城にて・・・
俺は、リーナとフローラと一緒に3人で連れ立って、
手頃なクエストがないかと冒険者ギルドを訪れた。
「あら、ライくん、ちょうど良かったわ、
今、誰かを呼びに行かせようって話していた、
ところだったのよ。」
ギルドの受付嬢であるロザリアが声を掛けて来た。
「何だ?」
「先日のロックマイマイ討伐の、
功級を高く評価した領主さまが、
お言葉と金一封を送りたいとの事なのよ。」
「え~、領主って貴族なんだろ?
あまり、偉い人には関わりたくないんだけどな~。」
「ライさま、この街で冒険者を続けて行くなら、
領主とは、仲よくしたほうが宜しいですわよ。」
「ライ、アタイは父ちゃんが作った剣を届けに行って、
何回か領主さまに会った事があるけど、
偉ぶったところが無くて良い人だよ。」
「リーナが、そう言うなら大丈夫か。
そう言う事で、ロザリア、会いに行くことにするよ。」
「それは助かるわ、
領主さまは2~3日は街に居るから、
いつでも来て良いと仰ってたわ。」
「分かった。
面倒事は早く済ませたいから、
さっそく訪ねてみるよ。」
俺たちは領主の城へと向かった。
「あの~、冒険者のライと申しますが、
領主さまに呼ばれて来たんですけど。」
城の門番に声を掛けた。
「はい、領主さまより承っております。
ただいま、係の者を呼びますので、
少々お待ちください。」
さすがに、領主の城の門番だけあって、
良く教育されている様だ。
「お待たせ申し上げました。
私は、こちらで執事を務めておりますセバスチャンと申します。
皆さまを主人の部屋まで、ご案内申し上げます。」
羊の獣人の執事が現われた。
(羊の執事・・・)
「ぷっ・・・くっ・・・」
俺のツボに入ってしまった。
それを見たセバスチャンが、
「それでは、こちらですメェ~。」と言った。
「ぷぷっ・・・くっ・・・」
(こいつ、絶対わざとだろ!
前にロザリアさんが、今時は言わないって言ってたぞ!)
セバスチャンとの、目に見えない攻防は、
領主の部屋に着くまで繰り広げられた。
コンコン!
ドアに付いているノッカーを鳴らして、
セバスチャンが中に声を掛けた。
「旦那様、冒険者の皆様が、お出でです。」
「ああ、入って貰ってくれ。」
セバスチャンがドアを開けて促したので、
入ろうとして、俺は思い出した。
(このパターンは、もしかして・・・)
俺は、用心しながら、そ~っと中を覗きこんだ。
(良かった!普通の人だ。)
そこには壮年を迎えたぐらいの年齢に見えるが、
尚も、なかなかの筋肉を持った人物が立っていた。
「冒険者のライと申します、よろしくお願いします。」
「同じく、フローラですわ、よろしくお願い申し上げます。」
「ピッカリーの、娘のピッカリーナです。
領主さま、こんにちは~。」
「おお、良く来てくれた。
私が、この街の領主を務めるギルバート・タナーカ辺境伯だ、
そちらのソファに腰掛けて、楽にしてくれたまえ。」
「失礼します。」
俺は、ソファに腰掛けようとして、ソレに気付いた。
「あの~、領主さま、
あちらの壁に掛けられている肖像画の方は・・・」
「ああ、あれは3年前に事故で亡くなった。
前領主でもある、私の父だよ。」
(あ、危なかった・・・
あご髭が生えたゴブリーン3世を見たら、
絶対、つっ込んじゃうもんな。)
見ると、肖像画の下にタペストリーの様な物が掛かっていて、
街の人たちが、その死を惜しむコメントを書いている。
何故か、男ばかりだが・・・
(卒業式の寄せ書きみたいな物か?)
「街の人たちに尊敬されていた方なんですね。」
「ああ、女には嫌われていたが、
男には絶大な人気だったな・・・」
「何で、女性に嫌われていたのですか?」
「それは、3年前の事故に起因するのだが、
父は街の者たちとの付き合いを大事にしていて、
風呂も、城の風呂ではなくて、街の共同浴場に通っておったのだ。」
「裸の付き合いってやつですね。」
「3年前の、あの日、
父は男湯の湯船と、下の穴で繋がった女湯を覗こうとして、
頭が抜けなくなって溺死したのだ。」
「前領主、何やってるの!?
この街、大丈夫なの!?」
「それで、女には嫌われたのだが、
男には『漢の中の漢だ!』とか、
『漢の鑑だ!』と尊敬されておるのだ。」
「その気持ちは、分からないでも無いですが・・・」




