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異世界勇者の大親友  作者: 屋根裏部屋
第一章 
8/15

出会い

 街からクロック村に引っ越して3年が経った。

 ロバートは街の軍に所属しているため、毎日帰ってくるわけではないが、出来る限り村に帰ろうとはしている。夫婦仲は良好だ。父親としても立派な人だと思う。


 「人前では魔法をつかわないこと。いいな?」

 ことあるごとにこの約束をする意味について理解したのは村にきて1年目の頃だった。気付くのが遅いと自分でも思う。でもよくよく考えれば、そりゃあそうだ。魔法を使うのはあれだけ難かしいんだ。そんなもんを子供が使ったら目立って仕方がない。

 もしかすると、そのせいで引っ越したのかと考えて、すこし申し訳なかったのは言うまでもない。


 この3年で魔法はかなり上達したと言っていい。

 土魔法だけでなく、他の魔法も一通りそこそこ扱えるようになった。ただ、やはり土魔法が一番得意かな。固形だから扱いやすいんだ。威力に関しても申し分ない。ストーンショットなんて、頭に当たりでもしたら最悪、人が死にかねないレベルだ。


 ある程度の威力が出せるようになると、とにかく発動までの速さを上げる練習ばっかりしていた。

 威力も大事だが、もたもたしてたら当たらないし、発動される前に攻撃されたら意味がない。

 理想は自分が動きながらでも一瞬で打ち出せることだが、そこまでには至っていない。

 止まっている状態なら、そこそこの速さで発動できるが、動きながらとなると全然だめだ。

 

 

 クロック村は小規模な山の麓にある小さな村だ。北側が山になっており、南側と東側は草原だ、村の西側を少し行くと小さな川が流れており、そこを渡った先には森が広がっている。 


 俺はいつものように村を抜け出し、西側の森の中を進んだ。

 森の中に入るのは両親にキツく禁止されているが、人目につかないとなると山か森しかない。森と言ってもそれほど大きくないし、危険度で言ったら山よりはマシだろう。


 森の中を少し歩くと、途中で(ひら)けた場所に出る。そこには木は生えておらず、代わりにドクダミのような雑草が群生している。見た目はドクダミだが、あの独特な匂いはせず、そこそこ快適だ。

 

 俺が普段通り魔法の練習をしていると、突然背後で物音がした。


 魔物だろうか!? いくら魔法があるといっても魔物は怖い。このあたりの魔物は弱いと言っても、出来るなら出会いたくないものだ。現に、ここに来るまでの道も最新の注意を払って移動してきた。


 あわてて振り返ると、そこには真っ赤な髪の毛で無邪気に笑う少年がいた。

 歳は俺と同じくらいか。身長は俺より少し高いくらいだ。


 「お前、村のやつか?こんな子供が森に入るなんて珍しいな!!それに、今の魔法だよな!!どうやってんの!?すげええ!!」


 お前も子供だろうが。それにしても、見たことのない奴だな。こんな真っ赤な髪の奴がいたら村でもかなり目立つはずだが。


 「うん、村から来た。俺はアルバート。君は…村では見かけないけど…」


 「あぁ、俺は森に住んでるんだ。ノック。ノック・アレットって言うんだ。よろしくな!この森をもう少し北に進んで少し山を登ったところの小屋に爺ちゃんと住んでる。たまーに村には行くけど基本は森で狩りをして過ごしてるんだ。」


 ほお森で暮らしているのか。そういえばそんな人がいるという噂は聞いてたな。ものすごい変わり者だという噂だ。

 

 「そんなことよりアルバート!魔法使えるなんてすげえな!!俺にも教えてくれよ!」


 困った。魔法はめちゃくちゃ難しいのだ。いきなり教えろと言われても大変だ。それに俺は魔法を使えるのを隠さなくっちゃならないのに…


 「それはちょっと・・・」

 遠慮がちに否定したが、


 「お前が魔法使えること、黙っといてやるからさ!こんなところまで来て練習してるくらいだ。隠してるんだろ?ただ練習するだけなら草原でもいいし。正直、俺と同い年くらいで魔法が使えるなんて異常だ。異常!隠すのも無理はねえな。だから、交換条件だ。俺とお前との秘密。な?悪くないだろ?黙っててやるから、魔法を教えてくれ!!」


こいつ本当に同い年なのか。若く見えるだけで、実は結構年上なんじゃないか?身長の小さい部族とか、そんなんじゃないのか?こんな頭のまわる5歳児が居てたまるか…。5歳児が交換条件なんて普通言うか・・?まさか5歳くらいの奴に脅されるとは思わなかった。


しぶしぶ要求を受け入れた俺は、その日からノックに魔法を教えることになった。




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