まだまだまだ王都にて・・・
誰かが、玄関ドアに付いているノッカーをコンコンと鳴らす。
「何だ?まだ交代時間じゃ・・・うん?
お面を付けた子供?」
パサラちゃんが、応対に出た傭兵たちに対して、
魔法で素早く意識を刈り取ったので、
倒れ込んで音を発てないように、俺とリーナが傭兵たちを支えた。
気絶した傭兵たちに、
アイテムボックスから出したロープと猿ぐつわをして、
庭の植木の影に転がして置いた。
今回は、なるべく殺さないようにするので、
目撃されても良いように、
俺たちは、お面を付けて居る。
市販の物ではなくて、俺特製の某ねこロボットのお面で、
パサラちゃんもお気に入りである。
ちなみに、俺は青ネコで、パサラちゃんは黄色ネコ、
リーナは理不尽なガキ大将である。
「なんで、アタイだけ、メタルモンキーみたいな顔なのよ?」
「その顔の人物は、
映画の時限定で英雄的な活躍をする人気者なんだぞ。」
「映画?良く分からないけど、英雄がモデルなら良いか。」
俺たちは遭遇した相手をドンドン無力化しつつ、
地下室を目指した。
地下室の前には、
腕が立ちそうな傭兵が4人見張っている、
面倒な事に、強い魔法耐性を持った高価な鎧を身に付けて居るようだ。
「あいつらには、魔法が効かない恐れがあるから、
俺とリーナで倒すぞ。
パサラちゃんは、後ろから誰かが来ないか見張っててくれるかな。」
「アイヨ!」
「分かった。」
「じゃあ、行くぞ、せ~の!」
俺とリーナは廊下を駆け抜けて、傭兵に肉薄した。
「何者だ!?」
「子供か!?」
バチバチッ!
俺は電圧を調整した電撃パンチを頭に叩き込んで2人気絶させた。
ドカッ!ドカッ!
リーナはウォーハンマーで傭兵を殴り飛ばした。
「フッ、峰打ちじゃ安心せい。」
「ウォーハンマーに峰は無ぇ!!
見ろ!背骨とか首とかヤバい方向に曲がってるじゃん!」
俺がアイテムボックスから回復薬を取り出して、
傭兵に飲ませてみると、曲がっていた背骨や首が戻ったから、
命に別状は無いだろう。
「いや~、あんまり活躍の機会が無かったもんだから、
ちょっと力が入り過ぎちゃったよ、
メンゴ、メンゴ。」
「攻撃されない限りは、なるべく手加減しろよな。」
「了解、了解。」
ポラリちゃんが閉じ込められていると見られる、
ドアのノブを回したが鍵が掛かっているようだ。
鍵を探す時間が勿体ないので、壊す事にする。
「ポラリちゃん聞こえるかな?
俺たちは、ポラリちゃんのお父さんの、
知り合いの友達なんだけど、
ポラリちゃんを助けに来たんだ。
今、ドアを壊すから離れててくれるかな。」
ドアから気配が離れたので、
「リーナ、ドアなら思い切り殴って良いぞ。」と指示した。
「アイヨ!」
ドッカ~ン!!
リーナがウォーハンマーで思い切りドアを叩くと、
衝撃波でドアの周囲の壁も2メートルぐらい消し飛んだ。
「どアホゥ!地下室が崩れたらどうするんだ!?
思い切りって言っても限度があるだろうが!」
「思い切り殴って良いって言ったじゃん。」
「身体強化を最高にする事ないだろが!」
「アタイは、いつでもベストを尽くすからね。」
「何、良い事っぽく言ってるんだよ。」
部屋の奥では、突然吹き飛んだ壁にビックリした少女が、
目をパチクリさせて居た。
年の頃は、パサラちゃんと同じぐらいの10歳程の、
くまタイプの獣人少女だ。
「君がブラッディー・ベアの娘のポラリちゃんかな?」
少女がコクコクと頷いている。
「じゃあ、ここから逃げるから一緒に行こう。」
ポラリちゃんはコクリと頷くと、こちらに歩いて来たので、
パサラちゃんに手を繋いで貰って、屋敷から脱出する事にした。
パサラちゃんのお面を羨ましそうに見ていたので、
予備にアイテムボックスに入れてあった、
お揃いのお面をあげると嬉しそうに付けていた。
屋敷内は、ほぼ制圧したようで、
建物から外に出るまで誰にも会わずに済んだ、
門の所に面白門番コンビを出して転がして置き、
俺たちはポラリちゃんを連れて、宿屋に引き上げた。
「ポラリちゃん、お父さん達が、どこに居るか知ってるかな?」
ポラリちゃんは何か話そうとパクパク口を動かしているが、
声が出ないようだ。
「どうしたのかな?」
「呪い。」
パサラちゃんの話では、黒魔法の呪いで声が出せなくされているそうだ。
「こんな子供に酷ぇ事しやがるな、
パサラちゃん、解呪って出来るの?」
「白魔法。」
解呪は白魔法じゃないと出来ないそうだ。
「じゃあ、ルクアじゃないと無理か・・・
取り敢えずタワバの街に戻って、
ポラリちゃんの呪いを解いて貰うとするか。」
「そうだね。」
「うん。」
俺たちは、馬車にポラリちゃんを隠して王都を後にした。




