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雷撃(らいげき)の冒険者  作者: シュウさん
24/71

まだ草原にて・・・

「ギルマス!ちょっと良いか?」


「ライか、どうしたんだ?」


「俺に、マイマイを倒せるかも知れないアイデアがあるんだけど、

雷魔法を使うから、

なるべく人目に付きたく無いんだけど、

何とかならないか?」


「アレを、本当に倒せるのか?」


「俺も、初めて使う魔法だから絶対とは言えないけど、

何も、やらないよりはマシだろ。」


「そうだな、どのみち、このままじゃじり貧だったから、

可能性があるなら、やってみたほうが良いな。

分かった、フローラが大規模魔法を使うから、

避難するように、皆に伝えよう。」


「頼む!」


ギルマスの掛け声で、みんなが避難して行ったのを見計らって、

リーナとフローラに作戦を説明する。


「2人とも、聞いてくれるか、

この作戦を実行するには、

マイマイを横倒ししなくちゃならないんだ。」


「あんな、馬鹿デカいやつを横に倒せるのか?」


「ああ、正面から、まともに当たったら無理だけど、

あの形なら、バランスを崩した状態に、

横から大きな力を掛ければ必ず倒れる。」


「どうすれば、良いんですの?」


「ああ、まずリーナがマイマイの前面の一番端を狙って、

アダマンタイトの盾を、ぶち当ててくれ、

真っ直ぐ向けてると弾き飛ばされるから、

盾を斜めに構えて、力を受け流す感じにするんだぞ。」


「分かったよ!」


「フローラは、マイマイがバランスを崩したら、

スキルの攻撃を、殻の側面に打ってくれ。」


「分かりましたわ!」


「よし、今度、マイマイが引き返してきたら実行するぞ!」


「アイヨ!」

「はい!」



Uターンに手間取っていたマイマイが、

ようやく方向転換を終えて、こちらに向かって進み始めた。


「来るぞ!」


盾を斜めに構えたリーナがマイマイと衝突した。


「ぐうぅ~~~~っ!」

うめき声を上げながら、リーナは何とか耐えきった。


ライは、マイマイがわずかにかたむいたのを見て、

叫んだ。


「フローラ!今だ!」


「サウザンツ アロー!」

フローラの弓から放たれた1本の矢が、

無数に分裂しながら、マイマイの側面へと、

ぶち当たった。


ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガッ!・・・・


大きく傾いたマイマイが、

ズ、ズゥ~ン!と大きな音を発てて倒れた。


「よし!後は、俺に任せろ!」


ライはマイマイに向かって走って行くと、

上に飛び乗って、殻の真ん中辺りで、

ペタリとりょうてのひらを付いた。


(え~と、マイクロウェーブは電波だから、

電気の波を通すイメージをして・・・

中の水分に働きかけて摩擦を起こすと・・・)

そう、俺は電子レンジをイメージした魔法を作ってみたのだ。


いろいろ、細かい調整をしながら続けると、

マイマイがガタガタと振動し始める、

すると殻の、あちこちから蒸気が上がり始めて、

しばらく、そのまま魔力を送り続けていたら・・・

チ~ン!

「鳴るのかよ!

今、どこから音がしたんだよ!」


殻からは、激しく蒸気が噴き出していて、

海鮮焼きのような良い匂いがしている、

振動が止まったので、どうやら死んだようだ。


ライは一応、アイテムボックスに入れてみたが、

ちゃんと収納できるので、

マイマイが死んでるのを確認した。


「ライ、やったの?」


「ああ、俺たちの勝ちだ。」


「やりましたわね、ライさま!」


「ああ、フロ・・・」


「どうか、なさいましたの?」


「フローラ、右乳みぎちちが、お腹まで落ちて、

出べそみたいになってるぞ。」


「えっ?

きゃ~~~っ!ですわ~!」


「やっぱり、エルフは無い乳じゃん。」


そんな、ひと騒動があった後、

リーナとフローラを連れて、

ギルマスに報告に行ったのだが、

ギルマスも、みんなも半信半疑だったので、

アイテムボックスから死体を出して見せたら、

ようやく実感できたようだ。


「「「「うぉ~~~っ!!」」」」

「「「「やった~~っ!!」」」」


「ライ、リーナ、フローラ、ご苦労だったな。」


「ギルマスも、お疲れ!」


「うむ。」


「あれって、解体しちゃって良いのか?」


「ああ、あれは倒した、お前たちの物だぞ。」


「俺たちだけで独占なんて、セコイ真似はしねぇさ、

美味そうな匂いがしてるから、

街に帰ったら、みんなと食べようかと思ってよ。」


「そうか、

みんな!聞いてくれ!

街に帰ったら、

ライたちがマイマイの肉を、振る舞ってくれると言うから、

大宴会だぞ!」


「「「「うぉ~!ライ!リーナ!フローラ!万歳!」」」」


街に帰って、アイテムボックスから、

マイマイの肉を取り出して、少し食べてみると、

濃厚な巻貝のような味がした。


ライは、地球に居た頃に、

地元の成人式に出席した後、

中学時代のクラス会に自分だけ呼ばれてなかったので、

一人でフランス料理店に行って、お祝いした時に食べた、

生涯において、最初で最後のエスカルゴの味を思い出したので、

宿の主人に、お願いして、ガーリックオイルで味付けしてもらった。


ライ提案による、

ボッチ涙のエスカルゴ風マイマイ料理は、

酒のさかなに最高だと、みんなに喜ばれた。


人いきれに酔ったライが、少し離れた所で休んでいると、

リーナとフローラが歩いて来るのが目に入った。


フローラは開き直ったのか、

ボディコンは止めて、エルフらしいスリムな服装をしている。


「ライ、こんな所で何してるの?」

「みんな、主役が居ないと騒いでますわよ。」


「俺たちが力を合わせて、守った街を見ていたんだ。」


「そうね。」

「今回は、もう駄目かと思いましたわ。」


「なあ、2人に提案があるんだけど聞いてくれるか。」


「何よ?」

「何ですの?」


「俺と、パーティーを組まないか?」


「冒険者になってって事?

ライと一緒に居ると、面白い事がありそうだから、

それも良いわね。

まあ、父ちゃんの許可が出たらだけどね。」


わたくしは願ったり叶ったりですわ、

私たちのパーティーは、きっと歴史に名を残しますわよ。」


俺は、2人の胸を見ながら提案してみた。


「やっぱり、パーティー名は『ナインズ』が良いかな?」


「ぶっとばすよ!」

「ぶっとばしますわよ!」


俺たちは、しばらく顔を見合わせていたが、

「「「ぷっ!ははははははっ!」」」

街の喧騒が響く夜空に、

3人の笑い声が木霊こだました。


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