まだ街にて・・・
オッサンに注文した武器作りは3か月程掛かり、
その間、王様より何度も「何時、出来る?」「何時、出来る?」との、
伝令が度々訪れたので、オッサンは辟易としていた。
完成の目途が立つと、
今度は王様本人が完成に合わせて龍籠で取りに来るとの、
伝令が来たそうだ。
(王様・・・龍籠は緊急用じゃないのか?)
まあ、自分専用の特別な武器に心躍るというのは、
俺も一緒だから、
人の事は言えないのだが・・・
オッサンは、予定通りに昨日までに全ての武器を完成させたので、
そろそろ、王様が街へと来られるだろう。
あと、オリハルコンのロープは上手く行かなかったそうだ、
ある程度細くすると硬化して、それ以上細くならなかったとの事で、
オッサンは「ロープじゃなくて、太い蔓になってしまったな。」
と言っていたが、魔獣をグルグル巻きに出来れば良いので、
用は足りてるから問題無いとして、
オッサン命名の『オリハルコンの蔓』の名前で、
アイテムボックスへ入れて置いた。
最近の俺たちは、街の周辺にいる魔獣では物足りなくなってしまったので、
『神代の森』に魔獣や薬草などを狩りに行っている、
一週間掛かりで狩りに行って、次の一週間は休養するといった感じだ、
『神代の森』の魔獣や薬草は高く売れるし、
クエストポイントも高いので、このペースでも十分に儲かるのだ、
今日は休養日なので、フローラとリーナは魔導具屋へ行っていて、
俺は『馬の骨亭』の食堂で、うちのパーティーの問題点を考察している。
「う~む、うちのパーティーは、
どう考えても乳が不足していると言わざる負えない、
どうすれば現状を打開できるのだろうか、
思い返せばルクア様と過ごした日々は輝いていたなぁ・・・」
「出来る事なら、今一度あの神乳さまに、お会いしたい・・・」
「あ、あの・・・」
「もう一度、お会い出来るとしたら、
右乳様か、左乳様の、どちらかに名前を付けさせて戴けないだろうか・・・」
「あ、あの・・・」
「いや、恐れ多いな、やはり生暖かく見守るのみだな。」
「あの!ライさん!」
「うん?神乳様の事を考え過ぎたせいか、
ルクア様の声が幻聴で聞こえるようだ。」
「それは、幻聴ではありませんよ。」
「まさか・・・」
俺は、恐る恐る後ろを振り返ってみた。
「え~と、ルクアさまの幻では・・・」
「いえ、実体です。」
「え~と、どの辺りから聞いてました?」
「最初からです。」
俺は、即座に土下座をして、
「うわぁぁぁぁぁっ!
生まれてスイマセン!生まれてスイマセン!
か、く、な、る、う、え、は、この腹ば掻っ捌いて、
詫びを入れる所存であります。」と謝った。
「そんなに、気にしなくても良いですよ、
男の方からチラチラと見られるのは慣れていますから、
むしろ、それ程、堂々と言葉に出されてるのが、
いっそ清々(すがすが)しい程です。」
「ありがとうございます!
ルクア様、あなたは女神のような人だ!
俺は、貴女の事を一生、陰からソッと見守り続ける事を誓います。」
「それは、止めて下さい。」
「そうですか・・・」
「今日は、フローラやリーナさんは居ないんですか?」
「2人は今、魔導具屋に行って居まして、
身体強化を、体のアル部分だけ解除できる、
魔導具を作れないか相談に行っています。」
「そうなんですか。」
「ルクア様は、王様と一緒にオリハルコンの武器を、
受け取りにいらしたのですか?」
「いえ、一緒には来たのですが、
私には別に目的がありまして、実はラメール国の魔法学院で、
白魔法の臨時講師をする事になりまして、
またライさん達に護衛を頼めないかと相談に訪れたのです。」
「分っかりました!やります!」
「あの、フローラ達に相談しなくて良いのですか?」
「私がパーティーリーダーとして、
彼女たちに、緊急クエスト並みの扱いにすると宣言しましょう。」
「あの~、ライさんたちにお受け頂けるのは、
私としても嬉しいのですが、
お二人と相談してからにした方が・・・」
「いや~、あんな乳があるのか無いのか分からん連中に、
相談する必要なんか全然無いですよ!」
「ほ~、中々面白い話してるわね。」
「そうですわね、私たちにも、
じっくりと聞かせて頂きたいものですわ。」
俺は首を、ギギギギと廻して振り返り、
出来るだけ爽やかに言った。
「やあ!お帰り心の友よ。」
その後起きた出来事は、後世に『馬の骨亭の惨劇』として、
長く語り継がれたと言われている。




