第二話 臭くて覗かれて労働に向かうバカエルフちゃん
「ほれ、ついたよ、お前さんはあそこで寝な」
「ゆ 床ですか?」
「ったり前だろ?監獄から出してもらって、仕事も紹介してもらって、ベッドまで要求すんの?」
「せ せめて毛布はもらいませんか?」
「この毛皮で満足しな、私物は明日まで預けっとくよ寝るには要らんだろ?」
「う うん、ありがとう」
「それじゃおやすみな」
「おやすみなさいませ」
今日は色々ありましたが、せめてもの囚人の運命を逃れた、明朝のために頑張って寝なくっちゃなと、割と軽く自分の居場所を受け取る彼女。しかし、毛皮だけあって、獣臭いが疲労困憊の彼女には関係なく熟睡を得た。
野良猫の様な生活のおかげか、いつも通り未明で起きてしまった。何年ぶりかの様に久々屋根の下で寝られて露が普段より甘く匂う。が、それよりも自分が臭う事に気付き
「ぷわぁぁ」
どれ位かを判別するために自分の脇の臭いを嗅いだところ、鼻を摘んで許される範囲ではありませんと判明できた。
「水の精霊よ、私を洗いなさい!」と命ずるだけで、湿気や露が彼女の体周りに集めて、小まめに垢を揉み、擦り、吸い取る。
「ひ ひゃん!イタズラしないでよ、厳しく言ったのはごめんなさい!一応姫なんだけどぉ」
「ほーぉ お姫様がこんな卑猥な魔法を使うのか普通…」
「えー あ いや いやぁぁ見ないでぇぇ!」
「風呂なら別に言っとけば良かったのに、ほらお前の服よ。ドロ塗れだったから洗っといたけど…」
「あ、ありがとう だけど向こうに向いてもらえませんか?」
「あーすまんすまん」
彼が少し間を与えて振り向き、着替え中の姫様に伝え
「所で湯が熱すぎたか、服が縮んだらしいよ」
「ううぅ なにこれぇ」
大切な部分が隠しきれてるがそれ故隠し切れていない部分も目立つ、視線以外なモノを誘えなければ良いのだけど。
「まぁそのままが面接を成功させるから気にすんな」
「はい、ありがとうございます」と小声で答える彼女
あんまり嬉しくはないが、一文無しには選択肢や権利と言うものもない世の中だけあって、贅沢は言えない。
昨日彼が牢屋から持ってきた、パサパサになったパンと疑わしい味をしてる水を朝飯にして出発。
やはり昨日に言われた通りに、落ち着きがなくて不平和な街中であった。その御蔭で怪しい販売もありふれた、商品の範囲が広いだけあって保証は非現実的の概念だけの様だ。
そうやって視線や思考を走らせてる間に行き着く二人。その行き先はお城であった。
正しくは、お城に似せた建物であった。看板は「珍楽」と読む。