まだ草原にて・・・
「ギルマス!ちょっと良いか?」
「ライか、どうしたんだ?」
「俺に、マイマイを倒せるかも知れないアイデアがあるんだけど、
雷魔法を使うから、
なるべく人目に付きたく無いんだけど、
何とかならないか?」
「アレを、本当に倒せるのか?」
「俺も、初めて使う魔法だから絶対とは言えないけど、
何も、やらないよりはマシだろ。」
「そうだな、どのみち、このままじゃじり貧だったから、
可能性があるなら、やってみたほうが良いな。
分かった、フローラが大規模魔法を使うから、
避難するように、皆に伝えよう。」
「頼む!」
ギルマスの掛け声で、みんなが避難して行ったのを見計らって、
リーナとフローラに作戦を説明する。
「2人とも、聞いてくれるか、
この作戦を実行するには、
マイマイを横倒ししなくちゃならないんだ。」
「あんな、馬鹿デカいやつを横に倒せるのか?」
「ああ、正面から、まともに当たったら無理だけど、
あの形なら、バランスを崩した状態に、
横から大きな力を掛ければ必ず倒れる。」
「どうすれば、良いんですの?」
「ああ、まずリーナがマイマイの前面の一番端を狙って、
アダマンタイトの盾を、ぶち当ててくれ、
真っ直ぐ向けてると弾き飛ばされるから、
盾を斜めに構えて、力を受け流す感じにするんだぞ。」
「分かったよ!」
「フローラは、マイマイがバランスを崩したら、
スキルの攻撃を、殻の側面に打ってくれ。」
「分かりましたわ!」
「よし、今度、マイマイが引き返してきたら実行するぞ!」
「アイヨ!」
「はい!」
Uターンに手間取っていたマイマイが、
ようやく方向転換を終えて、こちらに向かって進み始めた。
「来るぞ!」
盾を斜めに構えたリーナがマイマイと衝突した。
「ぐうぅ~~~~っ!」
うめき声を上げながら、リーナは何とか耐えきった。
ライは、マイマイが僅かに傾いたのを見て、
叫んだ。
「フローラ!今だ!」
「サウザンツ アロー!」
フローラの弓から放たれた1本の矢が、
無数に分裂しながら、マイマイの側面へと、
ぶち当たった。
ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガッ!・・・・
大きく傾いたマイマイが、
ズ、ズゥ~ン!と大きな音を発てて倒れた。
「よし!後は、俺に任せろ!」
ライはマイマイに向かって走って行くと、
上に飛び乗って、殻の真ん中辺りで、
ペタリと両掌を付いた。
(え~と、マイクロウェーブは電波だから、
電気の波を通すイメージをして・・・
中の水分に働きかけて摩擦を起こすと・・・)
そう、俺は電子レンジをイメージした魔法を作ってみたのだ。
いろいろ、細かい調整をしながら続けると、
マイマイがガタガタと振動し始める、
すると殻の、あちこちから蒸気が上がり始めて、
しばらく、そのまま魔力を送り続けていたら・・・
チ~ン!
「鳴るのかよ!
今、どこから音がしたんだよ!」
殻からは、激しく蒸気が噴き出していて、
海鮮焼きのような良い匂いがしている、
振動が止まったので、どうやら死んだようだ。
ライは一応、アイテムボックスに入れてみたが、
ちゃんと収納できるので、
マイマイが死んでるのを確認した。
「ライ、やったの?」
「ああ、俺たちの勝ちだ。」
「やりましたわね、ライさま!」
「ああ、フロ・・・」
「どうか、なさいましたの?」
「フローラ、右乳が、お腹まで落ちて、
出べそみたいになってるぞ。」
「えっ?
きゃ~~~っ!ですわ~!」
「やっぱり、エルフは無い乳じゃん。」
そんな、ひと騒動があった後、
リーナとフローラを連れて、
ギルマスに報告に行ったのだが、
ギルマスも、みんなも半信半疑だったので、
アイテムボックスから死体を出して見せたら、
ようやく実感できたようだ。
「「「「うぉ~~~っ!!」」」」
「「「「やった~~っ!!」」」」
「ライ、リーナ、フローラ、ご苦労だったな。」
「ギルマスも、お疲れ!」
「うむ。」
「あれって、解体しちゃって良いのか?」
「ああ、あれは倒した、お前たちの物だぞ。」
「俺たちだけで独占なんて、セコイ真似はしねぇさ、
美味そうな匂いがしてるから、
街に帰ったら、みんなと食べようかと思ってよ。」
「そうか、
みんな!聞いてくれ!
街に帰ったら、
ライたちがマイマイの肉を、振る舞ってくれると言うから、
大宴会だぞ!」
「「「「うぉ~!ライ!リーナ!フローラ!万歳!」」」」
街に帰って、アイテムボックスから、
マイマイの肉を取り出して、少し食べてみると、
濃厚な巻貝のような味がした。
ライは、地球に居た頃に、
地元の成人式に出席した後、
中学時代のクラス会に自分だけ呼ばれてなかったので、
一人でフランス料理店に行って、お祝いした時に食べた、
生涯において、最初で最後のエスカルゴの味を思い出したので、
宿の主人に、お願いして、ガーリックオイルで味付けしてもらった。
ライ提案による、
ボッチ涙のエスカルゴ風マイマイ料理は、
酒の肴に最高だと、みんなに喜ばれた。
人いきれに酔ったライが、少し離れた所で休んでいると、
リーナとフローラが歩いて来るのが目に入った。
フローラは開き直ったのか、
ボディコンは止めて、エルフらしいスリムな服装をしている。
「ライ、こんな所で何してるの?」
「みんな、主役が居ないと騒いでますわよ。」
「俺たちが力を合わせて、守った街を見ていたんだ。」
「そうね。」
「今回は、もう駄目かと思いましたわ。」
「なあ、2人に提案があるんだけど聞いてくれるか。」
「何よ?」
「何ですの?」
「俺と、パーティーを組まないか?」
「冒険者になってって事?
ライと一緒に居ると、面白い事がありそうだから、
それも良いわね。
まあ、父ちゃんの許可が出たらだけどね。」
「私は願ったり叶ったりですわ、
私たちのパーティーは、きっと歴史に名を残しますわよ。」
俺は、2人の胸を見ながら提案してみた。
「やっぱり、パーティー名は『ナインズ』が良いかな?」
「ぶっとばすよ!」
「ぶっとばしますわよ!」
俺たちは、しばらく顔を見合わせていたが、
「「「ぷっ!ははははははっ!」」」
街の喧騒が響く夜空に、
3人の笑い声が木霊した。




