王都にて・・・
「そういえば、
ライは、また大剣にするの?」
「ああ、今回は材料が、たっぷりあるから大剣と、
普段使いの剣を作って貰うかな。」
「大剣作っても使えないんじゃないの?」
「いいや、太マッチョの道は絶たれたけど、
身長はまだ伸びる可能性が残ってるからな、
身長さえあれば身体強化で大剣も操れるさ。」
「ライさまは、
何で、そんなに大剣に拘るんですの?」
「やっぱ、RPGの主人公は、大体が大剣を使ってるからな。」
「RPGって何ですの?」
「ああ、物語みたいな物だよ、
物語に出てくる勇者とかって、大概かっこいい大剣使ってるだろ。」
「ライさまは、勇者に成りたいんですの?」
「いや、そう言う訳じゃないけど、
もし、魔王とか現れたら戦いを挑むだろうな。」
「その時は、お手伝いしますわ。」
「アタイも!」
「おう!頼むぜ。」
「勇者と言えば、皆さんフェルナリア皇国の噂をご存じですか?」
「いえ、どんな噂ですか?」
「何でも、フェルナリア皇国にある聖教会の枢機卿猊下が、
『魔王復活の兆しあり。』とのご神託を受けられて、
それを受けた皇帝陛下が勇者さまを召喚したと言うのよ。」
(まさか、俺の事じゃ無いよな・・・)
「勇者さまって、どんな人なんだろ?」
「何でも、遥昔の伝説に残る、
勇者イチローさまと同じ、黒髪、黒目だったので、
イチローさまの子孫じゃないかって言われているそうよ。」
(俺の事じゃ無いのかホッとしたぜ、
しかし、日本から召喚したんなら、
大概が黒髪、黒目だと思うんだが・・・)
「へ~、勇者イチローの子孫か~、
一度お会いしてみたいね。」
(リーナ、だから、それはフラグだぞ・・・)
「みなさま!王都が見えてまいりました!」
御者の声に、窓から顔を出して前方を見てみると、
王都の防壁が見えて来た。
「やっと帰って来ましたね、ルクアさま。」
「ええ、みなさん、ここまで護衛をありがとうございました。」
「みなさん!王城の門を潜るまでが、
修学旅行ですよ!」
「ライが、また訳の分からない事を言い出したよ。」
「リーナ、殿方の馬鹿な行いを、
笑って許すのが、良い女の条件ですわよ。」
「何気に、フローラも酷い事を言ってるわね。」
ライたちが、王都へと帰り着いた安心感から、
埒も無い話をしている内に、馬車は王都の門を過ぎて、
王城へと到着した。
王城の入り口では、ギルバート辺境伯や侍従長らが待ち受けている。
「ルクレツェアさま、お急ぎ下さい!
王の容体が急変しまして、一刻も早く『龍の涙』が必要なのです!」
「!?・・・分かりました!すぐに向ます!」
俺たちは王の元へと急いだ、
王の寝室へと着くと、
すぐに俺の魔法と、フローラの魔法を使って、
玉から『王の涙』を取り出した。
主治医の元に『龍の涙』を持っていくと、
「いかん!王の呼吸が止まってしまった!
少なくとも呼吸をしていないと、
『龍の涙』の効果が出んぞ!」と声を上げた。
「そこを、退いて下さい!」
俺は、主治医たちに場所を開けてもらうと、
王の心臓の辺りに手を当てて電気ショックを与えた。
「かはっ!」
王が呼吸を取り戻したので、
主治医に「今です!」と伝えて、
『龍の涙』を投与させた。
効果は直ちに現れて、土気色だった王の顔色が良くなった。
「姫さま!治癒魔法を、お願いします!」
「はい!癒しの神よ、この者に恵を与えたまえ。」
げっそりと痩せていた王の頬が、少しふっくらとした感じだ。
(良かったね王さま、アレから人間に戻れて・・・)
「もう、大丈夫でしょう。
時期に意識も回復します。」
「「「やった~!」」」
何とか、ギリギリで間に合ったようだ。
「良かったですね、ルクアさま。」
「はい!ライさん達の、お蔭です。
本当にありがとう、ございました。」
「ライよ、良くやってくれたな。」
「はい、領主さま。」
王様は、その後、みるみる回復して、
三日後には、もう自力で歩ける程になっていた。
俺たちは、
元気になった王様より、今回の活躍に対するお褒めの言葉と、
ご褒美を頂ける事になったので、
宮殿にある、王の間へと通された。
「冒険者ライ、フローラ、リーナよ、
此度の活躍、ご苦労であった。」
「「「はっ、ありがたきお言葉、ありがとうございます。」」」
「うむ、此度の活躍に対する褒美を与える。ライよ。」
「はっ!」
「そなたを、アルビナ王国、準男爵に授爵する。」
「お、お待ちください国王さま、
恐れ多くも私は冒険者として、生きて行きたいと考えておりますので、
爵位は重荷にございます。」
「うむ、その辺はルクアから聞いておるぞ、
準男爵になったからとて、冒険者を辞める必要はないぞ、
貴族と揉めた時などに、ワシが後ろ盾となると言う事じゃ。」
「それでしたら、謹んで叙爵させて頂きます。」
「うむ、では、このメダルを与えるとしよう、
我が国の貴族ならば、
このメダルを見れば、わしと懇意にしている者と分かるのでな。」
メダルは直径5センチぐらいで、
金色に輝いており、
金の鎖で首に掛けられるようになっている、
表面には国王様の横顔が描いてあって、
裏面には翼がある獅子が描いてある。
「はっ!ありがたく頂戴いたします。」
「うむ、続いてフローラよ。」
「はっ!」
「そなたには、風精の弓を与える。」
「はっ!ありがたき幸せ。」
「うむ、続いてリーナよ。」
「はっ!」
「そなたには地精の鎧を与える。」
「はっ!ありがたき幸せ。」
(俺も、こんなメダルじゃなくて、
かっこいい武器や防具が欲しかったな・・・)
「では、これからもアルビナ王国の為の働きを期待しておるぞ。」
「「「はっ!しかと肝に銘じます。」」」
領主さまは、もう暫く王都に留まるとの事なので、
俺たちは、一足早くタナーカの街へと帰る事になった。
王様が元気になったので、
もう領主さまが襲われる心配も無くなったそうだ。
「みなさん、また何かあったら、お願いしますわ。」
「はい、ルクアさまも、お元気で。」
「ルクア、また手紙を出しますわ。」
「ルクアさま、まったね~。」
「ライ、フローラ、リーナよ、
此度は、ご苦労であったな、
お前たちなら心配ないと思うが、
気を付けて街まで帰れよ。
「「「はい、領主さまも、お気を付けて。」」」
街へと向かう馬車の中で、ライはリーナに問いかけた。
「そう言えば、王様の名前って何て言うの?」
「あんた、自分が暮らす国の、王様の名前も知らないの?」
「山奥で自給自足してる村人なんて、大概そんなもんだぜ。」
「そんなもんかな?
王様の、お名前はアトツーギ様よ。」
「おい前王!名前!名前!」




