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木槍の女帝伝説の幕開け。

 はーい、今日は初心者ダンジョンでゴブリン狩ってます、ユーミ・カワハラ・フィッシャーガール女皇帝です。女皇帝なのにゴブリンの体液浴びながらガチの殴り合いです。クーラーでスッキリ綺麗になりますけど。


 雷魔法って雷感知とか雷バリアとかできるらしいんだけどなかなか難しいよ。楽しいです。


 レールガン? いや、クーラーボックスで石でも打ち出した方が破壊力あるし。なんだそのクーラーボックス。チートボックスです。ジュース出して飲もう。


「私もマスカットチューハイちょうだいー」


「ダンジョンで飲むの?」


「意外とお酒飲むよ。気付け薬になるし」


「現場はそうなんだねー」


 リンヤがただのアル中の可能性もあるけど、この大陸の冒険者はダンジョンでも飲むらしい。下戸はこの大陸には居ないようだ。昨日も酒場で深夜まで飲んでたけど帰れなかった人は居なかったし、下戸も遺伝的な問題だっけ。


 この大陸は小角族みたいなお酒大好き種族も居るからね。ダンジョンに一ヶ月くらい挑戦するつもりだけど小角湿原にも帰りたいね。テレポートで行き帰りしたらいいかな。ホタテさんやアジさんたちと釣りしないとね。カツオノさんはもう釣りにドハマりしてるから放置してても釣るでしょ。


「私も釣りしたいー」


「大物釣れるとハマるよねー。また釣りしよう」


 今はダンジョンで冒険です。ちょっとこれも楽しいのでやります。まあ目立つの目的だからダンジョン四つともクリアするつもりなんだけどね。


 ダンジョンをクリアするとクリア証明がダンジョンマスターによって出されるらしい。どんな仕組みなんだろう?


 まあラストまで潜れと。途中途中で一階に戻れるワープポイントがあるらしいよ。何階にあるかは分からないらしい。


「死ねゴブラバー!!」


「雷撃出たー」


「もっと出せるよー。頑張ってー」


 出力は今一つだけど電撃も出せるようになりました。断末魔がゴブラバーってなんだ。ゴブリンは魔石を残して蒸発しました。もうすっかり遊びなんだけどね、初心者ダンジョンだからだと思いたい。チートだから仕方ないね。遊ぼう。


「貴様らの進撃もここまでゴブーーーッ!!」


「なんか大きいの出たよー」


「一階のフロアボスのホブゴブリンだねー」


 3メートルは行かないかな。大きいゴブが出た。殴って殺すか雷撃で殺すか。手打ちか半殺しだね。半殺し食べたい。落語ネタ通じない問題。


 いきなり槍で突きまーす。お、大きいのに躱せるんだねー。偉い偉い。薙ぎ払い。読まれたね。後ろに飛んで逃げられたよ。


「舐めるなよ、その程度ゴブああああッ!?」


「かみなりー」


 舐めてるのはよくないっていうけど本気出したら収納して終わりなんだけど。なので全力で舐めさせてもらうねー。


 上から頭かちわりー。バックステップで躱される。大きいのに速いね~。


「ビリビリしてるうちに倒してね」


「よーし、女皇帝大物倒しちゃうぞー」


 槍に雷をまとわせて左上から殴りに行く。受け止めたらスタンなので必死に躱すホブゴブ。そのまま下から突き上げて掠ったら後ろ回り左から右に一回転してもう一発殴る。うん、槍と雷撃のコンボは卑怯なんだ。狭いとこなら雷撃だけでも行けるし。まあまだ自然の雷ほど威力出せてないんですけどね。鍛練が必要なようです。


 まあこのスタイルでSランクに相応しいくらいまで強くなる気でやります。うーん、何て言うか、体を使うの元々得意なんだよね。棒切れ小学生の頃は振り回してたしね。やんちゃガールだったのだよ。その頃からデカかったからね。泣いてなんかいない。


「ユーミって素で強いねー」


「そう? 嬉しいね~」


 ほめられると嬉しくなっちゃうね。人間だもの。まあこう見えて視界や音に集中してるしフェイント入れてるし攻撃繋いでるし足元も気を使ってるし、現代スポーツの隙の無さを戦いに生かしてみてるよ。


 実戦にスポーツのやり方は通用しないって言うけどどうだろうね。少なくとも現代スポーツは、戦略はコンピューターレベルだし、隙を読んだり突いたりフェイントかけたり油断しない、とかはスポーツでも常識でしょ。球技でも点を取った後が怖いし残心は武道と同様に必要だよね。効率的な体の使い方だって現代人の方が凄いし何より私はデカいからね。こいつの方がデカいけど。


