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磯釣り。

 アジさんと磯に来ましたー。ダッシュで来たけどアジさんも速い。間伐されてない森の中を抜けたのに(つまず)きもしなかった。山歩きに慣れてるね。まあ私も躓かなかったけど。森のことは良く知ってるしね。


「ユーミは田舎の人なのか?」


「うちはわりと都会だったけど? まあ休みはほとんど自然の中で遊んでたんだけどね」


 都会……の隣だったのは事実だ。私は野生動物な所はあると思う。サバイバルは英才教育受けてるからね。獣道とか見つけて罠を仕掛けるのは爺ちゃんに教わったし、山歩きは狭い所は婆ちゃんに、高い所は母さんに教わった。サバイバルはプロフェッショナルな家だった。みんな死んだけどあんまり悲しくはないな。野生で死ねるのは幸せなくらいだろう。寂しくはあるけど人は死ぬものだ。死なない生き方が楽しければそうするけどやりたいことやって楽しんで死ねるのは理想だね。私は死んでも別にいいけど死ぬ意味はないから生きてるね。生きてるのが楽しいし、死ぬ理由がない。まあ死んだんだけど、ね……。今は生きてます!


 死んだ瞬間も血を見て笑ってたのは私らしいかもしれないな。この世界で死ぬときも多分私は笑ってるだろう。死ぬのは別に怖くない。どうせ生きてるのもおまけなんだから。


 今度は、死ぬときは誰かが側にいたらいいかな。やはり一人死ぬのは寂しいもんだし。


「アジさん、死ぬ時は側にいてね」


「いれたらな」


「プロポーズみたいだね」


「そんな気もないんだろう?」


「全然ないね」


「まあそうだろうな」


 まだお互いに良く知りあってないしね。つか誰とでも恋愛する気が全くないな。私はそこにいて落ち着く人と一生涯、ただそこにいるだけで終わるだろうな。ドキドキしたり燃え上がる日も来るんだろうか? うーん、私は性格的に野生的なつもりなんだけど、そこはドライだな。こちらの方が動物的なんだろうか? 恋愛は理性でする物なのかね。それはつまらないことで。本能だけってのも違うなあ。必要なら手を伸ばすんだろうけど、必要がない。うーん、寂しいやつだな、私は。恋をできそうにない。


 今は友達といれたらいいや。たまにみんなを眺めながらお酒飲んで、あとは釣りしてたら問題ない。ただ生きているのも楽しいよね。


「さて、餌はその辺りの貝や海老を収納してと」


「針が大きい仕掛け?」


「大物ばっかり釣れてくるんだもん。この磯から離れる海流の流れが速いっぽいのでオモリは重い茄子型で、ハリスを二本くらい付けてみよう。流れで先糸が捩れるからヨリモドシは必須だね」


「うむ、釣れそう」


「底を探るからアジより鯛が狙い目かな」


「知らない釣り場のはずなのに知ってて笑う」


「確かにいないかも知れないけど、餌がある所にはそれを食うやつが必ずいるよね。間違ってたらそれはそれで嬉しい。知識が増える」


「もしかしたら餌になる生き物の他の生き物はいないかも?」


「そういうこともある。それも釣りなんだよ」


「なるほど、釣れないのも釣りか。生態系は分かる」


「そうそう、釣れないことは、分かるならそれも次に繋がる。まあずっと釣ってたら必ずなにかあがると思うけどね」


 そこまで生態系と言うか、生物の基礎的な部分は変わらない。生き物は食って生きる。まあ魔力だけで生きる生き物もこの世界にはいるけど、それは釣れないな、釣り方はあるかもしれないけど。友釣りとかリアクションバイトとかね。


 リアクションバイトと言うのは縄張りを荒らすことで魚を怒らせて攻撃を誘って引っ掛ける釣りだ。ほぼスレ掛りになるから釣り上げる間に切れたり外れたりしやすいけど、それなら餌を食わない魚も釣れる。友釣りはその一種だ。


 まあ今回は餌釣りだけど。餌を針に付けて、二人でオモリを海に放り込む。


「よっと」


「ぽちゃん」


「ぼちゃーん」


「むむ、魚が逃げるぞ」


「波がうるさいから大丈夫……だと思いたい」


「適当だな」


「適当です」


 初めてのポイントだしね、遊びで竿を出してるのに緊張しても仕方ない。楽にやるべし。食うためになら漁をする。釣り理論。


「磯から沖に太陽がー、風の精霊連れていくー!」


「なぜ歌う」


「歌っても別に釣れるからね」


「聞こえないのかな」


「多分波とかで音は遮られる。私は歌ってた方が釣れるし」


「釣りは奥が深い」


「そうかなー」


 食わなきゃ駄目な生き物は腹が減ったら危なくても美味そうな物に食らいつく。それはサガだ。逆らえやしない。ヒット!


「フィッシュ、フィッシュ、キター!!」


「流石!」


 底を潮に任せ流したら食らいついてきたよ!


 多分磯に隠れていた大型の根魚か鯛の仲間だね!


「だから何故分かる!」


「たぶん、たぶんだよ!」


 地球の魚種の生息域とたまたま被っていただけだよ、たぶん!


 まあ生き物は生きられるように生活環境を選びそれに適応していくからその結果が似かよるのは必然なところはあると思う!


「引き込まないな、なんか横に走る!」


「青魚か?」


「たぶん、でも根に近い所にいる青魚は根に逃げるんだけどな。ブリかマグロの仲間かも!」


「だから何故分かる! 凄いな御使いは!」


「御使い関係ないと思う!」


 陸っぱり(陸上から)の釣りで沖合いの魚が釣れるのは潮が速くて深いポイントだ。こういうポイントでは鯛とか船釣りで釣れる魚があがってくるので面白いんだよね!


「タモさん! 行けるか!」


「行けそう! イチゴーってとこ!」


 釣れてきたのは1・5メートルのシマアジのような魚だ! これなら網に入るかも! 糸がグリグリ走ってるよ!


「よーしよし、青物は速いけどスタミナがわりとないんだよね」


「入れー!」


「よっしゃ! 釣れたねー!」


 タモさんに入る大きな魚体! 青い体に黄色いラインが走る、綺麗な青物が釣れた! いい釣りしたなー。


「食うのに困らないな」


「そうだねー。スキルのお陰だけど」


 釣り場から釣り場にテレポートできるからね。魚がいなければ即移動できるのは大きいんだよね。釣り場をどんどん移動しながらアタックするのはランアンドガンっていう釣りの技の一つだよ。


「俺も一匹あげよう」


「その前に私が釣るね!」


「勝負!」


 わはは。釣りは本当に楽しいよね。


 次にヒットしたのはアジさんの竿だった。深く抉り込むような引きから鯛の仲間だと思ったらカサゴと鮟鱇を合わせたような奴だったよ。根に走ったから鯛かと思ったんだけどなー。まあ水中が本当に見えているわけではないんだよね。思惑が外れるのも楽しいんだけど。五目釣りとか最高だね!


 アジ科もタイ科も釣れる釣り場は面白いのでしばらく粘ってみたよ。根にいる魚も釣れてきたし豊漁だね。


 小角族は今日もお祭りになるんだろうか。罪深いことである。今回釣れた魚の名前は小角沖鯵と暗磯(くらいそ)大口魚だってさ。見たことない魚ばかり、やっぱり異世界だね!






 いつも読んでくださって有り難う御座います!


 また昼にでも更新します。




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