まだまだ他国にて・・・
その日は、チムタンと、兄のタブラン、妹のコリミアを招いて、
街の食堂での夕食となった。
その席で、ライはタブランに聞いてみる。
「タブランは腕の良い船乗りなんだって?
俺たちは龍神島に行きたいんだけど乗せてもらえないかな?」
「受けた御恩を、お返ししたいのはヤマヤマなんですが、
今、龍神島の辺りは海賊の縄張りになってるんですよ。」
「それなら、心配はいらないぜ、
俺たちは、こう見えても、S級並みの冒険者なんだ、
海賊ぐらい一網打尽さ。」
「そう言う事なら、ぜひ!ご協力させて下さい。」
ライたちは、ようやく島へ渡る手段を確保する事が出来た。
翌朝、港へ行くとタブランが出港の準備を進めてる。
「もうすぐ終わりますので、もう船に乗り込んで下さい。」
タブランの船は、港に入れない大型船が沖に停泊した際に、
港まで荷物を運ぶ船で、水魔石と風魔石を使って進むそうだ。
「準備が終わったので、出港します!」
「へ~、結構速いんだな。」
「ええ、今は荷物を積んでないから、かなりの速度が出せます。」
そのまま、1時間ほどの船旅していたが、
遠くに島らしき物が見えてきた頃合いで、タブランが警戒を呼び掛けた。
「そろそろ、海賊の縄張りなんで気を付けて下さい。」
「さっそく、来たようですわよ。」
エルフのフローラは目が良いので、先んじて見つけたようだ。
「タブラン、船を止めてくれるか。」
「分かりました。」
しばらくすると、ライたちの目にも海賊船が見えてきた、
海賊船は大きな物は無く、中型船を30隻ほど集めて、
機動力を生かせているようだ。
「おう、お前ら!良い女たちを連れているな、
その女たちを置いていけば、命だけは助けてやるぜ。」
「フローラ頼めるか?」
「はい、分かりましたわ。
サウザンツ・アロー!」
フローラが唱えると、無数の矢が海賊たちの船へと降り注いだ。
「「「「うわああああ~っ!」」」」
「まさか、あの海賊団を一撃でなんて・・・
ライさん達って、凄い冒険者なんですね!」
「わっはっはっ、良く言われるよ。」
「そんじゃ、海賊の後始末は海軍に任せて、
俺たちは龍神島に急ぐとしよう。」
「はい、分かりました。」
島が段々近づいた時、リーナが言った。
「何か、こっちに飛んでくるみたいよ。」
「なんだ?黒く霞んで見えるな。」
「あれは!鉄飛び魚です!」
「鉄飛び魚?」
「はい、魚なんですが、鉄みたいに硬くて、
水面を100メートルも飛んでくるんです、
運の悪い船乗りが、毎年、何人か大怪我したり死んだりします。」
「そうか、リーナ頼めるか?」
「アイヨ!」
リーナはアダマンタイトの盾を構えると、
船に向かってくる鉄飛び魚をガンガン跳ね返している。
今度は、船底にゴン!と衝撃が走った。
「今度は何だ?」
「たぶん、暴れウツボだと思います。
気性が荒くて、自分の縄張りに入った者に、
体当たりをして来るんですよ。」
ゴンゴンという衝撃が何回か続くと、
船底にヒビが入って海水が漏れ始めた。
「タブラン、水が漏れてきたぞ。」
「その辺にある、板切れを乗せて、
重しを置いとけば、取り敢えず島まで持ちます。」
「おっけ~。」
ライはヒビに板を乗せて踏みつけると、
重しに使えそうな物を探した。
「そうだ!リーナ、ウォーハンマー貸してくれ。」
アダマンタイト製のウォーハンマーなら、
重しとして十分だろう。
「アイヨ!今、手が離せないから、放り投げるよ。」
「いいぜ。」
リーナが放ったハンマーを、ライが受け止めたかに見えた瞬間、
暴れウツボの体当たりで船が少し揺れた。
結果、ハンマーはライの手を、すり抜けて、
股間を直撃した。
「トム!ヤム!ク~ン!」
「と、突然なんですの?ライさま、大声を出して。」
「い・・・痛さの余り・・・お、大声を出さなきゃ・・・
耐えられないんだ・・・
チョーゲンボー!チョーゲンボー!」
「ちょ、ちょっとライさま、イメージが崩れるから、
止めて下さいませ。」
「こ、この痛みは、女には分かんねえぜ・・・」
「ふ~ん、そんなに痛いんだ。」
「おう、地獄の苦しみだぜ。」
「じゃあ、ドワーフキックする時は、
手加減してやるね。」
「すんなっ、ちゅうとんじゃ~!」
「ぷっ、ははははっ!
ライさん達って、凄いのか凄く無いのか、良く分かりませんね。」
「それも、良く言われるよ・・・」




