まだ学院にて・・・
「アルビナ王国のルクレツェア・アルビオン・アルビナです。
妹のフローラさんとは冒険者の時にパーティーを組んでいました、
フローラのお兄様なら、みんなと同じようにルクアとお呼び下さい。」
「王女様なのに、冒険者をやっていたのですか?」
「ええ、我が国の王族は、
成人してから1年間の冒険者生活が義務付けられているのです。」
「それは、何故かお聞きしても?」
「ええ、ご先祖さまが勇者イチロー様と共に、
魔王を討伐したらしいのですが、
力を付けるために冒険者をしていたという、
故事に倣ってと言われています。」
「ほ~、面白い偶然ですが、
私たちのご先祖も勇者イチローと旅をしていたと聞いています。」
「あら、それは初耳ですわ。」
「フローラは里に居た時に、歴史の勉強の時間になると、
森に逃げていたじゃないか。」
「そ、そんな昔の事は忘れましたわ!」
「でも、面白い話ですね、
時代を超えて、勇者のパーティー仲間の子孫が、
また組んでいたかも知れないなんて。」
「そうですね。」
「それで、エクリプスさま、
私が受け持つ講義というのは、どのような物でしょうか?」
「どうぞ、エクリプスとお呼び下さい、
ルクアさまに受け持って戴く白魔法の講義ですが、
一日3時間の講義を午前と午後の2回、
それを休日を間に挟んで2週間程お願いしたいのですが、
どうでしょうか?」
「ええ、結構です。」
「では、それでお願いします。」
「わたしが講師を務めている間、みなさんはどうしますか?」
「私とリーナは、ある重要な魔導具の開発のために、
魔導具の研究室に、お邪魔しようかと思いますわ。」
「俺は、観光でもしてるよ。」
「そうですか、分かりました。」
ライは、さっそく次の日に『忌山』へと行ってみる事にした。
風兎の靴に魔力を纏って走ったので、
約30分程で、山の麓へと着いた。
「何か、草木が一本も生えて無くて不気味な山だな、
大体、植物が根を張って無いのに、
何で土が崩れてこないんだろ?」
ライは山に近づいて地面を触ってみた。
「カッチカチやな。」
触ってみた触感はアスファルトに似ている感じだが、
熱は感じなくて冷たい表面だった。
「何で出来てるんだ?」
ライは鑑定をしてみると、材質は魔封印石と言う名前らしい。
「まさか、この山自体が大きな封印なのか!?」
これ程の大きさの封印によって、
封じられているモノというのは一体何なのだろうか。
「こりゃ、登って見るしかないな!」
ライは少しワクワクしながら、山を登り始めた。
草木が生えていないと言う事は、虫や小動物も不在で、
それを捕食する動物や魔獣も居ないので、
ライに取っては暇な山登りであった。
それ程、高い山ではないので、
およそ1時間程でライは頂上付近に辿り着いた。
「さて、何所に行けば良いのかな?」
『私は、ここに居る。』
今度はハッキリと聞こえて来た。
声が聞こえて来た方を探すと、
山の内部へと下って行く洞穴を発見した。
「いよいよ、ご対面か、
さて、鬼が出るか蛇が出るかな?」
ライは、足を洞窟へと入れたり出したりして、
今度こそ明るくならない事を確認してから、
例の魔道具を取り出した。
「パンパカパ~ン!懐中魔導電灯!
うお~っ!明る~い!やっぱナイスな道具だぜ!」
ライは前回イマイチ活躍しなかった、
自分発案の魔導具が役立つ事により、
テンションが上がった。
「何か、凄いプレッシャーを感じるけど、
これ一般人じゃ近づく事も出来ないだろうな。」
洞窟は、かなりの長さで、
ライの体感では山の麓を過ぎて、さらに地下に入ってると思われる。
プレッシャーが強くなってきたので、
そろそろ終点が近いようだ。
少し行くと洞穴は下りから、水平へと変わって、
さらに進むと大きなドーム状の空間へと着いた。
「ここが、終点なのか?
一体何が封印されてるんだ・・・・・・あれは!?」




