温泉エルフ。
リンヤは主要キャラです。
エルフエキスの入った温泉は美容にいいだろうか。
どーも、ユーミ帝国初代最終女帝、ユーミです。初代なのに最終です。死んだあとのことなんか私はしらん。まあ流石に友人にニヤついた自分の死体を始末させたのは心苦しいけどね! ごめんねエリ!
そういうわけで温泉にエルフを浸けて出汁を取りますね。ちなみに私の境遇とかスキルは説明しておいた。Sランク冒険者らしいけど凄いのかな? 上にはレジェンド(L)ランクがあるそうだ。
「エルフ出汁と小角出汁で美容と健康に良さそう」
「ついでに御使い出汁も出てるよ」
「飲んでも苦いだけなのだ」
「これ何泉なんだろ……」
まあ何泉にしろ暖かいからいいかな。大きいお風呂はやはり最高である。お酒も出しちゃう。クーラーで分析すると硫黄泉だった。硫化水素も出てるから外風呂にして正解だ。卵の腐った臭いもしている。
「川に変な堤防も作ってたし御使いって凄いね」
「ユーミは全部趣味でやってるらしいのだ」
「趣味って規模が凄すぎない?!」
「だってスキルだし。私の力でもないからね」
「大盤振る舞いにも程があるんじゃないの?」
「頼まれたってやらないから大盤振る舞いなのかな~」
「自衛の結果ってこと? やっぱりやり過ぎな気がするけど」
「ユーミの好きにしたらいいのだ。どうせ逆らえないし返せないのだ」
「そりゃ返すの無理だろ、あんなの」
「返していらないー。趣味でやってるだけだからー」
「趣味は国家防衛と環境破壊と世界征服です」
「倒す!」
「嘘です、小角族を愛でるのが趣味です」
「私も好きです」
「同士!」
「え~……」
「なんで嫌そうなの?!」
私は小角族滅びてもいい人だから同士ではないね。可愛いし抱っこしたいけど、飽きたらたぶん放置するし。
「猫みたいだね」
「まあ飽きられないようにするのだ。ユーミはある意味洪水と同じなのだ。全てを破壊することも土を豊かにすることも思いのまま、我らはそれをいいとこだけもらって生きていくのだ」
「うーん、なるほど?」
「まあ洪水みたいに理不尽に奪ったりしないけどね~」
「私なら奪い尽くすけど」
「お帰りはあちらです!」
「奪わないけど~」
なんかリンヤさんともう仲良くなってしまったな。元々友達はできやすいけど。
「人タラシなのだ~」
「別にたらしてはないけど。面倒だし」
「酷い、遊びだったのね!」
「遊びですとも!」
遊んでるだけですよ~。ちっとも酷くないよね? エルフと遊んでいます。
「エルフで遊んでいます」
「否定はしないけどね~」
「冷酒美味しいのだ」
「マイペースね! あ、美味しい」
「お代は魔力でお願いします」
「エルフの魔力を見せてくれるわー」
「実はそんなに入らないのだ」
「あー、もう満タンになってる」
「使っていいよー。お酒はこれだけ種類があるよ」
クーラーを開けると各種お酒が出てくる。このクーラーは普通に箱としても使える。あんまり意味はないけどね。
「この箱普通に箱としても使えるのね」
「本来箱としてしか使えないんだけど」
スキルの方がおまけです。おまけが酷いレベルだけど。さて、エルフ出汁にも浸ったのでそろそろ出よう。逆上せてきた。私自身は無敵でもなんでもないな。
今日はシマアジみたいなアジがあるのでお刺身からいただこう。川の上流でわさびでも探してこようかな? 今はスキルで出すけど。
「あー、これどっかで食べたことあるよー。醤油も一緒に食べた」
「マジで。転生者かな」
「御使いは何度か降りてきてるのだ」
「この世界ってたぶん日本の座標軸と時間軸かなんかが交差してるんだわ」
「意味が分からないけど異世界でも一ヶ所としか繋がってないってこと?」
「分かってるし! まあ推測だし意味が分からない現象だけど」
「それで空から降ってきたのか?」
「いや、それは知らないけど」
皮を焙って大根みたいなしゃきしゃきした根菜と酢の物にしよう。美味しいけどこの野菜は謎だ。大きさは人参くらいの大根みたいな。かぶとかもあるのかな。輪作に使えるのだろうか。マメ科の野菜も育てないと?
