温泉。
三話目です~。
掘るぞー。掘るぞー。温泉掘るぞー。
掘る速度遅いなーと思ったので少しずつ速くしている。かなり時間がかかってるし空気抵抗はカットしているのでたぶんそろそろ時速200キロを超えてると思う。そろそろ温泉出るだろうし、ゆっくりブレーキをかけていく。ちなみに穴を掘ってるのでその間もいろいろ、土とか鉱石とかガンガンと採れてる。収納した分子をウインドウで見てみると鉄とかも幾らか収納できてるね。
うーん、短気になったら間違ってマグマまで掘りそうだ。気を付けよう。このスキルって一旦設定したら歯止めが利かなくなる辺り、本当にコンピューターのプログラミングに似てるなぁ。コンピューターは絶対にミスをしないから人間がミスしていると必ずミスをするんだよね。しかも止めるまで延々とミスする。人間はみんな間抜けなんだよ。人に命令する人にはプログラム書かせると良いよ。自分が間抜けなのがよく分かるから。私もね。気を付けないとこのスキルは命に関わるな。
私は就職に有利になるかなと基本情報技術者は取ったけど全然使えなかったよ。IT土方やりたくなかったしね。大抵ブラックらしいし。
結局飲食店でバイトしてたけどアパートとかマンション幾つか父さんにもらってたからなぁ。ぶっちゃけ働いてたのは趣味以上に理由が無かったんだよねえ。店長より金持ちだと知られたときは「なんでうちで働いてんだ」って笑われた。まあ実際に働くのやめて無人島にこもろうとしてたんだけどね。
さて、どうやら温泉の源泉に当たったみたいだ。スピードが遅くなってきた。【設定】30度以上の熱を収納。インフォメーションさんによるとこれで高温対策できるらしい。
設定で熱収納バリアを成形して一気に25メートル掘り進む。どうやらなかなかの圧力の原泉のようで、今は岩盤に覆われているから噴出していないらしい。もちろんこのクーラーの掘削力で掘れない分子構造は無い。ダイヤモンドでもスルスル掘れるぞ。
一気に岩盤を掘り下がる。お、ん、せ、ん! あ、当たった。
ブハーーーーッ!! 思いっきり源泉が噴き出し私は一気に地上まで押し返される。あつーい温泉らしいけど熱収納バリアが完全に効いてるね。もろにかぶっちゃったけど。どうやら熱は際限なく収納できるみたいだ。溶岩でやると固まっちゃうけどね。そのときは掘ればいいや。
そのまま地上に脱出できた。まあヤバかったらインフォメーションさんが止めただろう。おっと、濡れた部分は水気を収納。だんだんお湯の噴出速度も落ち着いてきたかな?
石畳を合成して噴き出すお湯の周りは岩のパイプを作って、岩で囲った池を作ってそこに注がせてそこから下の方に湯船を作り、さらに余って溢れたお湯を溝で集めて下水を押し流すためにそちらに落とし込むN字排水管を設置~。小さい穴の空いた蓋をして水は流れるけど人は落ちないようにしてあるよ。よし、湯船を改造して岩風呂にしていこう。水を抜けるようにしないと駄目かな?
石畳がまた綺麗にできたな。インフォメーションさんなかなかやってくれる。慌てて作ったから範囲指定とかしてなかったけどお風呂場の範囲内だけ石畳になってるね。うん、温泉の出来上がりだ。
湯温はちょっと高いな。湯船を増やして適温のとことちょっと湯温が高いとこに分けるか。側溝を流して温度を下げるようにしてみた。実際の温泉の構造は分からんな。まあいい感じの湯温だから良いか。
……うーん、私も日本人だからか温泉を見ると入りたくなるなぁ。水風呂も用意しよ。川の水を砂と炭で濾して別に湯船を用意してそこに流し込む。余剰分は排水管に流す。下水が水量多くなって綺麗になりそうだね。今はN字排水管だけで臭いはしないけど嵐とかで逆流したりしないかちょっと心配かも。
おっと、そんな考察は後だ。今日は釣りをやめて温泉にしよう。だってヒラメまだまだ残ってるし。数ヶ月食べ続けても無くなりそうにないよ。
そう言うわけで、温泉である。何故クーラーにリンスインシャンプーとかお風呂セットが一式入っていたのかは分からないが、今は感謝して複製を作ろう。タオルもあるしね。バスタオルは入ってなかったけどもこふわのハンドタオルから合成した。素材は間伐した植物で間に合うようだ。
洗面器は無かったけど構造がイメージできないほど複雑じゃないのでプラスチックで合成した。樹脂は植物から幾らでも作れるね。素材となる分子と構造のデータだけあればイメージできる物は作れる、って言うのは有り難いなぁ。難しい物は無理だけどお皿とかは簡単に作れる。金のお皿とか趣味悪いけど素材があれば作れるんだよね。核融合もやりようでできるんだ。さすがにチート過ぎるかも。そんなことより素材採取とか釣りとか楽しみたいけどね。
温泉一式を持って適温にした湯船に入る。うーん、この入る瞬間がワクワクだなー。あ、もちろん体は予め洗ってるけど汚れだけ収納とかできるよ。雑菌も残さず綺麗にできる。実は雑菌やダニの中には人間の肌を綺麗にしてくれる奴もいるんだよねー。知らないと全身が菌やダニに塗れてるとか、ただキモいと思うだろうけど。不潔なのは駄目だけどね。
うふふふふ、クーラーに入っていてくれた大好きな冷酒を合成。やっぱり温泉には日本酒ですなぁ。フルーティーな奴なんで苦手な人はいるかも。きりっとした香りだけどあまやかだ。女の子が飲みやすいタイプだね。私も好きだ。ガールだしね!
