す意味がないんだよねえ。スキル頼みでなんか歪んでたら矯正するけど」


「するとこあったらいってね?」


「ないのが問題な気がする」


「私が破綻してるわけでもないよね?」


「ナチュラルでそれなのがねー。なんか違和感なくて違和感。お前プロだな?」


「ちゃうで。ただの釣りガールやで」


「狩りはしてたってことかぁ。そういわれたらそうかも」


 釣りガールも狩人なのかね? まあ生き物を殺す忌避感は現代人でもまれに見るくらいにないと思うけど。生きた魚なら数え切れないくらい捌いたよ。ゴブリン捌く忌避感って臭いくらいだわ。それにしたって亀を捌いた時の臭いだし経験済みだわ。


 その後は特に問題もなく5層のゴブリンチャンピオンまで撃破した。次に行こう。


 次は異形のダンジョンか。触手で餌を手繰り寄せて食らう魔物がいるようだ。要するに陸のイソギンチャクね。


 ……雷を使うやつがちょっと電気が通らなかったけど、たぶん他の冒険者はキツいけど私には問題なかったね。槍で触手捌いてたから扱いが上手くなったくらい。次は魔力を鍛えよう。


 他の冒険者はやっぱり目を丸くしてた。うん、ごめんチートやねん。あっさりクリアしてしまったよ。魔法攻撃とかも別に食らわなかったけど。あれ予備動作いるのかな? この階層の魔物たちはなんか振りかぶってパリパリエネルギー溜めてから魔法を撃ってきてたよ。テレフォンパンチなんか避けられないと喧嘩もできないと思う。


「時々男前なこと言うわねー!」


「誰が男前やねん……誰が男前やねん……」


 そこだけは否定させて欲しい。武士の情けで。女前な。女前で!


 残りは大手の獣ダンジョンと巨人ダンジョンだけになった。


「獣ダンジョン……。なんやこの卑怯なダンジョンは……」


「まあ私も攻略してから一度も来てないわ」


 もふもふな犬や猫の魔物が襲ってくる。しかもやる気なさげ。ふとターゲットを取ったらペットの犬猫がボールや猫じゃらしを見つけたようなキラキラした目で襲いかかってくる。


 駄目やねん。ペットは駄目やねん。殺しに来られたらやり返すけどなつかれたら噛まれるしかない! あまがみしてくんなや!


 やばっ! 女皇帝ピンチ! 女皇帝ピンチ!


 天敵!


 まあ攻略した。全部収納してお持ち帰りで終わる話だったわ。普通終わらないけどね。可愛い殺し屋とか卑怯すぎるだろ。殺せない。ゴブリンなら捌けるのに!


 やっぱり私も無敵じゃないんだなーという謎の安心感を得たよ。


 いやー、私んちって犬猫も小鳥も魚も亀も鶏も飼いまくってたんだよねー。鶏は烏骨鶏とか軍鶏とかだいたい食べたけどね。


「女皇帝が私より野生児」


「誰が野生児よ」


「ユーミ女皇帝は野生児」


「改めて宣言された!」


 まあいいや。次に行こう。あれ? もう次でラスト? あれ? ダンジョン三つクリアしたの?


「うーん、なんというか胃袋の中にある物を淡々と消化した感じだね」


「消化試合か~。まあそうなんだよねえ。無敵なのは最初から分かってるんだし」


「無敵スキルなくても相当なレベルなんだが。この王子自覚がないのである」


「誰が王子やねん」


 王子ではないね。まず男じゃないからね。女皇帝だけどね。自称だけど、まあそこは事実まで持ってくよ。一代限りの最終皇帝だけどね。


 そもそもこの世界が未熟なのはこれはもう文句いったってどうしようもないわ。むしろ自分に現状を見ろといいたい。分かってるんだよね、飯が食えないとはどれ程の苦痛なのか。平和ボケはいい。でも飯を食わせろ。飯が食えれば戦争する意味なんかないんだから。


 今のこの大陸がそうだ。とても原始的だ。平民がこぞって食料を奪うために争っている。


 争うな、飢え死ね。そんなことをいえるはずがない。戦争するより悲惨な現実がここには未だにあるんだ。元の世界の地球にだってそういう地域はあるはずだよ。飢えてる人は殺し合う。止めたければ、まず食料自給率を200%にはしないと。


 食えないことをなめちゃいけない。今この世界を、人を救うには、食えるだけの人数で食えるだけの飯を確保する、これしかない。


 農業改革は時間がかかるが数年である程度結果を出す手段がこの世界にはある。魔物を狩るんだ。前世にはあり得なかった贅沢。


 やるよ、狩るよ。食おう。私たちには満ち足りた幸福な未来が必ずある。


 巨人は食えるんかな?


「ダンジョンの生き物は食えないよ」


「あー、消えるのか」


「表にも一応巨人はいるけど食った話は聞かないなぁ。オークとかはダンジョンでも肉を落とすよ」


「無情を感じるのはなぜだろう」


「今更?」


 確かにね。前世だとイルカは賢いから食べるなといいながら犬より賢い豚を食べてたし。肉は食べちゃ駄目と言いながら何百倍もの野菜の命を奪ってる。アザラシやペンギンやシャチを保護して餌になる鰯や秋刀魚は激減していた。


 可愛くても賢くても食えるとこを食う。戦争をなくするためには食うことだ。本末転倒なんだよ。世界のリソースはどんなに足掻いたって質量保存の法則に従って一定だ。無駄に殺しあってる人たちなんか火の粉がかからないならほっとけばいい。


 食うことなんだ。私たちが生きると言うことは。だから食えるなら何だって私は食うよ。美味しいものからだけどね?






 読んでくださって有り難う御座います。




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