第四話 腕を確かめされてあだ名を得るおたんこなすエルフ
初仕事、それが門番…のハズだったけどナゼかいつの間に看板に
未だ下着姿にそこまで離れていないまま、肉と言う肉が「珍楽、ご来店願います」に読める布が雑に縫い付けているだけが仮の制服となった。縮んでしまった服の対応で説得されたもののより如何わしく目立つ様に。一応門番のつもりだけでもあって、剣はしっかり腰に纏いてはいる。説明不充分のまま、店の前に立たされていて、シグレからの唯一の指示が「頑張ってな」であった。お手並み拝見なのか実力判断のつもりなのか、そう考え込む暇もなくついつい絡まれていた。
「ふごーーー」
後ろからなんとなく不愉快音と共に嫌な予感が湧いてきた。振り返り見ると…
「げっ?!ウマタウロスが襲撃するなんて聞いてないよー!この街は割と国境から離れてるはずなのにー」
「ふんごーーんごーーーー」 腐った肉の様な息を吹き飛ばしながらでっかいハンマーで攻撃する魔獣。馬力はついてるとは言え、知能と言える知能が探しても見当たらない。
「風の精霊よ、私のレイピアーに力を委ねて…ください!」
流石に魔獣を目の前にして今朝の様なイタズラされたら死ねるほど恥ずかしい。
心掛けを固め構える、意識を精霊の海に泳がせ 体は剣と一体化に。
力任せで単純な攻撃だけあって、避けやすくて助かるよ。
「カル! シン! ケローー!」と彼女が叫ぶと、目の前に立っていたウマタウロスが真っ二つの死骸と化す。
「うーー 内臓は相変わらずにくさーい、冒険者なんて良くそんなのに耐えれるね」と鼻を摘んでブツブツ独り言を
複数人の拍手音と共に後ろから
「へー 見た目とまるで正反対な役立つっぷりじゃないか」
「シグレ様、それは言い過ぎですぅ! っていつの間に?!」
「にしても最後の掛け声はダサいなぁ、エルフどころかカエルじゃないか、足もくねってたし」
「牢屋管理人さん!それはひどいじゃないですか!って見てないで助けてくださいよー!」
「一泊を共にした相手にそんな回りくどい呼び方はよせな?ケビンでいいや。とりあえず面接成功しておめでとう」
いつの間にか周りがちょっと騒がしくなったと思ったら、店内の人が見ていた。そ言えばさっきの拍手…
「って ウマタウロスを倒すのが面接なら素直に言ってくださいよ!死人がでますよ!」
「あら、生きてるじゃない、カエルちゃん」
シグレのエコーとなった店の人が軽く握手しながらふざけた歓声に「カエルちゃん」を口に出し始める。
「えええ~、ちょっとぉ、私にちゃんとした名前がありますよぉ。動物の名とはひどいよシグレ様」
「そうだ、金髪のポニテールだし、バナナガエルでいいんじゃね?」
「ケビンさんまで…」
どうやらもう遅かった。店内にまで笑いながら「頑張れよバナナカエル!」とか「素敵だよバナナガエル!」を叫んでいる人が増えている一方でした。
それでも心が少し落ち着いていく、どうやら陸上海賊の一員として認められてもらった。エルフと交わらずどころか、部外者全類にまで反感の強い街に仲間ができて顔に笑みを宿す彼女。
「服が血だらけだけど…まあ制服は明日には間に合わせるわよ、取り合えうは初仕事」
「はい!なんでもおしゃってくださいシグレ様。」
「地面の血と肉を片付けろ、営業妨害だぞ。給料一ヶ月分も飛ばす。」
「そんなーーー」