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だって、ねぇ?仕方ないわよ。

作者: ゆー

こんにちは、皆様。

私は今、大変混乱しています。


仕事帰りにアイスを買ってご機嫌に歩いている時に感じた強い光。それに、堪らず目を閉じて、5秒ほど瞼に光を感じながら動けずにいたのだけれどね?光が弱まったのを感じて目を開けると、手に持っていたアイスが入った袋も、見慣れた道路やビルも消えていたんです。


そして、目の前には銀髪にアメジストのような瞳を持つゴージャスかつグラマラスな美女がいました。そして、その見事なお身体を押し付けてくるのは何故でしょうか。


「マンディ?もうお腹いっぱいかしら?」


……マンディ?お腹いっぱい?


「でも、ついさっき飲み始めたばかりよ?もう少しでいいから飲んでちょうだい?」


ん?え?…わぉ、ナイスおっぱい。


て、ちゃうちゃう!!

なんですか!?これ!!!え?……え?もしかして、私がマンディ?そして、マンディは赤ちゃん…??


「もう、マンディ?」


あ、飲めということですかね。

ふむ…これは、飲むしかあるまいよ!

抵抗感はあるが、空腹感が勝った。



「ふふふ、可愛いわぁ」


ほう、これはこれはなんたる充足感。

きっと、私のお母さんよね?この美女。こんな美女の子どもなのですね私。ということは、あれ、これ、転生した?大好きですよ、そういうお話。お話は好きですが、いざ自分がそうなると、なんだかなぁって感じだな…。


松田純恋まつだすみれ25歳、転生しました。



初体験というか、赤ちゃんの頃は経験していただろうけど、忘れていたことをやり、身も心も成長しました。


時は流れ、この世界に来て、なんと5年の月日が経ちました。成長するにつれ、私はこの世界の情報をどんどん手に入れてレベルアップしていった。

大切な私の名前は、アマンダ・バイオレット・アルマンニー。バイオレット入ってる時点で前世との繋がりを感じましたね。

さてさて、えーと、まず、この世界について。この世界は“キャリスタール”というらしい、です。両親達が話しているのを聞きました。言語は理解出来ましたし、文字も読めました。いぇーい。そしてそして、キャリスタールは、なんと魔法が存在する世界でありました。ファンタジー!ばんざい!魔法!やっふーい!


こほん。えぇーと。


続いて、家族について。ゴージャスグラマラス美女は、やはり私のお母様でした。そして、父親ですが、赤髪金瞳のハンサム美男子でした。ふむ、美男美女である。気を抜くと目が潰されそうなほどの眩しさがあるから気をつけろ。そしてそして、なんと、お貴族様でございました。しかも王家に次ぐ身分という…。えぇ、なんだか豪華な部屋だとは思っていましたよ?お手伝いさん的な人達も沢山いるし?びっくりだわ。でも、そうね、王族じゃなかっただけ良いかなって。お姫様とか憧れよりも、自由なようで窮屈な世界で生きてるセレブだと思ってましたから。えぇ、もちろん貴族でありますので、領地があります。我々アルマンニー家は、お母様の産休?に合わせて王都があるパナスキットより領地に戻ってきていました。領地は王都から馬車で3日ほど南に行った、自然あふれる“アルマンニース”という所でした。私が7歳になるまで領地で暮らすみたいです。


そして、兄姉がいました。これまた美しいんですよね。7つ上の兄はお母さんの色彩を受け継ぐ美少年、5つ上の姉はお父さんの色彩を受け継ぐ美少女でした。そして、この2人、シスコンだと思います。いつも側にいる気がするんです。デレデレしている顔をよく見ますし…でもデレデレしきった顔でも可愛いのでいいですね、眼福眼福。私も大好きです兄姉。もちろん両親も。えぇ。そして、私の外見でございますが、聞きたいですか?…あまり言いたくありませんね。……えぇ、御察しの通り。

ねぇ、なんで黒髪?なんでなの!?

