比べ
初投稿がこれかよって感じのクソ作品ですが、まぁ気にしなさんな。
※姉視点
弟ができた時、嬉しすぎて涙が出た。
自分が、今よりもずっと幼い頃から、弟が欲しいと思っていたから。
そうして生まれてきた赤ちゃんは、しわくちゃで、でも何故か可愛く思えて、とても愛おしかった。
成長していくにつれて、弟が私から離れていくのが目に見えて分かるようになった。
それでも、仕方の無いことだと思っていた。
それが、年相応の反応だと思ったから。
喧嘩をしたことは一度も無かった。
でも、昔のように心を開いてくれない弟を強制することは出来ない。
でも、私を好いてくれているとは思っていた。
少なくとも、殺したくなるほど憎まれていた、などとは微塵も思ってなかった。
だから、包丁を持った弟を見た時、驚きと同時に、暗闇の海に落とされた気分になった。
最初は、たまたま包丁を持っていただけだと思った。
いや、思いたかっただけなのかもしれない。
だが、弟の目を見ると同時に理解した。
この子はこんなにも私を憎んでいたのね、と。
でもどうして?
憎まれることなんてしてないのに。
ふと、頭にある光景が浮かんだ。
あるテストの結果を両親に報告した時だ。
私が百点、弟が六十点。
その時、父さんは言ったのだ。
お前は凄いな、と。
同時に、どうして同じ血を引くのに弟の方はダメなんだ、と。
少しは姉さんを見習え。
口癖の様に弟にそういっていた。
その事だろうか?
でも、それだけで...?
いや、父さんだけじゃないのかも。
母さん、先生。
他にもまだいるかもしれない。
そんな大勢から、比べられ、蔑まれていたのかな?
だとしたら、私はそれを受け入れよう。
今まで気づけなかった分、最後は、せめて最後は姉として弟に報いたい、そう思った。
不意に、弟の持った包丁が、腹に。
そう、弟自身の腹に刺さったのだ。
いや、刺したのだ。
弟が。
そして、こちらを不思議そうに見ていた。
理解できなかった。
さっきまでは私を殺そうとしていたのではないのか?
その思いに答える覚悟を今したばかりじゃないのか?
何故、弟は自殺しようとしたの?
どう考えても私のせいだ。
どうしよう。
どうすることもできない。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
ああ、天国だったらまたやり直せるかな。
地獄でもいい。
これは私のせいなのだから。
弟と会えればそれでいい。
次はちゃんと気づいて上げるからね...?
だから、私は包丁を取り、自分の胸にさした。
頭の中に、記憶が蘇ってきた。
その中に映るのは、弟の顔ばかりだ。
笑った顔、困った顔、泣きそうな顔。
ああ、昔はこんなにも心を開いて、接しれてたのか。
次は姉と弟という関係じゃないかもしれない。
でも、それでも。
また、やり直そうね...?
その思いを胸に、眠るように、目を閉じた。
※僕視点
なんでもできる姉がいた。
勉強も運動も、性格さえもよかった。
でも...
母さんも、父さんも、先生も。
みんな、みんな、みんなみんなみんな。
僕を嘲笑うかのように、君のお姉さんはこうなのに、などと拍子抜けたことをのたまう。
だから、仕方ないだろう...?
僕が姉を殺したとしても。
そうすれば全てが上手くいくと思っていた。
姉なんて最初から居なくて、僕は比べられることも無くて。
殺せさえすれば、全て上手くいくと思っていた。
姉のことを嫌っていた訳では無い。
むしろ僕に優しくさえしてくれていた。
だが僕はそれが憎くて憎くてたまらなかった。
だってそうだろう?
ああ、何故僕はこんなにも醜いんだ。
こう思わずには居られないから。
こんな思いするくらいなら、僕を憎んだり、蔑んだり。
まだ、そうしてくれた方がよかった。
そうしたらこんな思いはしなくても良かったのに。
だから、僕は姉を殺すんだ。
もう、こんな思いを二度としたくないから。
そして、包丁を握った僕を見つめてたのは、誰だったのだろう。
母さん?それとも父さん?
ちょっとまってて。
もうすぐ終わるから。
もうすぐ終わらせるから。
不意に、腹が熱くなった。
どうしたんだろう?
見てみると、僕の手にあった包丁がいつの間にか僕の腹に刺さっていた。
一体誰が...?
まさか姉が?
いや、姉は涙目でこちらを見つめている。
ならば誰だ...?
周囲を見渡してもそれらしい人物はいなかった。
何故だ、一体誰が...?
そして、その包丁をまじまじと見つめたら、僕の手がそこにあった。
ああ、そうか。
僕は、僕自身を刺したんだ。
でも、何故?
ああ、終わらせたかったんだ。
この日々を。
比べられるだけの日々を。
僕じゃなく、僕よりもすごい、姉しか見られない日々を。
ああ、やっと気づいた。
僕と姉を一番比べてたのは僕自身だったのか。
僕が気づいてないだけで、胸の中では姉を殺すより僕を殺す方がみんな幸せになる、そう思っていたのだろうか。
思い返す姉の顔はみんな笑顔で、楽しそうにしていた。
ああ、憧れていたのかな?
こんなにも優しく、こんなにも楽しそうに笑える姉を。
姉を憎み、比べられることを憎み、比べたやつを憎み。
憎むことしか出来なかった僕を、僕自身はどう思っていたのだろう。
見つめ直すも、惨めだ、との感想しか出てこなかった。
少しずつ眠くなってくる。
ああ、これが死ぬということなのか。
これで、ようやく終わらせられるのか。
そう思い、目を閉じた。
読んでくれてありがとうございます。
感想とかも書いてくれるとうれしいです。
これはただ単に思いつきで書いただけですので、決して作者が病んでいるとかではありませんよ?ww
あ、あと今普通のファンタジー系の小説を書き溜めていて、結構先になるかもしれないけど、たぶん投稿するので、良かったら呼んで見てください。
でも、多分この作品とは全く違う感じなので、そこんとこよろすこ