宿にて・・・
ロックマイマイを討伐してから、
5日ほどたった、ある日の朝、
ライは、常宿としている、
『馬の骨亭』の食堂で何事かブツブツと呟いている。
「やはり・・・いや、しかし・・・そうとしか・・・」
そこへ、パーティー仲間のフローラとリーナが、やって来た。
「何を、ブツブツ言ってらっしゃいますの?ライさま。」
「傍から見ると、危ない人だよ。」
「おう、おはよう、
フローラ、リーナ。」
「おはようございます、
ライさま。」
「おはよ~!」
リーナは、父親のピッカリーから問題無く許可を貰い、
晴れて冒険者となった。
ロックマイマイ討伐の功績から、
ライはB級冒険者になり、
リーナは最初からD級冒険者となった。
ロックマイマイはフローラの大規模魔法で討伐した事になっていたので、
他の冒険者から疑問の声が上がると思われたが、
フローラの「ライさまと、リーナがロックマイマイを抑え込んでくれた、
お蔭で倒せましたのよ。」の一言で解決した。
「お前たち、ギルドの筋肉トレーニング・ルームって知ってるか?」
「ああ、知ってますわ、冒険者たちが基礎筋力を付けるのに、
効果的な設備ですわね。」
「ギルドの説明で見せてもらったけど、変わった魔道具が並んでたね。」
「ああ、あの部屋は、
俺がギルマスに、『冒険者たちに実用的な筋肉を付けたほうが良い。』
って提案して、作って貰った部屋なんだ、
魔道具も、俺が構造を話して魔道具屋に作って貰ったんだよ。」
「まあ、ライさまが作られたのですね。」
「ライって、何気に多才よね。」
「それで、俺は計算し尽くされた栄養を取りながら、
効果的なトレーニングを積んで来たんだが、
一向に筋肉が育ってくる気配が無いんだ。
筋肉のスペシャリストたる俺に、計算違いなど考えられないから、
何らかの要因があると考えて、
筋トレ・ルームを使っている冒険者たちを調べてみたんだが、
筋肉が育つ者と、育たない者に2極化している事を発見した。
そして、さらに調べを進めて行く内に、
俺は一つの結論に辿り着いた。」
「ふ~ん、何だったの?」
「あまり、興味が無さそうだな。」
「はっきり申し上げて、筋肉には私も・・・」
「まあ良いけど、
これは、お前たちにも深く関係している発見だから、
良く聞いておけよ、
筋肉が育たない細マッチョは身体強化が得意で、
筋肉が育った太マッチョは身体強化が苦手なのが判明したんだ、
これは、なかなか良い筋肉をしたギルマスにも確認したんだが、
ギルマスも身体強化が苦手だから、
戦闘の時は拳とか足とか、部分的に強化していると言っていたし、
ギルマスの友人にも、なかなかの筋肉所持者が居るらしいんだが、
その人も一緒と言っていた。」
「それは、分かりましたが、
どこが私たちと深く関係されてるのかしら?」
「フローラって、身体強化が得意なんじゃないか?」
「よく、お分かりになりましたわね、
普段、魔法や弓を使っているので、気付かれ難いんですのに。」
「エルフって、もしかして身体強化が得意な人が多い?」
「ええ、種族的な物なのか、得意な者が多いですわ。」
「やっぱりな、実は、
ここに居るリーナも身体強化は得意中の得意なんだ。」
「そうだけど、どう言う事なの?」
「俺が出した結論は、
身体強化が得意な男は細マッチョになって、
身体強化が得意な女は乳が育たないだ。」
「何ですって!」
「それは、大問題よ!」
「女の冒険者も、
大勢に聞き込んだから、ほぼ間違い無いと思うぜ。」
「ううっ、子供の頃に知ってさえいれば・・・」
隣でフローラも、コクコクと頷いている。
「俺は、今回の大発見を、世界に向けて発信しようと考えているんだ。」
「それは、お止めになった方が宜しいですわよ、ライさま。」
「何でだ?
悩みを抱える女性が減るんだから、良い事じゃないのか?」
「基本的に体力面で、女性は男性に劣りますわ。」
「まあ、そうだろうな。」
「ライさまの発表によって、身体強化を鍛える女性が居なくなると、
怪我をされる方や、亡くなる方が増えると思われますわ。」
「そうか、そう言われると、そうだな・・・
フローラ、ありがとう教えてくれて、
俺は、発表を取りやめるよ。」
「どう致しましてですわ、ライさま。
・・・これで、乳の大きい女性が増えるのを阻止できましたわ。」
フローラとリーナが、ガッチリと堅い握手を交わしている。
「おい、本音が駄々漏れてるぞ。」




