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三ツノ鍵  作者: 島田祥介
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食の中に広がる宇宙

 私は、俗に言う“かりふわ”というたこ焼きが嫌いだ。

 芯迄しっかりと火が通っていて、噛めば噛む程にタコの食感と生地の質感とのコラボレーションとでも言おうか、二つ同時にその食べ応え感があるのがたまらなく好きだ。

 それだというのに、近年はふわとろとやらのブームで、正直「生焼けじゃないのか?」と言いたくなる様なたこ焼きがそこ等中をはいかいしているではないか。

 いかんいかん、そんな中途半端な軟弱野郎はたこ焼きとすら呼びたくもない。

 がちがちに火が通ってこそ真のたこ焼きと断言したって構わないくらいだ。


 例えるなら、そう、たこ焼きは地球そのものといっていいだろう。

 たこ焼き生地という大地の中に、無数の夢が溢れているのだ。

 さしずめ紅生姜は大地に眠るルビー、葱は・・・そう、エメラルドだ。青海苔と言う森林とソースの海の中に眠る鉱石達、それを爪楊枝で割って探り当てる興奮と快感。

 おっと、タコの存在は何なのかについて説明するのを忘れていた。

 紅生姜をルビー、ネギをエメラルドとすればタコはダイヤモンド?・・・違う。そんな簡単なものではない。

 タコはたこ焼きにとっての、たこ焼きと言う大地を司るマグマ、龍脈。

 タコと言う生命(いのち)が生地の中に宿る事で、他の全てが輝き真価を発揮する。それだけタコは重要不可欠なのだ。

 店によっては「材料費がどうの」と食材をケチる店もある。あれは何も解っていない。

 タコという龍脈にそってエメラルドやルビーが散らばり、そこから大地が形成された後に海や森が浮かぶ。そうして一つの地球、否、ひとつの宇宙が誕生するのだ。

 ほら、よく考えればたこ焼きは1パックに8個から10個は入っているよな。

 つまりは、たこ焼きと言う惑星がひとつの宇宙を醸し出し、それを我々が有難く頂戴する。これぞ神秘と言わずしてなんと言おうか!

 我々はひとつの小さな宇宙を食しているんだぞ。感謝せずにはいられないではないか!






──と、お台場の自由の女神像の前で友人に熱く語られてしまったのだが、正直申し訳ないがどうでもいい話に付き合うのは疲れるだけなんだが。

 

今回の鍵:鉱石、たこ焼き、女神像

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