第六話 仲間と状況に紹介され、やっと名前が許されたバカエルフ
「じゃぁ、案内するね」
「あ ありがとう」
追放されて以来、あんまりにも旅だらけの生活で、他の者との触れ合いが全くなかった事はないが、怪しまれるか騙されるかの二択に限られていた。
仲間と思われている事が不慣れとなって、緊張感を覚えた。その訳あって
「あら大丈夫?顔色悪いよ?」
「うー 私、嬉しくて うーぅ」
「ほらほら、泣かないで、もう大丈夫だから、ここは安全だよ」
むぎゅぅ~っとされて、顔に柔らかい物体は2つも押し付けられた。しばらくそのまましてもらって、二人の間ではその件を二度と口に出さない無言の成約が成立してた。
案内がしばらく続くと
「んで、ここは寮だよ」
「うん、あるがとうエフィーヌ殿 …ってえ?もしかして 私?ベッドで寝られるんですか?」
すると、背中にわずかな痛みとそれに伴った音をパンっと気づく
「ったりめぇだ新入り」
「え?あ?どうもよろしくおねがいします」
「おいおい堅えぇな新入り」
「え、あ、すみません。どちら様でしょうか?」
「陸上海賊を司るシグレ様の愛人、クーニャだぜっ」
「ふえええぇぇえ?」
衝撃情報を耳にした彼女が軽く頬を紅に寄せていた。愛人の部分もそうだけど、8歳児より年の過ぎた人から「ぜ」と言う語尾を付けるのがいかにも痛々しくて無反応では居られない。
堅い笑顔で「はい、よろしくおねがいします、私はー
「知ってるぞ、今朝皆を盛り上がらせたバカカエルっしょ?」
「バナナカエルですー! っじゃなくてー
「あはいはい、バナナエルフだな、確かに金髪だからなぁ」
「ちー がー うー、もうぅ」
「はいはい、クーニャちゃん、あんまりイジメないでよ?仲間なんだからもっと仲良しくしてあげてよ」
「…私、キレイな名前あるし、エゥリィーナ姫って呼ばれてくれるエルフいっぱいいたし」
「あ?ボソボソなんか言ってないではっきり自己紹介すればいいんじゃないの?」
「エゥリィーナよ、私の名前はエゥリィーナ、 エゥ・リィー・ナ!」
「おうよ、よろしくなバカエル」
「も~~~~ー」と嘆くエゥリィーナに合せてドアが開き、シグレが姿を現す
「あらぁ、その略し方いいね、バカエル」
「シグレ様までぇ」
「くしっしっし」と笑うクーニャ
それでもシグレの来場がなにかを意味すると悟って、真剣な顔に戻り、列となるように第一人の並び者となる。他の者は場の空気を読んでその後に次ぐ。エフィーヌが気を使い、バカエルの袖を引っ張り誘導す。
「ここから数日、我は旅にでる事にした。護衛としてバカエルは我と共す。」
「で、ですがー」さっきとはまるで別人のクーニャが意義を口に出そうとする
「決定事項だ、無駄話はするな…それよりも大事な発表があるよ、入れ」
シグレのコートとカビ臭そうな二角帽子を纏ったケビンの来場。
「本日より、ケビンを副団長として命ずる。我と思って従え。」
あんまりにも以外な展開で部屋中の緊張を解した方がいいんじゃないかと
「まぁ、なんだ。初対面じゃあるまいし、大体の状況は把握している。副団って言ってもシグレの秘書って見方がいいんじゃないかなぁ…留守の間は面倒事を任されたって実感だけど、よろしくなぁ?」
「シグレ様、聞き捨てになりません!留守の間なら普段通り、わたくしにお任せあれ!」
「あら、これも決定事項よ?クーニャには悪いけど…その耳だと部外者とのやり取りが無駄にややこしくなるだけだわ。それに、君に役員の型に嵌まる器じゃないわよ。案ずるないずれは身の程に合う役割を演じてもらうからさ」
「ありがとうございます!!」
「では、明日も皆に頑張ってもらうので」
「分かったか野郎ども、いや雌どもかこの場合… まぁ、要は騒ぎなく、お早めに就寝だってことよぉ。明日にはメンドイ事をなるべくいいペースで済ませときたいからなぁ」
・・・
「あら、お返事は?」
「あいあいさー!!」
「こりゃシグレいねぇと従うんかなぁ…」
「そうだね、従わないと切っても良いよ。我と思って従う故、従わない者には死刑よ」
「あいあいさー!!」
女に向けてさーって突っ込まずにはいられなくもない、第一陸上海賊って頭可笑しいネーミングの連中に期待しちゃいけない通りもあるんだなぁ と内心で思うケビン。
彼が現在その頭可笑しいネーミングの連中の上位に立つ人間となった事には触れないでおこう。