 実戦に有ってスポーツに無いのは殺しの為の戦いの経験値とかそのための特殊な体の使い方、死の緊張感とか、かな。毒を使ったりもあるね。


 刃物使いは私は普通に上手いね。包丁も鉈も使うしまさかりで薪割りもしたことあるしね。乾かしてない植物は簡単には斬れないよ。死の緊張感とか毒は、私どっちも効かないしね。そもそも相手の攻撃を消せるからまず死なないし、毒も受けてもすぐに消せる。経験値は今積んでる所だけどそれは、楽しいね。


 五キロのクーラーをベルトで肩に担いだままなのがハンデと言えばハンデだけど、この部屋20メートルも無いからその辺に置いてても大丈夫。余裕で効果範囲。五キログラムくらいなら持ってても軽いし、範囲を考えるならリンヤに持ってもらってもいいくらいだ。それにこれ、今はリンヤに当たるダメージやスキルも全部カットしてたりする。範囲なら味方全員無敵、とかできるんだよね。


 要するに敵は命がけだけど、私らはゲームしちゃってるんだよね。申し訳無い? そうでもない。死ぬ覚悟あるから戦うんだろうし、嫌なら逃げていいよー。面倒だから追いかけないし。そもそもこちらは襲われてるんだしね。


「ゴフッ、ゴフッ」


「体力も無いとかこのゴブリン終わってるね。もう止めとく?」


「ダンジョンのボスモンスターって逃げられないんだよね~」


「辛いね。大魔王とか逃げられないんだね」


「大魔王も逃げ出すユーミ女皇帝」


「ますます嫁に行けねえだー!」


 元々行けないだろ、とか言われたのでリンヤにアタックした。クーラーでダメージ無いんだけどね。全力アタックくらえー。雷槍撃!


「こわっ! だがリンヤはダメージを受けない!」


「これリンヤせんせー殴りまくった方が勉強にならない?」


「ダメージ無くても怖いからね?」


 駄目らしい。いいアイデアだと思ったんだけど。まあインフォさんがサボったりしたら怖いか。無いとは思うけど。私も気を引き締めた方がいいのかなー。あ、ホブゴブそろそろ復活したかな?


「な、舐めやがってゴブッ!!」


「うーん、やっぱり一階のボスじゃこんなものか~。初心者がボコボコにできるんだね~」


「お前のような初心者がいるか」


「そろそろ終わりにしてくれゴブ」


 あ、ホブゴブの泣きが入った。仕留めとこ。雷槍撃。


 突き刺した所から紫電が走ってホブゴブは燃え尽きたよ。残った魔石となんか、ホブゴブの持ってた斧と、腰みのを拾った。……凄い要らない。敵を倒したらドロップ品を残して消滅するのはダンジョンのルールみたいだね。


「このまま今日は五階まで行こうか。そこで終わりだから」


「初心者ダンジョンだけあって浅いね」


 まあ浅いダンジョンじゃなきゃ初心者にオススメしないか。二階に降りる階段が現れたので降りてみる。これも魔法かな。不思議なシステムだよね。科学とはかなり乖離があるのに基本は物理学に従ってるんだよね~。不思議。


 二階に降りるとなんか叫び声が聞こえる。うーん、誰かやられてるね。電波で探れるようになってきたよ。走っていこう。


 いたね、強そうなゴブリンに囲まれて二人ほど怪我してるよ。


「助ける?」


「聞いてからね」


「おーい、助ける~?」


 ほんわかし過ぎてるからか皆(敵も)ポカーンてなった。助けていらんの?


「女帝さんじゃないですか! 助けて下さい!!」


「女帝さんて。昨日挨拶に来てた人か~」


 どうも昨日のお大尽に付き合ってくれた人みたいだね。ぼちぼち話しながらゴブリンに雷を落とし、突っ込んで槍で三匹くらい薙ぎ払い、ポーションを取り出して冒険者さんたちに渡して残りの敵もサクッと行っとく。


 冒険者たちは唖然とした顔でこっち見てひそひそ話してる。ポーション使いなさいよ。


「ゴブリンウォーリアとかゴブリンメイジってあんなに弱かった?」


「Aに一日で上がったの本当だったんだな……」


「イケメン……女の子だけど」


「持ってるの木の槍だし!」


 ん、これはいい伝説になりそうですね。女皇帝ユーミ、行きまーす。あとイケメン言うな。






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