東京見返り美人
見返り美人な女の世間は飛車角よ
彼女が嫌った世渡り上手な男は言語道断
東京ブランド廃れて 幾歳月か
「浪漫」の香水を振りかけても 税理士は喋らず
兜町の気分は最悪で トレーダーは床で絶頂を味わって
売春宿から出た男は 財布を捨てて 吉祥寺の近くで首つりしてるのさ
大正ロマンの香りがする文豪さんは
仁義を切って 口にするのは「お控えなすって」
東京では愛情も高望みで 天守閣なみ
「出羽桜」が熱くする喉元がこの世の中心な そのやるせなさよ
賭博打ちの男と結婚したいね 国家公務員の男とも褥に酔って
行く先々では接待続きで 体は焼け野原でも 首吊りはしないさ
目頭は熱いし充血して 青あざはDVの名残で
銀座で撃たれたのは ペテン師紛いの社長さんよ
連絡途絶えた地下アイドルのポシェットは
安物でつぎはぎだらけの少女趣味で
東京見返り美人は彼女を嘲笑っているけど
同じ穴のムジナだから 首吊りだけはしないのさ
「官能」という名前の雑記帳には
淫らでエロティックな妄想だらけで
愛想笑いが尽きた破戒僧が ジュエルを贈って懺悔してらぁ
だけど東京見返り美人な彼女はうそぶいてる
首吊りだけはしないって