街にて・・・
「現在、エルザ殿が我が国との国境近くの街、
ビシバーシに王妃様や弟君と居られるのは、
既にご存じの事かと思われますが、
病に倒れたという父王は、依然として王都に監禁されており、
長兄と次兄の王子様方はエルザ殿たちを逃がす際に、
反乱軍によって討たれたようです。」
「そんな・・・」
「酷いですわ・・・」
「ルクアたちは顔見知りだったのか?」
「ええ、エルザの紹介でお会いした事があります。
妹思いの良い方々でした。」
「父王様に似て、武勇に優れた方々でしたから、
きっと卑怯な手段で討ち取られたのですわ!」
「王都の王様は大丈夫なんでしょうか?」
「ああ、どうやらエルザ殿たちが王城から落ち延びられる際に、
国璽を持ち出されたようで、
これが無いと新王を名乗る事が出来ない事から、
王の身柄との交換条件を持ちかける為に生かしていると見られます。」
「そうなのですか、それは僥倖ですね。」
「でも、急ぐに越したことは無いから、
まずはエルザさんとの合流が先決だな。」
「そうですわね。」
「ノーキン様、ザドス王国には入国できるのですか?」
「ああ、国境は閉鎖されているが、
向こう側はビシバーシ領だからな、
エルザ殿の名前を出せば通して貰えると思うぞ、
姫たちがパーティーを組んでいたのは、
あちらの国でも知られているからな。」
「そうですか、それは良かったです。
慌ただしくて申し訳ありませんが、
早速、向かってみる事と致します。」
「いえ、友を思う気持ちは良く分かりますぞ、
ライ、姫の事を頼んだぞ。」
「はい!かすり傷一つ負わせませんよ。」
「その意気や良し!
では、姫様お気を付けて。」
「ええ、ノーキン伯、お世話になりました。」
俺たちは、その足でアルビナ王国の国境を過ぎて、
ザドス王国側の国境へと近づいた。
「待て!そこで停まれ!
現在、この国境は閉鎖されている、
そのまま、アルビナへと引き返すのだ!」
「私たちは、
アルビナ王国にてエルザと冒険者パーティーを組んでいた仲間です。
何か、エルザの力になれればと、こちらへ参りました。
どうか、ここを通して頂けませんか?」
「何!姫とパーティーを組まれていたと言うと・・・
何か、そちらの身分を証明出来る物がありますか?」
「身分の証明ですか・・・
そうだ!この指輪はどうでしょうか?
これは、エルザが『ザドス王国に行く時は必ず持って行け。』と、
くれた物です。」
「隊長に確認してきますので、少しお待ちください。」
「お願いします。」
少しすると、ちょっと偉そうな鎧を付けた隊長らしき人がやってきた。
「この指輪を、お持ちになったのは貴女様ですか?」
「ええ、そうです。
アルビナ王国で一緒に冒険者をやっていた時に、
エルザから貰った物です。」
「はい、確かに我が国の王族方が付けられている指輪に相違ありません、
それでは貴女様は・・・」
「私は、エルザの仲間である、ただの冒険者ですわ。」
「そうですか・・・ありがとうございます。
どうぞ、お通り下さい。」
「はい、私たちも微力ながら、
一日も早く元のザドス王国に戻るようにご協力させて頂きます。」
「エルザ様を、お願い致します。」
「もちろんですわ!友の為なら私たちは何でもしますわ!」
「ビシバーシの街は、この一本道を30分程行けば着きますので、
こちらの許可証を入り口でお見せ下さい。」
「分かりました。」
俺たちは隊長さんから通行許可証を受け取って、
ビシバーシの街へ向かった。




