別の村にて・・・
ゴブリン村で教わった道を3時間ほど進むと、
前方に村らしきものが見えてきた。
「おおっ!やっと異世界の人との、初邂逅になるぞ。
やっぱり、第一印象っていうのは大事だからな、
ここは、性格が明るい人物をアピールしたほうが無難だな。」
村では、道を歩いてくる俺に気付いた人が、
何人か、こちらを見て何か話をしてる。
(ここは、驚かせないように、村の入り口の少し手前で止まって・・・)
「オッス!おいらライ!みんなに大人気のナイス・ガイさ!!」
「「「「・・・・・・」」」」
(うう~っ、無言はヤメて~。)
俺は、自分の耳が超赤くなっているのを感じていた。
「あっ、あんた!その格好は、もしかして冒険者か!?」
村人たちが、何故か、とても期待してるような表情で見ている。
「いっ、いや、これから冒険者になるために、
街まで行こうと思ってるんだ。」
村人たちは、ガッカリした表情に変わって、
「違ったのか・・・」
「これから、なるんじゃ・・・」
「もう、間に合わない・・・」
とか呟いている。
俺が悪いわけじゃないんだが、
何か申し訳ないような気持になって、
「何か、村で困ったことが起きたのか?」と聞くと。
「いや、冒険者じゃない、あんたに話しても・・・」
と言葉を濁すばかりで要領を得ない。
俺は、村人たちの口を軽くしようと考えて、
「俺は、まだ冒険者じゃないが、
神代の森を魔獣を倒しながら、
通り抜ける程度の実力ならあるぜ。」と言いながら、
アイテムボックスから、ブラックウルフの毛皮を取り出した。
「そっ、それは!ブラックウルフか!?」
「ああ、マッドボアもあるぜ。」
マッドボアの毛皮も取り出して見せる。
「おおっ!これほどの力なら、あるいは・・・」
「助けて、もらえるんじゃないか?」
「ぜひ、村長に会ってもらうべきだ!」
俺は、村人たちに連れられて、村長の家へと向かった。
「私が、このドイカナ村の村長をしている、ジョセフです。」
「ゴブリーン3世!?」
そこには、肌の色だけ違う、ゴブリン村の村長が居た。
「ゴブ・・・なんですか?」
「いっ、いえ、こちらのことなんで気にしないで下さい。」
(ゴブリンにソックリなんて、褒め言葉とは思えないからな。)
「そうですか、
では、私の話を聞いてください。
じつは、昨日、この村の少女たちが、
山に薬草を摘みに行っていたのですが、
運悪く、
この辺では見られなかった、オークたちに捕まってしまったのです。
何とか逃れて来た娘の話では、オークたちは10匹ほど居たようでした。
村の若者たちが武器を持って、すぐさま救出へと向かったのですが、
未だに戻っておりません。」
(ミイラ取りがミイラになった訳か・・・)
「分かった!俺が行こう!」
「そう言わずに、何とか・・・って、行ってもらえるのですか!?」
「おう、オークなんて俺にとっちゃ羽虫みたいなもんだ、
泥船に乗った気で待っててくれ!」
「それでは、沈んでしまうんじゃ・・・」
「そう言えば、一応聞いておくが、
オークって、人と話すのか?」
「?・・・いえ、オークが人と話すとは聞いたことがありません。」
「じゃあ、無問題だ、
オークが出たって場所を教えてくれ。」
「かしこまりました。
村の者に案内させます。」