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天然な口さけ女

作者: 花舞月夜
掲載日:2019/11/24

処女作のため、出来は悪いと思います。


・誤った表現、誤字、脱字はバシバシ報告してください!


・似たような作品があり、パクりを疑われるようであれば、速やかに報告していただければ、気づき次第その作品を確認し、小説を修正または削除させていただきます。


・苦手な場合は、速やかにブラウザバックを、してください。


 私はなぜ今、口さけ女と二人きりで公園のベンチに一緒に座っているのだろうか。しかも、数分間、お互いに無言。私はどうしてこんなことになってしまったんだろうか。



 ◆◇◆



 私は、塾の帰り道は、出来るだけ、電灯の多い、人通りの多い道を通るようにしている。理由は、不審者対策だ。さっきもこの近くで不審者が出たらしく、お母さんから『気をつけて帰って来てね★』というメッセージがスマホにきていた。


「気をつけろって言ったって、どうやって気をつけろと? とりあえず、ちょっと急いで帰るか」

 

 私は、いつもの角を曲がり、先を急いだ。


「えー! なんでこんな時に限って工事中? 朝は通れたのにな」

 

 どうやら昼の間に工事が始まっていたらしく、通れなくっていた。


「はあー。今日はついてないにも程があるよ」

 

 朝も水たまりの水を車にかけられるし、何もないところで転ぶし(しかも、転んだのが校門前で、めっちゃいろんな人に見られて恥ずかしかったし)、いつもは当たんらないのに、昨日たまたま寝落ちして予習してなかった古文の和訳は当たるしで、もう最悪……。


「今日は厄日だわ」

 

 私は、そう言いつつ道を引き返した。

 

 そして、私は、あるT字路で立ち止まっている。少し歩けば交通量の多い大通りに出ることができるが、その道はかなり大回りしなければならず、時間がかかってしまう。しかし、ここを右に曲がれば、いつもの道で帰るよりも早く家に帰ることが出来る。

 

 とっとと曲がり角を曲がってしまってさっさと帰ればいいと思うかもしれないが、私はこの道を通るか迷っていた。私がなぜ迷っているのかというと、その道は車一台分しか通れないんじゃないかと思うくらいに狭く、電灯も少なく暗いのだ。


「どうしようかな」

 

 時刻を確認しようとスマホを見たとき、私はあることに気づいた。


「バッテリー十%しかないじゃん! やばっ! 充電しなきゃ」


 私はガサゴソと鞄をあさった。しかし、いつも持ち歩いているはずのモバイルバッテリーが見つからない!


「そういえば、昨日モバイルバッテリーを家で充電したから、そのまま忘れてきた?」


 そうこうしているうちにもバッテリーは減っていく。


「よし。早く帰ってスマホ充電したいし、進むか」


 私は、考えるのがめんどくさくなってきたのもあって、角を曲がることにした。


「しっかし、やっぱり暗いなー。なんか不審者より、霊的な何かが出てきそう」


 そんなことを考えつつ、そんなのあるわけがないと思っていたが、何だか後ろに気配を感じる気がする。


 ……コツ……コツ……コツ

 ……コツ……コツ……コツ


 ん?なんか足音みたいな音が聞こえる気がする。まさか、今この近くに出たとかいう不審者か?いや、この道に私が入った時は周りに誰もいなかったはず。とりあえず、振り返ってみるか。ただのこのあたりの住人かもしれないし。

 

 私は、おそるおそる後ろを振り返った。


「あれ? 誰もいない? あー、これ本格的にヤバいやつだ。これで『誰もいない良かったー』って前を向くと前にいるやつだ。なんとなくそんな気がする。最近そういうホラー映画見たからかな」