そして瞳は右がアメジストで左が金という…厨二病発動!!ばかやろうが!こんなの望んじゃおらん!!初めて鏡を見た時のあの絶望というか疼きというか…まぁ何故か鳥肌たちました。確かに親の色受け継いでるけど、どっちか1つでお願いしますよ……なんだかなぁ。


他にも家族というか親戚というか、沢山の人と出会っています。

5歳の誕生日パーティーで、豪快で快活でさっぱりすっぱりした爺ちゃんとお上品なお祖母様(お母様の両親)、紳士なお爺様と可憐なお祖母様(お父様の両親)をめっろめろにしてやりましたぜ。たぶん。だってデロデロになってたし。うん。プレゼント沢山頂きました。両親の兄弟からも沢山プレゼントを頂きました。えぇ、美男美女しかいませんでしたよ?性格は、まぁ、ね、おいときますが。あと、なぜか王族も来てたけど、そこは触れません。なんとなく触れたくありません。王族が誕生日会に来るとか、やめてほしい。

えぇーと、屋敷で働く使用人達にも大人気のアマンダちゃん。よく生温かい目で見られ、お菓子とか貰ったりお花を貰ったりしています。モテモテ。こんなモテ期、きっと子供の時だけなのでしょうが…だってほら、見た目厨二病だし。


領地の大自然を味わえるのもあと2年。7歳になったら王都の学校に入学するので、家族で大引っ越しです。王都にあるお屋敷は、花に溢れた美しい花屋敷と呼ばれているそうな…今から探索するのがちょっと楽しみである。その時まで、この大自然を思う存分楽しんで、探索して冒険してひゃっはーするんだから!!



なんて、思っておりましたが。

このひゃっはー計画に思わぬ敵が。そう、家庭教師でございます。やれ、マナーがなんたら、教養がなんたら……。あぁ、こんな事している場合ではないのに。あの大きくて深い森を探検する事のほうが大切だと思うのに。絶対珍しい花や植物、動物がたくさんいると思うんだ。そんな場所が目の前にあるのに行けないなんて……。大自然が私を呼んでいる…!


あれ、これって厨二?じゃないよね?え?


というわけで、小煩い家庭教師に文句を言わせないために前世の記憶や経験を活かしつつ、マナー教養勉学に励んで励んで、立派な猫を身につけました。てへ。これで、文句はいわせまい!!はっはっはっ。……はい、えーと。とりあえずマスターしたので、探検して来ていいですかね?え?ダメ?何故ですか?


「ダメダメダメ!危ないからダメだよ!」


「そうね、マンディ?深緑の森には危険がいっぱいよ?」


「そうだよ?お兄ちゃん心配だから、僕と一緒に行くなら連れて行ってあげるよ?でも1人ではちょっと反対だなぁ」


「えぇ、そうね、お姉ちゃんもクリスお兄様に賛成ね。あの森をなめたら痛い目をみるわ…」


家族と、話を聞いていたであろう使用人も全力で首を横に振っていました。そして、あの言い分だとお姉様は痛い目をみている、と。


ふむ。どうしたもんかな。


「…分かりました、お父様お母様、お兄様お姉様。でしたら、私、図書館で本を読んできます」



明らかにへこんでがっかりした雰囲気を醸し出しつつ、綺麗なお辞儀をして無理に微笑みつつ、我が家自慢の図書館に行く旨を伝えました。その時の家族と使用人達の哀しそうな痛ましそうな憐れんだ顔を見て、だったら反対すな!と思ったのは内緒です。


さてさて、私が図書館に来たのはある理由があります。そう、魔法のお勉強です。危険がいっぱいな森に行くためには、まず強くなればいいのではと考えました。強くなる、そう、手っ取り早い方法が魔法です。せっかくファンタジーな世界に生まれたんですから、使わないなんてもったいない!

