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小角浜の夜。

 みんなで浜に集まってキャンプファイアーすることにした。小角族はお祭りが大好きだ。


 釣り人はお祭りは好きだけどオマツリは苦手だよ。隣の人と糸が絡まってしまうのをオマツリって言うんだよ。


 皆さんこんばんは。隣の人と運命の糸が絡まった試しがないユーミです。今日も今日とて小角族はお祭りしております。畑を手放してきた人がまとめて収穫した野菜や保存してあるお米なんかを使って料理してくれているので、私も魚をたくさん出して炭火焼きしてます。


 小角族の奥さんたち(年上ロリ)が焼き方を覚えてくれたので楽してお酒を飲んでます。


「んで、ユーミ帝国の次の目標は?」


「無人島を一個征服してくる」


「遂に動き出すのだな、残酷無比の悪の帝国なのだ」


「領民は私だけ、あとは全て下僕!」


「一人しかいないけどな!」


 カツオノさんとホタテさんはノリがいいね。そういうわけで、どこかの国を落とすにしても領地がないとか小角族の集落の中にあるとかでは困るので(小角族が)、無人島を領有してきます。どうせどっかの国が支配してるとか言い張るだろうから無敵の要塞を作っておこうかと。核ミサイルに耐える設計にしときます。核ミサイルって案外破壊力はショボかったりするけどね。汚染が怖いだけで地下なら安全だし。だから地中貫通爆弾(バンカーバスター)とかあるんだけど。


 まあこの世界なら早々そんな兵器生まれないだろうけど。一番の兵器は私のスキルだし。


 そういうわけで、収納可能な家を作ってついでにサバイバル楽しんでこようかと。カツオノさんとかアジさんが着いてくるとか言わなくて助かる。一人でいたいときは分かってくれるようだ。


「波が月に照らされて綺麗なのだ」


「ここに温泉を引かないと!」


「覗かれないか?」


「カツオノさんくらいしか覗かないよ」


「覗かんわ!」


 覗かれても皆平べったいけどね。逆に小角族にはそっちの方がいいのか?


 お酒を出すのだ、とか言いつつクーラーボックスを開けるホタテさん。そしてビールを取り出して蓋をかしゃり。美味そうにごきゅごきゅ飲んでいる見た目八歳児。いろいろとヤバいよねえ。


 そういえばこの見た目で既に孫もいるんだっけ。……経産婦……。旦那さんはいないみたいだけど子供は五人いるそうだ。小角族は湿原の魔物に襲われたり人間に襲われて、さらに出産と出産の間が数十年開いたり普通にあるので、カイバシラでは同年代はほとんどいないようだ。アジさんと一番近いのがシバさんという人で5才違うそうだ。三十か。イケオジ……じゃないですね。八歳児です。


 イストワールの男爵領とかも見ておかないと駄目かな。なんだっけ、ラグラ男爵ね。当主がかなりヤバいらしい。リンヤ情報。そのリンヤは機嫌良くアルコール度数の低い缶チューハイを()ってます。


「白ブドウのとか桃のが美味しいねー」


「度数の低いのは長く飲めるからいいよね」


 糖質が気になるから私はストロング缶しか飲まないけどアルコール強いから本末転倒だったりする。


「そういうわけで、ユーミ帝国では小角族が絶滅しても関係ないスタンスで行くからね」


「国交のない国の皇帝が住居作って温泉に入ってるのだ」


「それだけ聞くと凄い馬鹿っぽいな」


「おんせーん! また入るぅ!」


 お、エルフさんは温泉が気に入りましたかな? エルフの温泉郷とか面白そう。猿みたいにゴブリンと入るのだろうか。河童とかいたりして。河童って温泉入るのかな? 聞いたことないな。


「じゃあ冒険者もやるの?」


「正直興味ないけど、敵情視察するなら冒険者が良さそうだよね」


「皇帝にして冒険者……」


「転生を繰り返しそうだね」


 まあ転生はしたけどね。冒険者登録するときにユーミ帝国出身って書かないとね。スパイ扱いであっさり捕まりそう。実際スパイだし。「スパイなら皇帝を名乗らないわよ」とかのパターンもあるね。


「冒険者がスパイをやるのは定石だからね~。私も半分小角族のスパイだし。あ、能力証明してあげるからBランクからやるといいよ?」


「そこは急成長する新人冒険者で行きたいね~」


「じゃあ普通にやって上がっていったとこで能力証明書を出して『おっと、知り合いにこんな物を預かっていた』とかやるのはどう?」


「いいね! さすがは冒険者、お約束を分かってるね」


 というかこの星の物語のテンプレらしい。あるんだねそんなお話。リンヤがどんどんネタを並べていくけどどれも面白そうだ。やるとは言えないけど。


「なんだアイツは、女のクセにそんな強いはずがねえ、能力証明書をずばーん!」


「いいねいいね。それまでガンガン行かないとね!」


「ドラゴンの牙とか持っていって『それは俺が落としたドラゴンの牙だぜ』とか言わせて返り討ちずばーん!」


「分かってるね~!」


「悪辣だな……ユーミ無敵じゃん……」


「そこは上手に手を抜いて見せるよ~。石を出して飛ばす魔法とかある?」


「あるあるよ~。あるあるある~」


「あるが多い!」


「石を出す魔法と偽って小石を飛ばして槍でちまちま戦ってテレポートスキルだけあるように見せようかな。普通に雷魔法は覚えたいけど」


「いいねー! そういえば虹色の魔魚の鱗とかもポイント高いから持っとくといいよ」


 そっか、魔物の魚は冒険者ギルドに提出できるんだね。虹磯鯛も暮空魚の鱗も余ってるな。


 そういえばずっとクーラーで捌いてたから魔石も貯まりまくってたりする。あれも売ればランクアップだね。


「お、それで行こう。魔石でランクを一気にCまで上げてみせて『あんなヤツがそんなに強いワケが……』Bランク証明書をばーん! 魔石をさらにボロボロ出して『実はSランクでも余裕でした』とかいっちゃおう。ヤバい、そのときは私も連れていってね! 受付嬢の後ろから現れて『あら、貴女はユーミ帝国の皇帝様じゃないの。認めないと外交問題になるわよ』とか受付に言ってやりたい!」


「いいねそれそれ!」


「なんというマッチポンプ……酷い自作自演を見た……」


 カツオノ君は分かってないね~。冒険者ならありがちなシチュエーションらしいし、楽しいじゃん。まあ私は冒険しないで引きこもるけどね。


「我もやってみたいのだ」


「ホタテさんも実はヤバい人だったりするの?」


「水と風の魔法がハッキリ言ってSランクだよ~」


「やっぱり『あんなガキが湿原の魔物を倒せるはずがねえ』とか『待て、あれは小角族!』とか」


「やろうやろう!」


「それで『我は二百八十を過ぎておるのだが?』とかやればいいのだな!」


「それで『小角族があんなに強いとはな……。湿原に攻めるのは無理だぜ……』とか話題になれば男爵も止められるかもね~」


「一石二鳥だね! ホタテさんの証明書も書いとくねー!」


「なんか冒険者たちが可哀想になってきた……。ユーミにホタテ酋長……。絡んだ者は死ぬ……」


 そこまではしないけどね。する必要ないし。でも逆さ吊りスキルとかのセットは作っておこう。臭い追跡スキルとかもいいかも。いやー、実際にどうなるかは分からないけど意外と楽しそうだわ。


 どうせ無人島だとゆっくりしたくなるから先に冒険者ギルドに行こうかな。






 いつも読んでくれて有り難う御座います!

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