村にて・・・
「おおっ!!ホントにステータスが出てきたぞ!!
っていうか、雷撃の勇者ってカッコイイなオイ!!」
そして、雷蔵あらためライは、
スキルの中に異世界言語理解があるのを見て、
ここが異世界なのだと確認した。
巨狼が出てきた時点で、(もしかして・・・)と考えていたが、
確認できたのでスッキリしたと言える。
地球では、筋肉しか友達が居なかった雷蔵は、
遊びに行くことや、飲みに出ることもなく、
筋トレ以外の時間は、趣味の読書をしていることが多く、
中でも、異世界もののファンタジー小説は大好物だったので、
現在の状況は「神さま、ありがとう。」以外のなにものでもない。
「しかし、生まれ変わりだけじゃなくて、異世界転移までセットとは、
俺は、筋肉の神様に愛されているのかも知れないな。」
とりあえず、スキルの中にアイテムボックスがあったので、
巨狼の死体を収納してみることとした。
「収納!・・・で良いのかな?」
すると、目の前にステータスのような半透明の表示が出て、
そのまま、収納するか、解体して収納するか聞いてきたので、
解体するを選択した。
すると、アイテムボックス内に、
ブラックウルフの肉
ブラックウルフの毛皮
ブラックウルフの骨
と表示された。
どうやら、内臓は食べられないようだ、
(へ~、あの狼ブラックウルフっていうのか、
俺、モツとか好きだから、内臓が食えないのは残念だな・・・)
便利なことに、使えない素材は、ナゾ空間に処分してくれるようで、
何も残らなかった。
スキルに鑑定が、あったので、
ブラックウルフの素材を鑑定してみた。
ブラックウルフの肉・・・そこそこ美味しい肉。
ブラックウルフの毛皮・・・加工が容易で、結構人気がある毛皮。
ブラックウルフの骨・・・防具に加工ができ、そこそこ使える骨。
と表示されている、レベルが低いのか簡単な内容しか出ないようだ。
ついでに、雷魔導を鑑定してみたら、
魔法の上位スキルが、魔導との事だった。
「さて、ブラックウルフも収納したし、
これから、どうするかな?」
ライは、泉の周りをグルッと見渡して見た。
すると、ライが歩いて来た、泉に流れ込む小川の他に、
泉から流れていく小川の横に、
雑草が生えていない、けもの道があるのを発見した。
(水場の近辺には村落が出来易いっていうから、
あの道なりに歩いてみるか・・・)
ライは、誰かに出会えることを期待して、
けもの道を歩いていくことにした。
時どき出没する、
巨大なウサギのような動物や、巨大な猪のような動物を、
電撃パンチや、電撃キックで狩りつつアイテムボックスに収容して、
(しかし、この森って巨大生物しかいないのか?)
鑑定のレベルを上げるために、周囲に生えている草を調べながら、
薬草や、しびれ草、眠り草などを採取しつつ、
3時間ほど進むと、前方に村らしきものが見えてきた。
「おおっ!やっと文明らしきものと接触できそうだな。」
ライは、嬉しくなって、足早に村に向かったが、
途中で「なにっ!?」と言って、
とっさに木の影へと、身を隠した。
村の入り口から、身長150センチほどの、
緑色の肌をした、人型の者が3体出てきたのである。
「あれは、もしかしてファンタジーでは、お馴染みの・・・」
ライが鑑定してみると、予想通りにゴブリンと表示されていた。
(ゴブリンといえば、
女の子にア~ンなことや、コ~ンなことをしてしまうヤツだからな、
強さも大したことがないようだし、
これから出会う予定の、恋人や嫁のためにも、討伐しておくか。)
ライは、拳に電撃を纏いつつ、
ゴブリンの集落に向かって、歩いて行くと、
ライに気付いた、ゴブリンたちが両手を上げながら、
「マッ、待ッテクダサイ、私タチニ戦ウ意思ハアリマセン。」
と言ってきた。
「ゴブリンて、しゃべるの!?」