魔法の本格的な勉強は7歳からとなっているそうなので、私は今、一つの魔法さえ知らないし、使えないのです。くっそぉぉ。

でもそんな決まりみたいなものは無視して、さーて、魔導書、魔導書っと。我が家の図書館は小さめにコンサートホールくらいはあるので探すのが大変です…。ふむ。


きょろきょろしつつ本を探します。


ん?白い光…?


私について来た侍女に飲み物をお願いし、端から攻めていこう作戦をしていると、ふと目の前を漂っている白くて丸い発光物を見つけました。

野球ボールくらいの大きさのそれは、まるで私を誘っているように左右に揺らめきます。


「…ついておいで、と?」


そうに聞くと、うなずく様に上下に動くではありませんか。これは…もちろんついて行くでしょうとも。


「それでは、案内をよろしくね?」


ふわふわ、ゆらゆら、輝く白いモノについて歩みを始めると、それは庭へ続く扉の方へ行くではありませんか。


「…本を探すのでは、ないのね」


まぁ、面白そうな雰囲気なのでついて行きましょう。…はっ、これはもしや、大冒険の始まりでは!高まりますね!!!


色とりどりの花が咲く庭をも通り抜け、なんと、憧れの深緑の森に向かっています。楽しすぎて少しスキップしました。白い光もなんだか楽しそうです。

後で聞いたのですが、庭には警備の騎士がいたにも関わらず、私の姿は見えなかったそうです。ふむ。


どんどん進む森の中を、きょろきょろしていると、なんと、光の玉が増えたのです。え?あれ、今度は黄色い。えぇと、お仲間かしら?私はいつまでついて行けばいいのかな?ちょっとあそこの木の実を食べてみたいなって、あ、あそこに綺麗な虫が、あ、あんな所に鳥もいるじゃないか…なんて楽しいの、でも、光の玉は止まってくれないので惜しみつつ見送ります。くっ。


あら?木がひらけて、野原が見えてきました。



「まぁ、なんて綺麗な所…」


天より射した光が野原を煌めかせています。きらきらと輝く草花。なんて綺麗な場所でしょうか。連れてきてくれた光の玉はいつの間にか5つになっていました。白に黄色に赤に青、茶色もいますね。5つの玉は楽しそうにくるくるしています。自由ですね、あなたたち。


「ここは、あなたたちのお家かしら?」


光に玉に話しかけつつ周りを見渡します。ぐるーっとゆっくりターンをしつつ堪能堪能。そして、ある一点に私の目は釘付けになりました。



「え…」


嘘でしょ?こんな所に?え?なにあれ。


野原の真ん中の光が一番当たる場所に、それはいたのです。


優雅に寝ころび、こちらを見据える深き碧。


一瞬、呼吸を忘れましたね。そして時も止まったんじゃないかなって思うくらい、周りの音やら色やらが入らなくなりました。



だって、だって、だって…。





だって、なにあの、もっふもふ!!!!!





そこには真っ白のもふもふ。

碧き瞳のなんと知的なことか。少し楽しむような表情に見えるのは私だけ?



時をも止める衝撃的な出会い。

真っ白の大きめの犬が、そこにはいたのだ。






『…ほう、こやつらが我に会せに連れてくるとは、お主はいったい誰なんだい?』


「…喋った」


『くくく、なんと。驚いたかい?まん丸お目々になっているぞ?』


「…喋るもふもふ」


ねぇ、なにあのもふもふ。喋ってるんだけど。え、何?ファンタジーの世界じゃ当たり前なの?動物喋るの?え、どうしよう。


とりあえず。


「抱き着いてもいいですか?」


『なんと!』


「むぎゅってしてもいいですか?」


『くくく!良いぞ、来るが良い。さぁ、おいで、小さなお姫様』


許可おりた。よし、突撃。

え?前世では、無類のもふもふ好きでございましたが?何か?もちろん、つるつる派も大歓迎です。むしろ動物に自然大好物、愛してる。あ、この思いすでに伝わってました?えへ。


