ギルドにて・・・
「おい!小僧!
この街で俺様たちに逆らって「あ、そういうのイイから。」
グハッ!×2」
俺は、二人の鳩尾に一発づつパンチを入れて、
意識を刈り取ってから、路地裏にズルズルと引きずっていって、
転がしておいた。
「おう、ドワーフのオッサン大丈夫か?」
「おお、ボウズ助かったぞい、
昔は、あんな連中に後れを取るなんてことは無かったんじゃがな。」
「ああいう連中は、力だけが取り柄だからな、
もっとも、おれに言わせれば連中の筋肉はキレてなかったな。」
「何を言ってるか分からんが、
わしは、この街で武器や防具の店を営んでおる、
ピッカリーという者じゃ、よろしくな。」
「ドワーフ的に、その名前はアリなの!?」
「 うん? ボウズが何に驚いているかは分からんが、
親に貰った、この名前を気に入っておるぞ。」
「い、いや、オッサンが良いなら別に良いんだ、
俺は、この街で冒険者に成りに来たライだ、よろしくな!
オッサンが武器屋なら、ちょっと作ってもらいたい物があるから、
店の場所を教えてくれるか?」
「おお、良いぞ、すぐに来るか?」
「いや、先に冒険者ギルドで登録を済ませてくるから、
帰って待っててくれ。」
俺は、オッサンに店の場所を聞いてから、
冒険者ギルドに向かった。
(おお!さすがにデカい建物だな!)
辿り着いた、冒険者ギルドは間口が他の建物の3件分ほどで、
奥行もカナリありそうだ。
正面の扉を開けて、中に入ってみると、
受付カウンターがあって、受付嬢が5人ほど並べそうなスペースがある、
現在は混む時間帯から、ずれているのか2人しか座っていない、
右手には、酒場を兼ねた談話スペースらしく、
先輩冒険者たちが、酒を飲んだり打ち合わせをしている。
受付嬢は、人族と、ネコ系らしき獣人族だ。
(おお!初ケモ耳だ!
異世界で一番楽しみだったと言っても過言じゃないだろう。)
「すいません、冒険者に成りたいんですけど、
手続きを、お願いできますか?」
俺は、もちろん獣人の受付嬢に話しかけた。
「はい、冒険者登録ですね、
では、こちらの書類に名前等を、ご記入下さい。」
「・・・・・」
「・・・? あの、何か?」
「語尾はニャじゃ無いんですか?」
「いったい、いつの時代の話をしてるんですか!
いまどき、語尾にニャなんて付ける獣人は居ませんよ。」
「オー・マイ・ガッ!!」
俺は、がっくりとヒザを付いた。
「バカなことしてないで、早く書類に記入して下さい。」
俺は、気を取り直して書類を見てみる、
心配していたが会話だけじゃなくて、
読み書きも問題ないようだ。
(え~と、名前はライで、年齢は15歳、タイプは魔法拳士で良いかな、
スキルは身体強化と武術全般適正とアイテムボックスにしとくか、
魔法は、上級の魔導が使えるっていうと面倒かも知れないから、
雷魔法、風魔法、水魔法にしておくか。)
「これで、良いですか?」
「はい、拝見します。
ライ様ですね・・・魔法拳士で・・・アイテムボックスを使えるんですか!
その、お年で優秀なんですね。」
「アイテムボックスを使える人って、少ないんですか?」
「ええ、それなりの人数は居るのですが、
魔法の才能がある人が、何年も修行を積んで、
やっと使える魔法なので、ライ様ぐらいの、お年で使えるのは珍しいです。」
(やばかったかな?)
「俺は、師匠がアイテムボックスの名人だったんで、
小さい頃から叩き込まれたんだ。」
「そうなんですか。
あとは・・・雷魔法が使えるんですか!?」
「ああ、使えるが。」
「ホントに?」
「使えると、何か問題が?」
「少々、お待ち下さい。」
ケモ耳嬢は奥のドアを開けて行ってしまった。
(魔導じゃなくて、ちゃんと魔法にしたんだが、
雷魔法に何かあるのか?)
暫くすると、ケモ耳嬢が帰ってきて、
「ギルドマスターが、ライ様と、お話ししたいそうなので、
一緒においで下さい。」と告げた。
(これ、絶対面倒なヤツじゃん!超行きたくないんだけど・・・)
仕方がないので、ケモ耳嬢に案内されて、
ギルドマスターの部屋を訪れた。
「失礼します。」
ドアをノックしてから、ケモ耳嬢がドアを開けた。
「ライ様を、お連れしました。」
「おお、ご苦労。」
そこには、ごつい筋肉に包まれた巨体の上に、
好々爺としたジイサンの顔が乗った人物が居た。
普通なら、優しげな、お年寄りの顔と、
暑苦しい筋肉ダルマのアンバランスさに絶句するのだろうが、
俺は違う。
「おおっ!あなたがギルドマスターですか?
みごとな筋肉のキレですね!
この街に来て、それほどのキレを初めて見ました!」
「ほう、おぬし、この筋肉が分かるのか?」
「ええ、今でこそ細マッチョの身の上ですが、
筋肉に関しては一家言あります!」
「それは、楽しみな新人が入って来たな。
まあ、筋肉に関しては後日語らうとして、
おぬし・・・ライじゃったかな?
雷魔法が使えるというのは本当か?」
「ええ、使えます。」
「今、使えるか?」
「ええ。」
俺は、手に雷を纏ってパチパチと放電させて見せた。
うしろでケモ耳嬢が息をのむ気配がしている。
「ライよ、おぬしは今まで、どこに暮らしておったんじゃ?」
「師匠と一緒に地方の村で暮していたのですが、
師匠が亡くなったので、
冒険者になるために、この街を訪れました。」
俺は、あらかじめ考えておいた設定を話した。
「ふむ、そういう事も、あるのかの・・・
よし、ひとつ、おぬしに教えておいてやろう。」