帰路にて・・・
アルビナ王国へと帰る日、
ポラリちゃんに泣かれてしまった。
「うわ~ん、パサラちゃん帰っちゃやだよ~。」
「ポラリ、泣くのは止めなさい、
パサラちゃんも困ってるでしょ。」
パサラちゃんは黄色い猫ロボのお面を付けているが、
初めて出来た同年代の友達との別れだから、
お面の下は、今まで俺たちに見せた事が無い表情をしているのだろう。
「ポラリちゃん、
パサラちゃんと一緒に、また遊びに来るからさ。」
「本当?」
「本当さ、なっ、パサラちゃん。」
パサラちゃんはコクコクと頷いて、くぐもった声で言った。
「ポラリは友達、またライと遊びに来る。」
(パサラちゃんが、こんなに話したの初めてだな・・・)
「絶対だよ、約束だよ。」
「うん。」
馬車が走りだして、
ポラリちゃんと、パサラちゃんは互いの姿が見えなくなるまで、
手を振りあって居た。
一緒に居させてあげたいのは山々だが、
パサラちゃんの暗黒魔導は強力過ぎるので、
利用しようとする輩が現われるのは必然だろう、
俺たちが絶対的な力を手に入れるか、
パサラちゃんが、もう少し成長するのを待つしか無いだろう。
帰りの旅路の途中で、
新たに仲間に加わったエルザさんとルクアには、
パサラちゃんの事情を話して置く事にした。
「300年前に勇者イチローによって討たれた、
魔王の娘ですって!?」
「ああ、時の権力者たちによって封印されていたんだ。」
「こんな子供に酷い事するわね。」
「一般人に取っては、パサラちゃんの暗黒魔導は脅威だったんだろ。」
「こんなに大人しくて良い子なんだもの、
もう少し、
この子の、人となりを見られる人が居れば良かったのにね。」
「そうだな、
まあ、そいつらのお蔭でパサラちゃんに会えたと思えば、
怒りも半減するだろ。」
「そうね。」
「ライ殿、パーティーに加わったからには、
私の事はエルザと呼び捨てにしてくれないか?」
「分かったよエルザ、俺はライと呼んでくれ。」
「分かったライ。」
アルビナ王国に帰った俺たちは、
まず、アルビナ王へ報告するために王都へと向かった。
「ただ今、戻りました。お父様。」
「おお、ルクア、無事に戻ったか。」
「アルビナ王、
此度は我が国の事で、大変ご迷惑をお掛けしました。
ここに謹んでお詫び申し上げます。」
「うむ、エルザ殿か久しいな、
此度の事は娘のルクアが友の為に動いたまでの事だ、
それ程気に病む事は無いぞ。」
「はっ、ありがたきお言葉ありがとう御座います。」
「うむ。」
「お父様、
エルザが、ライのパーティーに加わる事になったのですが、
私も加入しても宜しいでしょうか?」
「アルビナ王、私からもお願い申し上げます。」
「そうか・・・
まあ、エルザ殿が居るなら、それ程危険も無いか、
余り危ない事をするのではないぞ。」
「はい!お父様、ありがとう御座います。」
「良かったなルクア。」
「歓迎いたしますわ。」
「ありがとう。」
「みんなでルクアとエルザの歓迎会を開かない?」
「おお、リーナ、名案だな。
久しぶりに『鹿の骨亭』で食事しながらカンパイするか。」
「「「「「賛成!」」」」」
「じゃあ、俺は王様と少し話してから向かうから、
みんな先に行っていてくれるか。」
「分かりましたわ。」
「「「了解。」」」
「うん。」
みんなが宿に向かったのを見送ってから、
王様に話掛ける。
「王様、ご趣味の事で重要な話がありますから、
お人払いを願えますか。」
「何!?そうか、分かった。
お前たち、わしはライと内密に話す事があるから、
部屋から出ておれ。」
「「「「はっ!」」」」
「して、話とは何だ?」
「はい、実は・・・」
俺はザドス王国で、女装魔族を見たルクアの反応を、
王様に聞かせた。
「うむ、そうであったか、
分かった、ルクアには絶対バレ無いように気を付けるぞ。」
「いえ、そこは止める方向には出来ないのでしょうか?」
「ライよ、良く聞くがいい、
魚は泳ぐのを止めると死んでしまうのだぞ。」
「申し訳ありませんが、全然心に響いて来ません。」
俺は、なるべく止める方向で考えた方が良い事を、
王様に必死に説明してから王城を後にした。
ルクアとエルザの歓迎会を終えた俺たちは、
そのまま王都に一泊してから、
いよいよ、タナーカの街へと帰る事にした。
(何故か昨夜の歓迎会の記憶が、エールを一口飲んだところで、
途切れているんだが・・・)
「しかし、俺たちも大所帯になったから、
サクラとバサシだけじゃ馬車を引くのが、
キツそうだな。」
「そうですわね、
馬車の大きさには、まだ余裕がありますが、
流石に重そうですわね。」
「ちょっと馬たちが可哀想かな。」
「街に帰ったら馬車の補助用に、
魔導具屋でモーターでも作って貰うかな・・・」
「モーターって何ですの?」
「ああ、みんな知らないか、
モーターって言うのは、
電気の力で馬車の車輪なんかを回せる道具なんだ。」
「電気って何ですか?」
「ああ、電気って言うのは、
分かり易く言えば、
雷の力を小さくしたもんだな。」
「雷の力を溜めて置くんですか?」
「ああ、そこは俺の雷魔導で。」
「えっ、雷魔導?」
「そうか、ルクアとエルザは知らないんだな、
俺は雷魔導が使えるんだよ。」
「「ええ~っ!」」
「雷魔法でさえ伝説の魔法と言われているのに、
その上級の魔導を使えるんですか?」
「ああ、何しろ使えるヤツが居ないって話だから、
パーティー仲間にしか教えていなかったんだ、
悪かったな。」
「いえ、正解だと思います。
伝説の魔法が使えるとなれば、
どんな手段を用いても仲間に引き入れようとする筈です。」
「やっぱりか・・・」
「まあ、私たちのパーティーなら、
大概の敵は排除できるから、大丈夫じゃないか。」
「そうですわね、戦闘力では世界でもトップクラスだと思いますわ。」
「みんなにも迷惑掛けるかも知れないけど、
今後もよろしくな。」
「うん、まかせてよ。」
「こちらこそ、よろしく。」
「ライさまは、私がお守りいたしますわ。」
「私に任せな。」
「うん。」
俺たちの冒険はこれからだ!
(いや、まだ続くけど。)




