王都にて・・・
「さて、無事に王都へと潜入出来たわけですが、
エルザさん、王城へと通じている秘密の地下通路とか無いですか?」
「何故それを!?」
「いや、割と定番ですので・・・
よく、外部の石碑とかが、城の礼拝堂とかと繋がっていたりするんで。」
「そこまで知っているとは、ライ殿は何者なのだ!?」
「よく、今まで間諜とかに、城に侵入されなかったですね。」
「ああ、城の衛兵たちは優秀なので、
忍び込んだところで、すぐに討ち取られるからな、
だから、今回も父の部屋を見張っているのが、
侯爵の子飼い傭兵って事でホッとしているのだ。」
「なるほど、それは朗報ですね。」
俺たちは王都の外れにある石碑へと、やってきた。
「確か・・・ここを、こうすれば・・・」
エルザさんが何らかの操作をすると、
石碑の台座の部分に地下へと降りて行く階段が現われた。
(このシチュエーションにはアレだ!)
「パパラパッパパ~!魔導懐中電灯!」
「「「「し~っ!静かに!」」」」
「すいません。」
「しかし、ライ殿が出した、この魔導具は便利だな。」
「はい、タナーカの街では冒険者の必需品となっております。」
「私にも一つ都合して頂けないか?」
「では、それを進呈しますよ、
俺は開発者特権で、タダで何台も貰いましたので。」
「おお、ライ殿が作ったのか、貴殿は多才だな。」
「ええ、ライさまは時々凄い発想をされますわ。」
(時々は余計だ。)
「おっ!そろそろ城の入口だから用心してくれ。」
「「「「了解。」」」」
地下通路が突当った壁で、
エルザさんが何らかの操作をすると、
再び隠し扉が開いた。
開いた扉から城の中へと入ると、
俺たちをジッと見つめている衛兵さんが居た。
(いきなり見つかった~!?)
「姫さま、こんな所で何しているのですか?」
「何故、仮面を付けているのに私だと分かった?」
「こんな事をするのは姫しか居ないからです。」
「なるほど、そう言えば子供の頃は、
お前たちの眼を逃れて、
城から抜け出すのは至難の業だったからな。」
「何を仰っているのやら、
姫の所為で警備責任者の胃に何回穴が開いた事か覚えていますか?」
「そんな昔の事は忘れたな。」
「私はヒョローン男爵が、ヘナチョーコ侯爵に組しているのは、
あの頃の恨みからじゃないかと思うのですが・・・」
(警備責任者ヒョローンかよ!)
「そうか!あれはヒョローンだったのか。」
(エルザさんは忘れてるし・・・)
「ここに、いらっしゃるという事は、王の救出にいらしたのですか?」
「そうだ、父の病を治す薬を持って来たのだ。」
「それは、朗報です。
侯爵が連れて来た傭兵たちは、
味方にブラッディー・ベアが居るのを笠に着て、
かなり城内で横柄な振る舞いをしていたので、
恨みを持っている者が大勢いますからね。」
「おお、そうだ、
ブラッディー・ベアが反乱軍の味方をするのは今日までだぞ、
ヤツらに捕えられていた令嬢を、私がお連れしたからな、
夫妻は、どこの部屋に居られるかな?」
「それは、素晴らしい情報ですね、
ヤツらに仕返しが出来ると皆に伝えて置きましょう。
それと夫妻は『大熊の間』にいらっしゃいます。」
「そうか、分かった。
一応、ヤツらへの仕返しは、父の救出後にしてくれよ、
何らかの動きがあると思うから、それまで待機していてくれ。」
「了解しました。」
俺たちはポラリちゃんの両親が居る『大熊の間』を目指した。
コンコン!
部屋のドアをエルザさんがノックする。
ガチャ!
「お前は誰だ!」
熊の獣人がドアを開けて、
仮面を付けたエルザさんを見て誰何した。
「私ですよ、ドゥーベ殿。」
仮面を外してエルザさんが話しかけた。
「これは、エルザ殿!どうして、こちらに居られるのですか?」
「取り敢えず、ここは人目に付くので、
部屋に入れて頂いても構いませんか?」
「ええ、もちろん構いません、中へどうぞ。」
俺たちは部屋の中へ入れて貰った。
部屋の中には熊の獣人の女性が居たので、
ポラリちゃんの、お母さんだろう。
「して、要件は何ですか?」
「捕らわれの身となっていた、お嬢さんをお連れしました。」
「お父さん!お母さん!」
仮面を外してポラリちゃんが声を上げた。
「「ポラリ!」」
「エルザ殿、ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ、父の部下が大変ご迷惑をお掛けしました。」
「今回の反乱はヘナチョーコ侯爵主導では無いと思いますぞ。」
「いつも一緒に居ると言う美女ですか?」
「おお、ご存じでしたか。」
「ええ、侯爵は反乱が起こせるような性格ではありませんから。」
「あの女には気を付けた方が宜しいですぞ、
冒険者の勘が、
あの者は見た目通りでは無いと、囁きかけて来ますからな。」
「ドゥーベ殿の勘では看過できませんな。」




