皇国にて・・・
突然、苦しみだした勇者サブローが、
黒い煙に包まれて消えてしまった。
「消えたぞ!」
「どこへ行ったんだ!」
「外だ、外に現れたぞ!」
誰かの声に、窓から外を見てみると、
城の前にある広場の様な場所に、
大きく黒い煙が立ち昇り、
中から身の丈20メートルは、あろうかと思われる、
気持ちの悪い青黒い肌をしたサブローが現われた。
「グワッハッハッハッ!
皆の者、聞くが良い、
我こそは、魔王ヨサークなり!
貴様らの主となるべく、ここに降臨したのだ、
恐怖に打ち震えて、我が前に平伏すが良いぞ!」
「魔王だと!?」
「た、大変だ~!」
「グワッハッハッハッ!
どれ、我の力の程を見せつけてやるとするかの、
『魔王ビーム!』」
魔王が前に突き出した右掌から何らかの光線が、
フヨンフヨンと飛んで行って、城壁を少し欠いた。
「うむ?何故に、こんな威力しか出んのだ、
バケテールよ、ちゃんと魔王誕生マニュアルに沿って、
儀式を行ったのか?」
バケテールは依然として気を失ったまま、うつ伏せに倒れている、
よく見るとプルプルと震えているから、
死んだ振りをしてるだけかも知れないが・・・
「魔王が本来の力を出せない、
今がチャンスだ、みんな行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
俺たちは魔王が居る広場に向かった。
「フローラ、俺が魔王を足止めするから、
風魔法で、魔王の頭の上まで運んでくれ!」
「分かりましたわ。『飛翔』」
俺の体が浮かび上がって魔王の上に運ばれる、
俺はアイテムボックスから、
前にピッカリーのオッサンに作って貰ったオリハルコンの蔓で、
魔王を縛る付けようとしたのだが、
アイテムの表示で隣に並んでいたオリハルコンの剣 (大剣)を、
間違って選択してしまった。
「うわっ!」
予想と違う物が出て来たので、
驚いた俺は剣を取り落としてしまい、
落ちた剣はそのまま魔王の頭にサクッと刺さった。
何らかの影響があるかと期待したが、
魔王は、「あれ?雨かな?」ぐらいの顔で、
掌を上に向けて、空を見上げている。
「どんだけ、頑丈なんだよ!」
俺は改めてオリハルコンの蔓を取り出して、
フローラに指示を出した。
「フローラ、魔王の周りをグルグルと回る様に飛ばせてくれ。」
「分かりましたわ。」
フローラが魔力操作をして、俺の指示通りに飛ばせてくれたので、
魔王の体にオリハルコンの蔓を巻きつけて行った。
「うむ?何だこれは!私の力で切れないとは、
いったい何で出来ておるのだ!」
俺は魔王をグルグル巻きにしてから、
雷魔導を使った。
「くらえ!『包雷』」
オリハルコンの蔓を伝わって電撃が魔王を包みこんだ。
バリバリバリバリ!
「ぎゃ~~~~っ!」
魔王は堪らずドウッと倒れ込んだ。
「みんな、今だ!!」
『サウザンツ・アロー!』フローラの魔法の矢が降り注ぐ、
『フライング・ハンマー!』リーナの大技が炸裂する、
『酸霧』パサラちゃんの暗黒魔導が魔王の肌を焼く、
『斬激!』エルザの大剣が魔王を切り裂く、
『双爪!』ブラッディー・ベア夫妻のコンビ技が決まった。
ルクアは、魔王の反撃に備えて、
みんなを包み込む様に白魔法で障壁を展開している。
「みんな、止めに大技を叩き込むから避難してくれ!」
「「「「おう!」」」」
「いくぜ魔王!
俺の、取っておきをお見舞いするぜ!『雷撃!!』」
魔王の上に真っ黒な雲が現われて、
大きな雷が魔王の頭に刺さっていた剣を直撃した。
バリバリバリバリ!ズド~ン!
「うぎゃ~~~~っ!」
魔王は黒い霞となって消え去り、
そこには、ただフリ〇ンのサブローが残るのみであった・・・
事後処理に大分時間が掛かったものの、
魔王による被害が少なかったのが幸いして、
各国の反応も一応の収まりを見せた。
俺たちは、魔王討伐を評価されて沢山の宝物を頂くと共に、
パーティーとして最高峰の、S級パーティー認定となった。
そして、各国のお偉いさんの前で雷魔導を使ってしまった、
俺と言えば・・・
「それでは、ここに各国の王の連名によって、
S級冒険者ライを『雷撃の勇者』と認定する。」
勇者認定されてしまった。
「勇者ライよ、此度の働きを鑑みて、
大概の望みは叶うと思うが、何を望むか?」
「はい、俺は、
アルビナ王国とフェルナリア皇国に跨る大森林、
『神代の森』を頂きたく思います。」
「ふむ、あのような強力な魔獣が住まう森なら、
問題無く勇者ライへと贈呈されると思われるが、
あのような場所を、どうするのだ?」
「はい、仲間たちと森の一部を切り開いて、
ラメール国のような都市国家を作って、
あらゆる種族が笑顔で仲よく暮らして行けたらと思います。」
「それは、遥かな昔に勇者イチローも唱えた、
国としての理想の形ではあるが、並大抵の事では無いぞ。」
「はい、多大なる困難が待ち受けているのは、
十分に承知しております。
でも、俺には沢山の頼りになる仲間が居るので、
きっと何とかなると思うんですよ。」
「そうか、
それならば、これ以上は何も言うまい、
それでは、各国の王よ、
勇者ライは『神代の森』と、自治国家の建設を望んだが異論はあるか?」
「「「「・・・・・」」」」
「異論は無い様なので、勇者ライの望み通りと決定する!」
『神代の森』を仲間と開発し始めた勇者ライの元には、
ブラッディー・ベアを始めとする、
過去に関わりあった人々が続々と押し寄せて来て、
一大国家を築く事となる、
勇者ライは国名を『マッスル国』と定めて、
初代国王ライ・ベンチプレス・マッスルとなり、
4人の妃と、義妹と末永く幸せに暮らしたそうだ。(了)
ご愛読ありがとうございました。