真っ白のお犬様の首元に抱き着くために、少し小走りに。あぁ、身体がもふもふを欲している。


ボフッという音と共に抱き着きつつ、顔をぐりぐり埋めます。



あはーん。最高かよ。天国かよ。あいらぶもふもふ。



『くっくっ、ふはは』



ぐりぐりしつつ手で、こう、もしゃもしゃしていると、くぐもった笑い声が響きます。


『姫は変わり者だな』


「変わり者?」


姫呼びはスルーの方向で。なんだか気にしちゃいけない、恥ずかしくなんかない、私は今、もふもふを愛でるのに忙しい。


『そうさ、初めて会った男に抱き着くなんて、変わっているだろう?』


「…男」


『あぁ、我は男で姫は女。それは間違いないだろう?』


「たしかに…」


言われてみれば淑女として…ダメだな。

とりあえず、抱き着くのを止め、お犬様から2歩ほど離れる。


「失礼しました。一応いち淑女として、はしたなかったです。わたくし、アルマンニース公爵ハルバート・クリムゾン・アルマンニーが次女、アマンダ・バイオレット・アルマンニーでございます。以後お見知りおきを」


ドレスの裾を少し持ち上げつつ膝を曲げて軽くお辞儀。この体勢辛い。貴族のお辞儀好きじゃない。挨拶のたびに筋トレ、うふふ。



『ご丁寧に。小さな姫よ、楽にしてくれ。そうかそうかアルマンニー家のねぇ』


「ありがとうございます、えぇと」


『我の事はノアと呼んでくれ』


「ノア、ね?わかったわ!私の事はアマンダかマンディと」


『ふむ、では我はアンと呼ぼう』


「アン?そう、わかったわ!」


『はは、元気がよろしい。良い事だ』


「ふふ、ありがとうノア。それで、もっと触ってもよろしいかしら?」


『くっくっ…良いぞ、おいで』


「それでは遠慮なく」



もっふもふ~!最高!!!






この出会いにより、私が精霊の力を借りることで術をあやつる、精霊術の使いであることが判明した。あの飛んでいた光の玉が精霊だったらしい。今ではしっかりとした姿を見ることができるけどね。あと、大事なのは、ノアが聖獣であったこと。深緑の森を守る神様的な存在でありました。そして、犬ではなく狼なんだって、大きいはずだね。

あの後、家族総出で私を探していることをノアが教えてくれ、野原がある場所まで家族を導いてくれた。その時のみんなの顔といったら、もう、笑えた。あんなにびっくりした顔初めて見ましたね。まぁ、そうだろうね、深緑の森の聖獣に抱き着き、もふりたおす末っ子がいたら…驚くだろうね。えへ。

なお、ノアとの出会いにより森への出入りが自由になりました。ひゃっはー!なんでも、聖獣の友という称号をいただきまして、えぇ。加護みたいなものなのかなって思ってます。この加護によって精霊がくっきり見えるようになって、そして光魔法も使えるようになりました。光魔法の価値は物凄いんだよ、ってお兄様に教わったけど自分じゃいまいち実感できてません。治癒できるしケガしても安心だね、って事くらいしか思わなんだ。



森をノアと一緒に大冒険したり、お兄様お姉様に甘えたおしたりしていると、月日は過ぎて、王都に戻る時となりました。離れていても心は繋がっているため、ノアとの会話はできます。なので寂しさはない…なんてことはない!もふもふを触れないじゃないか!!重要だぞ!もふもふ!…とノアに相談すると、なんと魔法で転移ができる扉を作ってくれた。あれ、これって、どこでもド…げふんげふん。やったね、素敵なアイテムをゲットしたぜ!!と喜ぶ私を優しい笑顔で(たぶん笑顔)見守ってくれていたノア…出会ってくれてありがとう。世界の大きさを教えてくれて、楽しさを教えてくれ、他にもたくさん!本当にありがとう。大好きだよ、ノア。



特にそのもっふもふの美しい白い毛並みは最高。愛してる。あいらぶもふもふ。















































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