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天神様の祭。

 三話目。

 なんか小角族の皆さんが天神様の祭だと騒ぎだした。小角族はお祭りは好きらしく、御使い様の記念の祭りとしてこの時期に祭を毎年やるぞ、と、息巻いている。気が早い。小角族ってけっこうせっかちな民族みたいだな。


 まずは今夜を楽しんでもらおう。魚をどんどん腹から香ばしく焼いていく。開いた魚を焼くときは皮を後に焼くといい。盛り付ける側から焼くと綺麗に焼けるんだね。鯖とかだと皮からになるのかな。開きとかは腹からだね。淡水魚はあんまり開かないし焼くときは丸ごと焼くよね。開いても串打ちして皮からかな。うなぎは皮から焼くのね。皮から焼くと縮むって人もいるけどね。自宅なら串打ちして焼く人が珍しいか。炭火を用意して本格的にやる人なんてなかなかいないよね。でもこれが抜群に美味しいんだよ。


 スキルで作った横に長い炭焼き台に串を打った魚を乗せていく。ちなみにこういう大きい魚は塩は予め振ってないと味が回らない。フライパンで焼くステーキだと焼いてる途中とか振るけどね。塩の取りすぎには気をつけたいけど魚の場合ヒレとかに塩をすりこんで焦がさないようにする事もあるよね。この魚はヒレとか外してるので少ない塩であらかじめ味付けしておいた。まあ炙ってたらある程度落ちるんだけどね。煙も味付けに一役買うんで全く脂が落ちないのは駄目なんだよね。後は手早く強火で焼く。水気は旨味なので飛ばしすぎないように。炭火は遠赤外線の効果もあるからすぐに焼けるよ。強火で遠火って言うね。うーん、炭火に落ちた脂の焼ける香りって殺しにきてるよね! 小角族の皆も炭焼き台に張りついてるぞ! 火傷するからあんまり寄らないでね!


 見た目が子供だから心配だけどこの場にいるのはだいたい私より年上らしい。みんな幼児に見えるけど。はしゃぎ方も子供だし。


 焼いた魚をつまみにみんながお酒を飲んでいる。チューハイだからまだ見た目はジュースだけど一升瓶とか抱えてたら異様な光景だっただろうな。


 ちなみにクーラーボックスからいちいち私がお酒を出すのは大変なので、スキルがある程度バレるかもしれないけど、一通りお酒を出してみせてから数人にはお酒を出したり魔力を注いだりできる使用権を与えてみた。一人ではとても回せないもんね。空き缶を回収して収納すればそんなに魔力消費もないようだ。また森に行って植物や水を収納しておこう。材料が足りなくなるよね。


 ある程度焼いたところで他の小角族の人たちが変わってくれるというので、私もホタテさんたちの輪に加わることにした。魚を出しておいたらみんな入れ替わりで焼いてるね。みんな小さい子に見えるけど本当に十代未満の子もご飯だということで食べに来ているらしい。全然見分けがつかない。


「あー、温泉に入って冷たい酒を飲みたいのだ」


「はまっちゃった?」


「むう、ホタテばかりズルいのう!」


「まあ明日は帰ってから温泉をもう一つ掘ろうかな。家も建てないと駄目だろうし、そうすると下水の工事もしないと駄目か」


 いかにクーラーボックスのスキルが凄くてもかなり忙しいことになりそうだ。でも楽しみにも思っている自分がいる。こういう忙しさはいいよね。自分のことをして忙しいのが一番だよ。


 スープや塩むすびも準備されたので私はトカゲ?の肉を焼き鳥風に甘辛いタレで焼いたりして提供した。トカゲわりと美味しい。脂は少ないけど旨味はあるから牛脂とか使ってフライパンで焼くのがいいかも。また試してみよう。ちなみに牛は水牛を飼ってるらしい。小角湿原は南に広がっているが北は草原や火山が多いらしい。


 ここからも高い火山が見えるなあ。何メートルくらいの標高だろう。母さんの血なのか高い山を見ると登りたくてウズウズしてくる。火山を削ったら噴火しちゃうかなー。素材が欲しいんだけど。また採りにいかないとね。


 小角湿原の西側は北から南まで大規模な森が広がってるね。資源も多そうだし、誰か案内してもらって奥まで採取に行きたいな。間伐もついでにできるし。この森の向こうが海で、ちょうどいい具合に防風林になって塩害を防いでくれているらしい。


 洪水対策で大きめの水路を東西に掘っておきたいな。洪水で土が富む面もあるから治水って本当に悩ましいんだよねぇ。治水した結果魚が獲れなくなることなんてよくあるし。


 宴もかなり盛り上がってきたところでドワーフさんに強い酒を求められた。ドロタさんという鍛冶師の人らしい。色々作ってもらいたいし仲良くしておきたいな。お父さんが入れてたウィスキーとかテキーラとか、あとはチューハイのウォッカの成分を複製して瓶に入れて出してみる。


「うおーーーっ! これじゃーーーっ!!」


「なんじゃドロタ、自分だけ飲むじゃないわい! うん、まあーーいっ! これじゃな!」


「これじゃろ!」


 ドロタさんが飲んでるとこにブリ婆ちゃんも来た。賑やかに強い酒をグイグイやってる。


「まったく、この二人は強い酒ばかり有り難がりおるのだ」


「まあ気に入ってもらえたならよかったよ。あとで釣竿とかリールを見てもらおう」


 ホタテさんは呆れている。リールも細かい構造ではあるけど、ギアを組み合わせて縦にハンドルを回すとベールが回って糸を巻き取る仕組みだけだから、丈夫さとかを求めなければそんなに難しくはないはず。スプールやドラグは難しいかもしれないけど。パッキンとかゴムとか作れなさそうな部品はあるなぁ。ゴムの木とか探そうかな。南国っぽいしあるでしょ、たぶん。


「神世の道具も作ってみたいのう」


「この酒も作れんかのう」


「蒸留ならそんなに難しい仕組みじゃないけど、上手く道具を作るのは難しいかも」


「作れるならチャレンジするのじゃ! こう見えて儂も錬金術師の端くれよ!」


「ブリ婆さんは酒で、ワシは道具だな!」


「生活基盤を整えるのが先なのだ……まったく。お、このてきーら、旨いな」


「キツいから気を付けてね。まあ大丈夫そうだけど」


 見た目幼児がついに瓶を抱えて飲みだしたよ。お酒はこれからも彼女らに任せよう。私は建築と治水の工事だな。上下水や浄水システムも作らないと。固形物は水車を幾つか使って柵も使って砕いて、下水道掃除する人を雇わないと駄目かも。しばらくはクーラーボックスのスキルで浄化かなぁ。人が住むのは大変なことだね。服とか食べ物も用意しないとなぁ。釣りを広めたら獲ってきてくれそうな気はするけど……、釣りは私がやる!


 まあみんなに広めてもいいけど、そこはやっぱり譲れないよね。沖に出られるように船を用意しないと駄目かも。ホタテさんに相談してみないとね。






 読んでくださり有り難う御座います。

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