街にて・・・
王都を馬車で出た俺たちは、
反乱軍に捕まる事なく、無事にタワバの街へと帰り着いた。
「「ただいま~。」」
「お帰りなさいませ、ライさま。」
「おう!お帰り。」
「お帰り、みんな、何か良い情報はあった?」
「ああ、朗報は色々あるが、
一番は彼女だな、
こっちに、おいで~ポラリちゃん。」
ポラリちゃんが、パサラちゃんと手を繋いでやって来た。
「この子は?」
「反乱軍に誘拐されていた、ブラッディー・ベアの娘だそうだ。」
「なるほどね、ヤツらは典型的な悪だった訳ね・・・」
「本当に絵に描いたような悪人共ですわね。」
「でも、何でブラッディー・ベアに返してこなかったの?」
「ヤツらに呪いを掛けられて喋れないそうだ、
ルクア、解いてあげてくれるか。」
「まあ!こんな子供に何て酷い事するのかしら、
今、解いてあげるからね、『聖なる光よ戒めを解き放て。』
どうかしら?」
ルクアが白魔法を唱えると、
ポラリちゃんが白い光に包まれた。
「ポラリちゃん、何か話してみてくれるかな。」
「あ、あ、あ、喋れます!私、声が出ます!」
「良かった~、無事に解けたみたいだな。」
「ホント、よかったね。」
「良かった。」
「じゃあ、お父さんや、お母さんが心配しているだろうから、
ポラリちゃんを送り返しに行くか。」
「王様の方は、どんな感じですの?」
「ああ、リーナたちが、
王城の下働きしている人たちに聞き込んだんだが、
王様は自分の寝室で軟禁状態らしい、
部屋の周囲をヘナチョーコ侯爵が子飼いにしている、
傭兵たちが見張っているらしいが、
この連中が、かなり横柄なヤツらみたいで、
城の衛兵や働いてる人たちから相当嫌われているから、
城に入ったら、殆どの人が味方と考えて良いようだぜ。」
「じゃあ、いっその事、ポラリちゃんを送りがてら、
王様の救出作戦も実行した方が良いんじゃない?」
「そうだな、敵にS級冒険者が居なくなれば、
王様を助けるのは容易だろうな、
ただ、一つだけ気になる情報があったんだけど、
侯爵が凄い美人をいつも連れているって言うんだ。」
「ただの愛人では、ありませんの?」
「侯爵は、有名な恐妻家らしいから、
表立って連れ歩くなんて考えられないそうだ。」
「そうだな、私も侯爵の奥方は知っているが、
侯爵はドMじゃないかと思える程の凄い奥方だぞ。」
「エルザさんが、そこまで言うんじゃ相当なんだな。」
「では、愛人じゃなければ、何ですの?」
「俺は、その女が今回の黒幕なんじゃないかと睨んでる。」
「そうだな、元々、
小心者の侯爵が反乱を起こす事自体が変なんだ、
誰かに唆されたとしか考えられんな。」
「と言うわけで、侯爵と一緒に居る美人には、
十分に注意するようにしてくれるか、
いつも、連れ歩いているところから見ても
何らかの能力を持ってると考えた方が良いからな。」
「「「「「了解。」」」」」
王都には、まだ顔を知られていない、
俺とリーナとパサラちゃんが馬車で日中入り込んで、
夜になったらルクアたちが潜入できるように手引きする事とした。
日が暮れてから、少し経った頃、
夜間の警備用出入り口に、近づいて来る者がある。
「何者だ!ここは警備兵以外近づいてはならない決まりとなっている、
そうそうに立ち去れ!」
「我こそは、正義の使者『青ドラ仮面』なり、
虐げられし民の為に、ただいま推参!」
「同じく『ジャイ面』推参!」
「『黄ドラ』」
「何だ?お前ら、変な仮面付けやがって、
それ以上近づいたら敵対行為とみなして攻撃するぞ!」
「フライング・ハンマー!」
ドガッ!
「フッ、峰打ちだ安心しろ。」
「だ!か!ら!ハンマーには峰なんて無いって言ってんだろ!
あんな重い物を投げるなってんだよ、
警備兵さんの体が変な方向に曲がっちゃってるじゃんか!」
ライはアイテムボックスから回復薬を手早く出して、
倒れている警備兵さんに飲ませた。
「ふ~、体が戻ったから大丈夫だろう。」
「良かったね助かって。」
「お前が言うな!」
ライたちが騒いでいるうちに、
パサラが出入り口の閂を外して、
ルクアたちを招き入れた。
「変わったデザインの仮面ですわね。」
「ライが作ったんだ。」
「リーナが仮面を付けているのに気が付きませんでしたわ。」
「どう言う意味だよ!」
ポラリちゃんも、パサラちゃんとお揃いの『黄ドラ』を付けている。
「みんなも一応付けるか?」
他のお面は戦隊ヒーローっぽいデザインにしてあるので、
エルザさんはレッド、ルクアはピンク、フローラはグリーンを渡した。