 前を向くのが嫌だが、後ろ向きでこのまま歩いて帰る訳にもいかないので、前を向こうとした。その時、生暖かい風が後方から吹いてきた。


 今すごい前を向きたくない。足音は幻聴、風も偶然だよね。そういうことにしておこう。


 私は、バッグと手に持っているスマホを握りしめ、ゆっくり前を向いた。


「あ、誰もいない。良かった。足音とかは気のせいだったのかな」


 私は、再び帰り道を歩き出した。自分に気のせいだと言い聞かせたつもりだったのだが、完全には誤魔化せなかったらしく、歩幅も小さくなり、足も震えていた。


 ……コツ……コツ……コツ

 ……コツ……コツ……コツ


 やっぱり、足音が聞こえる。幻聴ではないと確信出来るくらいにはっきりと聞こえる。しかも、さっきより足音が大きくなっている気がする。


 だんだん、音は大きくなってきて、近づいてきているように感じられる。


 全身に鳥肌が立ち、髪の毛までもが逆立った。怖くて足も思うように動かず、いつの間にか立ち止まっていた。


 「これ、振り返ってみるしかない……よね? 私幽霊に対する対処法とか全然知らないんだけど……」


 私は、今度は両目を瞑り、またゆっくりと後ろを振り返った。そして、片目だけおずおずと開いた。そこには、



「ワタシ、キレイ?」



 口さけ女がいた。

 マスクを外し、大きな口が露になっている。

 ほとんどの人は、ここで驚くだろうし、人によっては、腰を抜かしたり、叫んだりするだろう。


 だが、私は驚かなかった 

 

 なぜなら、その女が『ワタシ、キレイ?』と尋ねていた相手が、工事看板だったからだ。しかも、まだそのことに気がついていないようだ。そして、またさっきの質問を看板に投げかけていた。


 私の頭の中は、自分が口さけ女に気づかれていないという安心感と、違った意味での驚きでいっぱいで、軽く放心状態になっていた。


 大体の人は、今のうちに逃げるんだろうなと他人事のように考えてしまっている。


 だんだん頭が冷えてきて、ここでは、逃げるのが正しい選択肢だろうと考えられるようになってきて、逃げようと決意した矢先、やっと看板であることに気づいた口さけ女と目があった。バッチリと。


「「あ」」


 目が合ってしまった。ヤバい。口さけ女って確か、キレイかどうか聞かれたら普通って答えればいいんだっけ?え、え、ヤバい、ヤバい。とりあえず、相手の様子をみてよう。


 口さけ女の方も動揺しているようで、目線がキョロキョロと泳いでいる。

  

 そして、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、先ほどの工事看板に隠れた。


 え、なんかちょっと可愛いんですけど。なにその動き、看板裏で震えてるとか小動物っぽくてかわいい。ああ、自分の語彙力の低さが露呈する。


 そんな事を考えていると私をずっと見ながら何か考えていたらしいその女に、次の瞬間には、手首を掴まれていて、どこかに猛スピードで連れていかれた。


 そして、冒頭に戻るのだが、私をここまで連れてきたのは言いが、これからどうする気だ?

 

 その女は、私の隣でずっとうつむいていて身動き一つしていない。とりあえず、話しかけてみる?


「えっとー。あの。さっきのこと気にしてないですし、大丈夫ですよ」

「えと、あの……」


 とりあえず、フォローするように話しかけてみて、とりあえず、こっちを向かせることは出来たが、どうしようこれ。


 向こうはあわあわしている様子で、まだ混乱しているようだ。

 彼女が落ち着くまで待っていよう。


 私は、隣に座っていること人を観察することにした。


 とりあえず、この人睫毛長っ!うらやましい、付け睫とかつけなくてもいいんだろうなこの人。口は、大きいけど、唇はぷるっぷる!ちょー羨ましい!『ワタシ、キレイ?』って聞かれたら百発百中『キレイです!』って答える気がする。でも、キレイって答えたら駄目だったんだよね。もしそう答えたらどうなるんだっけ。思い出せないなー。お姉さんって見た目なのに天然ってかわいいな。


「あの、あまり見ないでください……」


 観察してると恥ずかしそうに反対側を向かれた。ちょっと見すぎたかな。残念。そして、急にこっちを向いたかと思うといきなり、彼女の声が響いた。


「あの、先ほどのことは出来れば忘れてください! あと、変な口さけ女がいたとかSNSとかに絶対投稿しないでください! あとあと、学校とかで言いふらしたりしないでください!」

