まだ島にて・・・
俺は海龍王から『龍の涙』を一つ貰って、
石の上に置いてから、フローラに声を掛けた。
「フローラ、俺が合図したら、
これに冷却魔法を掛けてくれるか。」
「わかりましたわ、ライさま。」
俺は、例の電子レンジの魔法を『龍の涙』に掛けてみる、
中身は液体なので、たぶん行けるはずだ、
先ほど、海龍王に確かめたのは、
熱を加えて中身が駄目になっては、元の木阿弥だからだ。
暫くすると、中の液体に泡が出て来たので、
上手く行ってるようだ、
玉に触れてみると、かなり熱くなっているから、もう少しだな・・・
チーン!
「今だ!フローラ。」
「聖霊よ我に力を貸したまえ、冷檻!」
玉の表面に急に霜が付いたと思うと、
ピシッ!と音を発てて、玉に罅が入った。
「おおっ!小さき者よ見事だぞ。
それにしても、何故、玉に罅が入ったのだ?」
「え~と、分かりやすく言うと、
物っていうのは、温めると膨らんで、冷やすと縮むんですよ、
その温度の差が大きいほど、物に掛かる力は強くなります。
だから、俺は玉の中の液体を魔法で、もの凄く熱くしてから、
フローラに外側から急激に冷やして貰ったって訳です。」
「なるほど、そのような方法があったとはな、
そなたの知識が何に基づいた物なのかは気になるが、
まあ、良いであろう。
小さき者よ、そなたは面白いな、
褒美として、いつでも、ここを訪れる資格を与えよう、
これを、渡して置くから持っておるが良い、
これを、持っておれば海に生きる者は、そなたに危害を加えぬぞ。」
海龍王さまは、青く美しい鱗を一枚ライに手渡した。
「ありがとう、ございます。」
「うむ。」
「海龍王さま、それでは『龍の涙』は戴けますか。」
「うむ、いくらでも持っていくが良い。」
「ありがとうございます。」
役に立ちそうなアイテムなので、
10個ほど戴いて帰る事にした。
ちなみに、先ほど、罅が入った玉は、
勿体ないから、海龍王さまに許しを得て飲んでみたところ、
股間直撃で減っていたHPと、
先ほどの魔法で減っていたMPが全回復した。
(思うに『龍の涙』とは、いかなる状態異常も回復させる、
万能薬のような物なんじゃないかな?)
「タブラン、船は直ったか?」
「ああ、みなさん、お帰りなさい。
ええ、船はバッチリ直りましたので、
いつでも海に出られますよ。」
「じゃあ、帰るとするか・・・
あっ、そうだ!
タブラン、コレをやるから、
海に出る時は、いつも持つようにしろよ。」
「これは?」
「海龍王さまの鱗だってさ、
持ってると海の魔物とかに襲われないらしいぞ。」
「えっ!?
そっ、そんな貴重な物を頂けません!」
「じゃあ、また海龍王さまに会いにくる時はタブランに頼むから、
それまで預かっててくれよ。」
「ライさん・・・
分かりました!お預かりして置きます。」
ライたちは、ポルポートへと帰港すると、
海賊退治に対する礼を言う領主や、
タブラン、チムニイ、コリミア兄弟との、
別れの挨拶もそこそこに、
龍籠でアルビナ王国への帰途についた。
来た時に世話になった街で、また泊まるようにして、
ポルポートでライのアイテムボックスに、
たっぷりと詰め込んだ、海の幸を振る舞っていった。
内陸部では、新鮮な海の幸は大変珍しいものなので、
みんな、大喜びだった。
順調に帰りの日程を消化して行き、
王都まで、あと少しという所で、
龍籠を操っている兵士が、ルクアさまに声を掛けた。
「姫さま、申し上げます!
王都方面に嵐が来ているようで、
龍籠で進むには危険と思われます。」
確かに、これから向かう方向の彼方に、
どす黒い雲が立ち込めている。
「分かりました。
もう、王都までは大した距離では無いから、
私たちは馬車に乗り換えて、陸路を行くので、
あなた達は、嵐をやり過ごしてから帰って来なさい。」
「畏まりました。」
近くの街で龍籠を下して、
馬車をチャーターしてから、
俺たちは王都へ向かって出発した。