空中窒素固定ってよく考えたら当たり前に生物に必要な現象なのにあんまり教わらないよね。窒素化合物がないと生き物はできません。根粒菌っていう空中窒素固定を行う菌はマメ科植物の根にだけ着くんだよねぇ。不思議。
というか硫黄泉が出るのでここは酸性が強い土地なんだよね。玉葱育てないと。そういえば小角ネギとかいう野菜があるんだよね。
山を丸一個切り崩したのでさつまいもみたいな芋とか茄子っぽい野菜も見つけたので品種改良していこう。二百年もすればトマトとかできるかも。ジャガイモとトマトは茄子の仲間だしね。ピーマンが唐辛子とかパプリカになるから植えようかな。唐辛子は普通にあるらしい。幾らかは御使いさんが作ってるのね。味噌と醤油も大陸によってはあると。
「まあ私は旅とかする気はないかなー。ニートだし引きこもって釣りしたい」
「アウトドアニート」
「国家防衛ニート」
「何それ。まあするけど? 堀とか砦とか作るのは普通に面白いし。戦争仕掛けてこようか?」
「無駄に喧嘩っぱやいね」
「いや、やらんけどね。釣りをする時間がなくなるし」
「ニート暮らしのための国家防衛戦略で砦を作るのだ」
「恐ろしいレベルの本末転倒を見た」
「世界が未熟なのだよ」
「まあそれはねえ。成熟した世界なんて見たことないわ」
「ないのだ。みんな自分の国の領土を広げて飯を食ってるのだ」
「領土がないとご飯が食べられなくなるんだねえ」
「畑も好きに作れないしね」
「この土地は既にユーミ帝国の物である!」
「そして小角族が勝手に繁殖してるのだ」
「こうして害虫駆除ならぬ小角狩りが始まるのである」
「いや、しないけど。勝手に住んでていいのよ」
このエルフ面白いなー。防衛戦力で使ってやろう。
「まあ使われに来てますけど?」
「リンヤさんは何ができるの?」
「スキルは血解だね」
何でも敵でも味方でも血を流していればそれでバリアを張るらしい。触れたものが溶けるバリアを意図的に対象を絞って張れるとか。便利なスキルみたいだね。
「ゴーレムとかでも溶かせるので便利です。雷とかに弱いけど」
「雷避けに水蜥蜴の鱗鎧を使うのだ」
「水蜥蜴と言えば陸鮫とか数が減ってない?」
「たぶんユーミが降りてきて一時的に魔物が減ってるのだ。ゴブリンやオークさえ見ないのだ」
「いつもはいるんだね~」
まあ私は冒険はしないつもりだ。拠点を作ってこもるのが私の流儀です。スローライフ万歳。
「旅もいいけどやっぱり落ち着ける土地があれば住みたいよねー。なのでユーミ帝国に亡命します」
「第二国民がエルフになりました」
「小角族も住まわせて欲しいのだ」
「小角族は家畜です。角が取れます」
「そんな気ないくせに」
「これが……ツンデレなのだ……」
別にツンデレちゃうけど。まあ小角族の角を取って売る気はさらさらないね。小角族は一緒に暮らして愛でる物です。
「ペットなのだ」
「ペット暮らしって意外と楽かも!」
「ペット暮らしって究極のニートだよね。私を養えー」
「まあユーミの方が養ってるけどね」
「我らも自活してるんだが?」
「まあねえ、瓜とかよくもらうし、美味しいし」
小角族の作る瓜はなかなか瑞々しくて甘いんだよね。物々交換とも違うけど、共存関係は築けてるね。
明日からはこの辺りを一キロ四方くらい城壁で固めていこうかな~。畑の区画も城壁で覆うんだよね。魔物が出るから。もうちょっと外にさらに壁を作ってもいいけど今のとこ食料は森や海や畑で採れるもので足りてるしなぁ。
あ、ちなみに今はカイバシラの畑から採れてるのでそれをユーミ帝国に移す予定だ。ゆっくりとね。スローライフだし。畑は任すけど。
えるふーえるふー。
いつも読んでくれてありがとねえ。飴ちゃん食べるかい?