「あ、はい。しませんよ。大丈夫です」


 またお互いに沈黙だ。どうしよう。

 すると、少し時間が経ってから、向こうから質問してきた。


「あの、学生さんですよね? 高校生ですか?」

「はい。今年から高校生です」

「そうなんですね」


 向こうからそう聞かれたので普通に答えてしまった。向こうも聞いてきたし、私も気になることを聞いてみよう。今さらだが。


「あの、あなたは妖怪ということなんですよね?」

「そうですね。一応」

「口さけ女ってもっとお姉さんっていうイメージだったんですけど」

「それは、他の口さけ女の先輩たちが作ったイメージですかね」

「口さけ女って一人じゃないんですか?」

「たくさんいますよ! ほら!」


 口さけ女は、スマホの画面をこちらに向けてきた。スマホの画面には、数十人くらいの様々な口さけ女たちが写っている。


 妖怪ってスマホ持ってるんだ。霊しか写ってない心霊写真って怖くないな。人間しか写っていないと思いこんで見るから心霊写真って怖いと感じるんだろうか。


「あの、ところで、過去にSNSに何か投稿されたことでもあるんですか」

「え?」

「いや、あの、さっき投稿しないでって言ってきたから、過去に何か投稿されたことでもあるのかなって思ったんですけど」


 私は、さっきから気になっていたことを、聞いてみることにした。そして、少し間考えてから彼女は話始めた。


「実は、先月、友人の花子さんが、「花子さん!?」」


 え、ちょっと待って。もしかして、トイレの花子さん? 気になって口挟んじゃったけど、大丈夫かな? 

 私が急に口を挟んだからか、彼女はびっくりした顔でこちらを見ていた。


「大きな声出してすみません。あの、もしかして、花子さんってトイレの花子さんですか?」

「そうでよ。あの、有名な花子さんです」

「花子さんがどうかしたんですか?」

「実は、彼女はいつものようにトイレに隠れて驚かせていたんですけど、彼女っていつも白いシャツに赤いスカートでおかっぱ頭じゃないですか」

「確かにそうですね」


 むしろその格好でなければ、花子さんだと分からないような気がする。


「それで、いつものようにトイレに隠れて、人間を驚かせていたらしいんですけど、それで驚かせた相手にダサいって言われたらしいんです。そして、大量の写真や動画を撮られて、『季節外れのハロウィンやってるやついるwwハロウィンだとしてもちょーダサいww今どにおかっぱとかないわーww』とかいう投稿をSNSにされたようなんです」

「それはびどい」


 そんな事投稿する人いるんだ。花子さんかわいそう。


「そして、彼女はトイレに引きこもるようになってしまって、トイレから出てこないんですよ」


 マジか。私でも引きこもるかもしれないわそれ。でも、トイレには引きこもりたくない。臭くなりそうだし。


「安心してくださいね! 私は投稿しませんから」


 私がそういうと、ほっとしたのかはにかみながらありがとうと言って来た。笑顔がかわいすぎる。

 

「あの、時間大丈夫ですか?」


 私は時間を確認しようとスマホを見たが、完全にバッテリーが切れていた。


「あの、もう遅いので帰った方がいいと思います」


 彼女の方がさっき見せて来たスマホで時間を確認してくれたようだ。

「時間教えてくれてありがとうございます」

「いえいえ。高校生ですし、ご家族も心配されてると思うので早く帰った方がいいと思います」

「はあ、気づかいありがとうございます。早めに帰ります」

「では、私はこれで失礼します」

「また、会ったらお話しましょうね」

「はい、また話しましょう!」


 彼女がそう言った次の瞬間、髪が乱れる程の強い風が吹き、次の瞬間にはそこからいなくなっていた。


「妖怪って本当にいるんだな。ん? あれ?」


 ベンチの上に見慣れないポーチが置いてあった。公園に来たときには何もなかったし、私のじゃないとすると、あの天然な口さけ女さんのものかな。


 とりあえず、預かっておいて。次彼女に合ったら責任を持って返そう。また、この道を通ったら会えるかな。


 私はそう思って家に帰った。



 ◆◇◆



 私は、またあるT字路の前に立っている。あの、天然な口さけ女さんの忘れ物を持って。また、会えるかな。私は、またその角を曲がった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


2019年11月27日 加筆修正しました。内容を後半追加しています。

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