まだまだ王都にて・・・
「こんにちは~、クエストの完了報告に来ました。」
俺たちは、冒険者ギルドに完了報告をしに訪れた。
「冒険者ライさんと、パーティーのみなさま、
手早くご対応いただき、ありがとうございました。
完了確認を行わせていただきますが、
ダークアリゲーターの素材は、
今、お持ちでしょうか?」
「はい、解体を済ませてアイテムボックスに入れてありますから、
いつでも出せます。」
「それでは、そちらの奥に素材買取所があるので、
素材を提出して受け取り票を、こちらにお持ちください。」
「分かりました。」
流石に王都の冒険者ギルドだけあって、
建物が巨大なので素材買取所も中にあるらしい。
(匂いとか大丈夫なのかな?)
「こんにちは~、素材の買い取りを、お願いしたいんですが。」
「おう、お疲れさん。」
奥から、ごついオッサンが出て来た。
(素材買取所と、ごついオッサンはセットなのかな・・・)
「カウンターに出せば良いですか?」
「おう、良いぞ。」
俺は、ダークアリゲーターを解体して、
皮と肉をカウンターに出した。
「お前、解体が美味いな・・・
この皮の状態なんて、本職の皮職人が扱ったみたいだぞ。」
「ええ、師匠が厳しかったんで上達しました。」
(全自動とは言えんしな・・・)
「そうか、師匠に感謝するんだな。
それで、全部買取で良いのか?」
「はい。」と返事をしようと思ったら、
パサラちゃんが、俺の服をクイクイと引っ張って、
「食べる。」と言った。
「肉を食べたいの?」
コクコクと頷いている。
聞いてみたら、今夜、ポラリちゃんを救出したら、
一緒に食べたいとの事だった。
「オッサン、肉は10キロだけ持ち帰るわ。」
「おう、じゃあ切り出してやるぞ。」
「さんきゅ。」
オッサンに切って貰った肉をアイテムボックスに入れて、
受け取り票を貰った。
「オッサン、他のギルドは外に素材買取所があったんだけど、
建物内じゃ素材の匂いとか出るんじゃないのか?」
「匂ってるか?」
「そういや、してないな・・・」
「おう、風魔法や水魔法の魔道具で、
温度と空気の流れを調整しているから、
腐ったり匂いが漏れたりしないんだよ。」
「へ~、空調管理システムがあるなんて凄ぇな~。」
「おう、自慢の設備だぜ。」
俺たちは、受け取り票を持って、
再び受付を訪れる。
「行ってきました。」
「はい、確かに確認しました。
素材の状態も良好なようですね、
では、こちらが報酬となりますのでお受け取り下さい。
あと、ポイントを計上いたしますので、
みなさんのギルドカードをお貸しください。」
俺たちは、各々のカードを差し出す。
「みなさん、優秀な冒険者でいらっしゃるんですね、
いずれギルドを代表しるパーティーになりそうな気がします。」
「ありがとうございます。」
俺たちはギルドでの用事を済ませて、
今夜に備えて、宿で一休みする事にする。
「さて、今夜の予定だけど、
ポラリちゃんの救出を最優先にするのは当たり前なんだけど、
男爵の屋敷に今現在暮らしてる、
一般の使用人は傷つけずに気絶させるだけにするように、
傭兵はなるべく殺さない方向で行くように、
自分の身が危険な場合は、その限りでは無いんでヨロシク。」
「アイヨ。」
「分かった。」
その日の深夜、
ヒョローン男爵の屋敷には、
いつもの様にヘナチョーコ侯爵が手配している傭兵たちが警備している。
「しかし、こんな貴族区画で、
空き巣も出ないような場所を見張っているだけで、
結構な報酬が貰えるってんだから、
まったく楽な仕事だな。」
「おう、俺は今回の報酬が入ったら彼女と結婚するんだ。」
「ああ、あの幼馴染っていう可愛い子か・・・
俺は故郷に帰って家でも建てて、畑仕事をやろうかな~。」
「お前、畑仕事なんて出来るのか?」
「命懸けの傭兵家業に比べれば、何だって出来るさ。」
「違ぇね~な、ハハハハッ・・・」
「そう言えば、あの幼馴染の両親には、挨拶済ませてあるのか。」
隣の相棒に声を掛けるが返事が返ってこない・・・
「おい。」
隣を見ると相棒が消えていた。
「えっ!?今まで隣に居たのに、どこ行ったんだ?」
足元を見ると、相棒が居た場所に、
気持ちの悪い黒い粘液が広がっていた。
「うえっ!何だコレ、気持ち悪ぃ~な。
うおっ!」
しゃがみ込んで見ていたら、
突然、粘液から触手が伸びて来て、男を中に引きずり込んだ。
しばらくすると、暗がりからライたちが出て来た。
「パサラちゃん、
今のヤツらのフラグは定番すぎて面白いから、
後で、生きたまま出してやってくれるかな。」
「分かった。」
ライたちは、
見張りが居なくなった門から、堂々と屋敷に向かった。




