学院にて・・・
「勇者サブロー殿、また街へ行かれていたのですか、
あなたには重要な役割があるのですから、
軽はずみな行動はお控え願えますか。」
サブローが城に帰ると、
皇国宰相のバケテール侯爵が、お小言をくれてきた。
「宰相さんか、
騎士団との厳しい訓練でストレスが溜ってるんだから、
偶の息抜きぐらいは大目に見て欲しいぜ。」
「そう言う事でしたら、多少は大目に見ますが、
あなたのお立場は、いつも心に留めて置いて下さいませ、
それと、これが今日の分の勇者強化薬ですので、
どうぞ、お飲み下さい。」
「え~、それ不味いから嫌いなんだよな~、
でも、早く強くなりたい事だし、我慢して飲むか、
宰相さん、飲みやすいように、いつものお願いするぜ。」
「ま、またですか、分かりました。
では行きますよ・・・サブちゃんの!ちょっとイイとこ見てみたい!
それ!イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!・・・・・・・」
「よし!俺いっちゃうよ!
ゴクゴクゴクゴク、プハ~、不味い!もう一杯!」
「もう一杯お持ちしますか?」
「いえ、結構です。」
勇者サブローが、城に戻り宰相とアホなやり取りをしている頃、
ライたちは、ラメール国へと向って馬車を走らせていた。
馬車の中から、リーナがルクアに声を掛けているのが聞こえてくる。
「ルクアさま、これから向かうラメール国って、
どんな国なの?」
「ラメール国は、この世界シエラザードで一番新しい国なのですが、
元々はフェルナリア皇国にある学術都市でした。
世界中から魔法の才能を持つ者たちが集まってきて、
日夜、魔法の勉強や、研究がされていたのですが、
各国の首脳らが、一つの国に魔法の才能が集中してしまうのは、
危険との判断をして独立国化したのです。
だから、国の代表は魔法学院の理事長が兼任していますし、
国民は、ほぼ魔法学院関係者です。」
「へ~、そうなんだ。」
その後は、大した問題もなく馬車の旅が続いたので、
予定通り3週間程でラメール国の魔法学院へ到着した。
学院の入り口にある門には、
守衛さんぽい人が立って居たので、ライは声を掛けてみた。
「すいません、
アルビナ王国からルクレツェア王女様を、お連れしたのですが、
学院の方にお取次ぎ願えますか。」
「はい、伺っております。
ただいま係の者を呼びますから、少々お待ちください。」
「分かりました。」
しばらくすると、
魔法使いが良く着ている、黒いローブを着こんだ、
小柄の青年だか、少年だか良く分からない人物が歩いてきた。
「ルクレツェア王女御一行さま、ようこそ魔法学院へお出で下さいました。
私が、みなさんのご案内役を務めさせていただく、ナビと申します。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。」
「あ~、案内役だけにナビな~。」
「?・・・では、こちらにどうぞ。」
俺たちは、ナビの案内で学院に踏み入れた。
『・・・・・・・』
「誰か、今、俺の事呼んだ?」
「いいえ、誰も呼んでませんわ。」
「そうか、気のせいかな?」
「そうじゃないの。」
『・・・・・・・』
「まただ!気のせいじゃないな、
どうも、あっちの方から呼ばれてる感じだぜ。
なあ、カーくん。」
「いえ、私の名前はカーではなくてナビです。
それで、何でしょうか?」
「あの、遠くに見える、黒い山って何かあるかな。」
「ああ、あの山ですか、
あそこは、昔からこの辺りに住む者からは、
『忌山』と呼ばれていて、
何か良くないモノが住んでるから近寄ってはいけないと、
言われているようです。」
「そうなんだ、ありがとうカーくん。」
「ナビです。」
ナビくんの案内で理事長室へ着いた。
「エクリプス理事長、ルクレツェア王女御一行さまをお連れしました。」
「そうか、お入り頂いてもらえ。」
「はい、分かりました、皆様どうぞ。」
ナビくんが理事長室のドアを開けて招き入れてくれると、
大きな机の向こうで立ち上がって出迎えてくれるエルフが見えた。
「みなさん、ようこそ魔法学院へいらっしゃいました。
私が当学院理事長のエクリプスです。」
「太郎兄さん!」
「花子か!?久しぶりだな、
今の今まで行方知らずだったが、どうしていたんだ?」
「太郎兄さんこそ「エクリプスだ。」・・・え?」
「今の私は太郎ではなくエクリプスなのだ。」
「分かりましたわ、では私はフローラで、お願いしますわ。」
「了解した、フローラだな。」
「ええ、それでエクリプス兄さん、何でここに?」
「ああ、最初は魔法の勉強をするために学院に入ったのだが、
卒業をする学年になった際に、社会に出て働きたく無かったから、
ず~っと居座っていたら、理事長になれと言われたんだ。」
「そうなんですの。」
(そこは、普通にスルーなんだ。)
「そう言うフローラは、里を出る時に言っていた、
重大な使命っていうのは終えたのか?」
「ええ、一度は夢半ばにして潰えたかに見えましたが、
こちらのリーナという同士を得て、新たな挑戦を始めましたわ!」
「そうか、頑張っているんだな。」
(何この兄妹コント。)




