皇国にて・・・
今、俺たちはフェルナリア皇国へと向かう馬車に揺られている、
ライ発電の魔導モーターは順調に働いている、
魔導モーター自体で馬車を動かす程のパワーは無いが、
上り坂でもサクラとバサシが楽々と登れる程度には、
アシストされている様だ。
「しかし、この魔導モーターとは便利な物だな、
通常、この大きさの馬車を2頭引きなんてありえんぞ、
しかも、馬たちは楽々と引いている感じだからな。」
「ああ、上り坂などで、馬の負担が大きそうな時に、
パワーが強くなるように調整してもらったから、
サクラとバサシは、いつも平坦な場所を走っている感覚だと思うぞ。」
「霜降り。」
パサラちゃんは、あまり馬が筋肉質になってもいけないから、
このシステムの有用性を語っているようだ、
サクラとバサシの顔が引き攣って見えるのは気のせいだろう。
「アルビナ王は龍籠で向かうんだっけ?」
「ええ、龍籠を使えるというのは、
一種のステータスになるので、
国賓として招かれた場合は、
急ぐ場合じゃなくても使うんですよ。」
「へ~、ザドス王はどうするんだ?」
「私の父は飛龍に乗るのが好きだから、
少数の護衛のみを連れて、
飛龍で飛んでくると思うぞ。」
「おう、さすがは元S級冒険者だけはあるな。」
「フローラの兄さんはどうするんだ?」
「兄は空間魔法が得意なので、
供の者を連れて転移魔法で来ると思いますわ。」
「おお、空間魔法が使えるのか、
ただの引き籠もりじゃなかったんだな。
転移魔法が使える人って聞いた事が無かったんだが、
結構居るのか?」
「いいえ、私も兄以外では、
聞いた事が御座いませんわ。」
「空間魔法が使える人は偶に居ますが、
転移魔法は幻と言われていますね。」
「おおっ!俺の雷魔導と同じ扱いか。」
「そう言う事です。」
「そう言えば、前にルクシア共和国に行った時は、
急ぎの旅だったんで聞きそびれたんだけど、
ルクシア共和国にも国王様って居るの?」
「いえ、国王は居ませんよ、
国民が選んだ元首という代表者が居ます。
ちなみに元首はライも会った事がある、
ポルポートの領主様ですよ。」
「えっ!あの亀オークが!?」
「ああ見えて、あの方は200年程生きていて、
ルクシアの生き字引と呼ばれているんですよ。」
「へ~、人は見かけによらないって本当だな。」
「そろそろ、フェルナリアの首都へ到着しますけど、
この街も久しぶりですわね。」
「そうだな、魔法都市国家ラメールに行った時に、
昼食で寄っただけだもんな。」
「そうでした、勇者サブロー様に声を掛けられたんでしたね。」
「ああ、あの時は大して強く無かったけど、
さすがに上達しているだろうな。」
「そうですね、ミルキー様を娶るぐらいなのですから、
魔王を倒せるぐらいには成長されているんじゃないですか。」
「魔王を倒せる強さって、
どの位、必要なのかな?」
パサラちゃんが俺の服をクイクイと引いたので、
そちらを見てみると、
俺たちをズ~ッと順番に指差して、
コクリと頷いた。
「俺たち全員で掛かれば勝てるって事?」
パサラちゃんがコクコクと頷いている。
「そうか、パサラちゃんのお父さんだったんだもんな、
お父さん凄く強かったんだね。」
パサラちゃんが首を振っているので聞いてみると、
悪しき力に支配されなかったら、
もっと強かったとの事だった。
「そうすると、
勇者サブローは俺たちのパーティー並みに強いって事か?」
「そうとも一概には言えないんじゃない?
アタイたちみたいな強力な仲間が居るかも知れないじゃん。」
「それはあるかも知れないけど、
本人にも、それなりの実力がなければ、連携が取れないんじゃないか?」
「それは、そうね。」
「まあ、その辺は婚約披露パーティーになれば会えるだろうから、
その時に分かるでしょう。」
「そうだな。」
「ポラリちゃん達とは『山賊の親方』で会えるんだっけ?」
「ああ、ドゥーベさんもベネトナさんも、
あそこの料理は大好きだって言っていたから。」
「フェルナリア皇国って亜人に対して差別的って、
前にフローラが言ってなかったっけ?」
「一流のホテルやレストランでは、
そんな事はありませんわ、
ましてやブラッディー・ベアは世界的に有名な冒険者ですもの、
機嫌を損ねてクエストを受けて貰えなくなりましたら、
国に、そのお店が潰されてしまいますわよ。」
「なる程な、力を手に入れるって事は、
そう言う事なんだな。」
「何を、他人事みたいに仰っているんですの、
ライさまのパーティーに加えて貰えたお蔭で、
私やリーナも国賓待遇で対応されてますわよ。」
「そうなのか?」
「ええ、前に一人で訪れた時とは、
待遇が、天と地程も違いますわ。」
「そう言う、裏表のある国は好きになれないな・・・」
「まあ、どこの国にも多かれ少なかれ差別は存在するからね。」
「みんなが仲よく笑って暮らせる国があれば良いのにな。」
「ライさまなら、きっと作れますわよ。」
「そうだね、ライなら出来そうね。」
「ああ、その時には王妃になってやるぞ。」
「私も・・・」
「うん。」
なんか、みんなの買い被りが凄いんですけど、
あと、ルクアが小声で何か言っていたような・・・




