第一話:運のない運命に左右されても平凡に暮らそうとする最強のバカエルフちゃん
「やっと着いたー」と軽くストレッチしながら、出世の道を歩む彼女
元はと言えば、異端行為にて追放されたが彼女が自分に都合よく言い聞かせて、前々から出世したかったの切っ掛けに過ぎないとな
町中での独り言のせいか、あるいは天に向けて両手を伸ばして谷間を強調したせいか、視線はこちらに集めてくる。
「クソ尖り耳の尼が」とぶつぶつ言いながら小汚いガキが彼女のケツを強く引っ叩き、スカートをめくる
抵抗する暇を与えず、正面から2番ガキが彼女の財布を分捕って、クソガキ共が逃げ去った。
旅に疲れてやっと休めると思った彼女が一瞬で一文無しと化した。もう、これが目覚めた出世なのか。
「うううううううぅぅぅ」
あんまりにも状況の重み、もしくは無駄な肉の重みに絶えず、前に倒れ泣き始める彼女であった。
「ウルサイわねあんた」と通りすがりのばばぁが発言。本当にそう言われなきゃならない世の中なのかと。
逆にいい薬かもしれない、彼女が吹っ切れて 「あらごめんなさい、醜すぎて見えなかったよ」と気の利いた言葉を並んで、歪んだ笑みを微妙に隠しきれず。
するとばばぁに顎蹴られて視線が揺れて暗くなる。やはり倒れたまま人を煽るのは良くないと心がけて失神する。
起きた時はもう、下着姿で牢屋に打ち込まれてた挙げ句であった。
それはもう、暗くて湿気の高いごく普通の牢屋。
「わりぃねぇお姉ちゃん、だけどよ、そんなわいせつ行為を許す訳ではいかん、そもそも町中で昼寝するぐらいなら宿いけや宿」
「あの 私 被害者です!」
「あー はいはい、皆そういうよ、君の裁判は明日よ」
「そんなー 本当に何もならないの?」
「無理って訳じゃないけどよぉ 書類がめんどいなんだよ! そしてな、君を助けたところでなにか良い事ある?なあぁ 女だからって甘えんなよ」
「うー 分かりました」
「まあまあまあ そんな暗い顔すんなって 女には女にしかできないやり方もあるってよぉ」
「え? あ!分かりました! 膝枕の事ですね!私上手いよ!」
確かに、さっきから視線が胸元ばっかを舐め回したが、健康的な体付きにて、太ももが極上の枕に見えなくもない、否そうにしか見えない。
さっきの面倒くさがりさが嘘の用に、見張りが乗り気で牢屋の門を開き、正座を構えてた彼女の太ももに頭を委ねる。
「疲れてそうですね」
「あぁ 最近は仕事ばっかなんだよ、上司も煩いしなぁ 最近なにがしらの貴族が集まってきてよぉ」
「あら、貴方は大変ですね、良いのよ、少し休んでも。 それだけ頑張ってったら休む権利がない事がありえんよ」
彼女の甘い息のせいか、生暖かい枕のおかげか、見張りが気を緩んでべらべらと喋り続く…
この街の事実上支配者が訳わからんトゥ魔法とやらの利用者らしきで、ひたすら冒険や意味のない旅に良く出る癖があるらしくて、街の平安が悪くなる一方であった。
前の市長が乱暴で下劣だった割には、犯罪集団を制圧してくれたおかげで高めの税ですんだが、追っ払われた現在、きのこの用に日々に新たな犯罪組織が生まれ、縄張り争いで町中がめちゃくちゃである。
「そう言えばお姉ちゃん、一文無しの割にはいい剣持ってるんじゃねーか、貴族かなにか」
「うーん 強いて言えば仕事探し中の用心棒と言うところですね、仕事運はあんまりありません。と言うよりも運自体が…」
「あぁ すまんすまん、わりぃ事を思い出させちゃったな… てか仕事はないって訳でもないが いや、やっぱやめとけ」
「仕事ありますか?是非是非紹介してください!」
「んまぁ 囚人の運命から逃れるじゃぁ逃れるけど、仕事なんてロクなもんじゃねーぞ、ハゲるぞ」
「それは困ります!!」
「ぷはっはっは 真に受けんなよ、紹介するよ。けどよぉ 無理だったらいつでも来い、この牢屋は取っておくっからよぉ」
「あ ありがとう?」
「とりあえず今夜はもう寝て明日に用事ってとこかぁ んじゃ牢屋じゃなくて俺んちくっか?」
「はい!是非ありがとうございま~~っす」