ふー、昼から温泉でお酒とか私もずいぶん贅沢だな。スキルで【合成】した、木のお盆にクリスタルで合成した切子が美しくて、この世の贅の限りを尽くしてる気分だ。これこそスローライフだねえ。
お月様とか見ながら入りたいけど昼だ。海が見える位置にも作ってしまおうかな! 覗きは死ぬように作らないとね。慈悲はない。痴漢は殺していいと古事記にも書いてある。書いてないか。
なんかおつまみ欲しいなー。ヒラメの皮を炭火で炙ったの収納してあったので食べよう。モグモグ。少し乾燥させてもいいな、これ。みりん干しも食べてみようかな。うん、美味しい。
ちょっとのぼせてきたら水風呂に入ってもいい。サウナとか作るのもいいかなー。個人の家のレベルをすでに超えてるなぁ。クーラーボックス様々だよ。こんなクーラーボックスならどんな世界でもやっていけるよね。
うーむ、しかし私の肌の白いことよ。日焼けには常に気を使ってる。服の生地が薄いと長袖でも光が貫通したりするから気を付けてね。日焼け止め塗っとこうね。
手足は長いんだよ、私。全体のスケールがおかしいだけで。身長は男子に入っても高い方だったしね。エリが王子呼びした挙げ句ファンクラブまで作ってたけど髪とか伸ばせば美女に入ると思う!
……思いたい。
まあ手入れが面倒だからいつもショートなんだけど。こんな性格ではモテるはずもないし別にいいかなって。サバイバル大好きで獣とか普通に捌けるからなぁ。私だけ現代社会に取り残されてないか? まあもう異世界だし気にするまい。ゴブリンとかいたら躊躇なく頭に鉈を叩き込む自信あるけどガールだし。このまま大人しくスローライフしよう。戦闘とか避けれるなら避けたいよね。あ、フラグ立てたかも?
スキルを隠すために武器の使い方とか魔法とか覚えたいものだ。バレるとチート過ぎて狙われそうだしね。人質とか取られて隠されたらさすがに困るし。私は槍とか雷の魔法とかが使いたいかな。魚が獲れるし。回復は錬金術とかならこのスキルと相性よさそうじゃない? まあそれはそのうちとして。
ふふふ、温泉で泳いでやるぞー。私の私有地だし問題ないよねー。土地を放置してるやつが悪いんだー。誰か来ても言い張ろう。ここはうちの土地です、と。
うーん、裸でも全然問題ないんだけど元が女らしくないから逆に女を捨てすぎるのは怖いな。まあどの道モテないからいいけど。人も今のところ見当たらないし。人が来たらインフォメーションさんに教えてもらおう。
はあー、温泉はいいなぁ。コーヒー牛乳とかイチゴ牛乳とか無いかな。クーラーの一覧をめくってみると入ってた。箱の奴だけど甘いコーヒーとイチゴミルク。瓶のをごきゅごきゅやるのが風情なんだけど、まあペットボトルに中身を移すくらいなら手間もないか。合成してみた。あとで飲もう。他にもブラックのコーヒーとかコーラとかもあるのか。飲み物の方は制限ないんだな。まあ焼肉用の牛肉パックとか出てきたらつまんない気がするけど、そう言うのは記録に入ってない。食材は採れと。
なんとなくこちらに来てからの汚れを落とすような気持ちで体を洗う。夕飯は何にしようかなー。ヒラメ確定だけど、そうだ、ゴマダレ作ってヒラメしゃぶしゃぶにしよう。お酒は何にしようかなー。
スキルの使い方とかちょいちょい直すかもしれません。