旅にて・・・
王都を馬車で出発した当初は、
経験のあるルクアとフローラが馬車の操車を担当していたが、
ブユーデンの街までは長旅となるので、
俺とリーナも2人から習って、何とか走らせる程度の腕前にはなった。
意外な事に馬車を一番上手く走らせるのはパサラちゃんだった。
何故かパサラちゃんが操車している時は、
サクラとバサシが、パサラちゃんの機嫌を損ねないように、
繊細に反応している感じだ、
これはやはり、先日、マウンテンモンキーと言う名前の、
身の丈10メートルはあるサル型の魔獣が、
サクラとバサシを食べようと襲って来た時に、
パサラちゃんが「私の。」と言って、
『六苦』の魔法で撃退したからなのだろうか?
ちなみに、パサラちゃんの暗黒魔導『六苦』は、
体が両手、両足、首、胴体に六分割されて、
しかも、即死せずに、しばらく痛みに苦しむという凶悪な魔法だ、
心優しいパサラちゃんは、
旅の仲間が食べられそうになって怒ったのであろう。
あの襲撃から、サクラとバサシは、
パサラちゃんの一挙手一投足に気を付けている感じだ。
ちなみに俺は2頭とコミニュケーションを取るのに、
電気マッサージを使っている、
一日の終わりに筋肉の疲れを解してあげているのだ、
最初は驚いて嫌がっていたが、次の日が楽なのに気付いたのか、
最近では自分たちから、やってくれと寄ってくるようになった。
リーナは鍛冶の能力を使って、特性の蹄鉄をプレゼントしたようだ。
そんな旅程を重ねた俺たちは、いよいよ最初の目的地である、
ブユーデンの街へと到着した。
街の入り口では、王に発行して頂いた通行手形があるから、
問題無く通して貰える。
領主さまの城を訪ねて、門番の人に声を掛ける、
「すいません、冒険者のライと申しますが、
御領主さまにお取次ぎをお願いします。」
「お約束は、おありでしょうか?」
「いえ、先日お逢いした際に、
ノーキン伯爵様に『城を訪ねる様に』との、
お言葉を頂戴いたしましたので、お伺いした次第です。」
「分かりました。
主に確認を取りますから、少々お待ちください。」
「はい、お願いします。」
しばらくすると、門番の人が戻って来た。
「主に確認頂きましたので、一緒にお出で下さい。」
「はい、ありがとうございます。」
案内に付いて行くと応接室のような部屋へと通される、
あまり派手な装飾は無く、落ち着いた感じでリラックスできる、
武人としての自分に重きを置くノーキン様らしい部屋だ。
みんなで歓談しながら、少し待っているとノーキン様がやってきた。
「おお、あの時の冒険者ライだな、
ちゃんと覚えておるぞ、よく訪ねてくれたな、
近くでクエストでもあったのか?」
「ええ、パーティー仲間の都合でザドス王国へと向かう事となりました。」
「何、ザドス王国だと!?
今、あの国は問題が起こっているから、近寄らん方が身のためだぞ。」
「ええ、反乱が起きている事は知っています。」
「何!お主どこで、その情報を・・・うん!?
もしや、そちらの方は・・・」
「御無沙汰してます。ノーキン伯。」
「こっ、これは!ルクレツェア王女様では、ご座いませんか!」
「いいえ、今の私は友人を助けにザドス王国へ向かう、
冒険者のルクアです。」
「なる程、
そう言えば、エルザ殿は姫とパーティーを組まれていたのでしたな。」
「エルザをご存じなのですか?」
「武を嗜む者で、
S級冒険者のエルザ殿を知らない者はモグリですな。」
「ああ、そう言う事ですか。」
「しかし、姫様の行いを王はご存じなのですか?」
「ええ、我が儘を言って許して頂きました。」
「流石は我が公!良いお嬢様をお持ちだ。」
「恐れ入ります。」
「そう言う事でしたら、私も全面的にご協力させて戴きますぞ。」
「ええ、表立っての、お願い出来ませんが、
情報などを頂けたら助かります。」
「分かりましたぞ、
では、現在分かっている情報をお教えしましょう。」




