草原にて・・・
ギルマス率いる討伐隊の皆と共に、
草原へと近づいてくると、
まだ、かなり離れた場所に居るにも関わらず、
ソレが見え始めた。
ソレを、ひと言で表すとすれば「でけえ!」
ふた言で表すとすれば「ちょ~、でけえ!」だ。
「何て大きさだ・・・」
「あんな物が、どうにか出来るのか・・・」
街の為にと意気込んで来た者たちも、
実際に目にした、ロックマイマイの大きさに圧倒されてる様だ。
ロックマイマイは、地球のカタツムリに形が似てはいるが、
ヌメヌメした体を持つ胴体の、
上に乗っている岩で出来た殻は20メートルほどもあって、
何故、胴体が潰れないのか不思議だ、
殻は、カタツムリの様に片側が尖った螺旋ではなくて、
両面とも垂直になったタイヤの様な形状で、
その形を見るだけで、やな予感がプンプンしてくる。
「よ~し!まずは、魔法や弓、投石器などを使って、
離れた位置から攻撃を加える!」
ギルマスの指示に従って各々(おのおの)が準備を進めた。
「よし!お前ら準備は良いか?
それでは、攻撃始め!」
次々と、魔法や矢、石塊がマイマイ目掛けて飛んで行き、
本体や殻に当たっている、
体を捩っているところを見ると、嫌がってはいるようだが、
あまり、効いている感じはしない。
「よし!前衛も行くぞ!」
「「「おう!」」」
やけくそにも聞こえる叫び声を上げて、盾職や戦士職も攻撃する。
俺も、殻に攻撃してみるが、
やはり、絶縁体の岩なので、雷は通らないようだ。
何故、胴体のほうに攻撃しないのかって?
あんな、ヌメヌメしたの触れる筈が無いだろ!
俺は、ナメクジとかカタツムリが大嫌いなんだから、
その辺は致し方ない。
さすがに、フローラはA級冒険者だけあって、
必殺技みたいな豪快な攻撃で、
マイマイの体を大きく揺らしているが、
ダメージは余り無いようだ。
攻撃に怒ったマイマイが、反撃として粘液を飛ばしてきて、
不幸な何人かの冒険者が直撃を受けた。
「うぎゃ~!体が、俺の体が~!」
「フローラ!あの粘液には酸でも含まれているのか!?」
「いいえ、ただの粘液ですわ。」
「体が気持ち悪い~!」
「いや!意外とイケるぞ~!」
(あっ!あいつ、隣町の例の店に通ってるな。)
フローラが至近距離から、風刃の魔法を叩き込んだら、
さすがに効いたのか殻の中に引っ込んだ。
「ここからが、本番だぞ!」
ギルマスの注意を促す掛け声で、皆が警戒していると、
マイマイは、こちらに向かってタイヤの様に転がり始めた。
高さ20メートルの岩で出来たタイヤが、
自分に向かって転がってくるのは、ものすごい迫力だ。
「危ないぞ~!」
「みんな、避けるんだ!」
みんな、必死で飛び退けるが、
逃げ遅れた何人かが、撥ね飛ばされた。
幸い死者は出なかったようだが、自分で動けない者も居る様だ。
「怪我を負った者は、治癒魔法士に治療してもらえ、
動けない者は担いで行け!」
ロックマイマイは、その重さ故か、急には止まれないようで、
かなり遠くまで転がってから、木々を圧し折って止まった。
Uターンにも手間取っているようだ。
「攻撃と攻撃の、間が長いのは助かるが、
このままでは、やられるのを待つばかりだぜ。」
「本当ですわ、
何とか、あの殻の中に攻撃を届かせなくては、なりませんわ。」
「ライ!」
「うん?
おう、リーナか。」
「ライ、この前、メタルモンキーに使った、気ってのは使えないのか?」
「ああ、あれは実は雷魔法だったんだよ、
メタルモンキーの体は金属だったから雷が通ったんだけど、
マイマイの殻は岩だから効かないんだ。」
「そっか~、そんじゃ、しょうがないか・・・
中に攻撃できれば良かったのにね。」
「そうだな、中に攻撃・・・まてよ!?
そうか!中にか!
マイマイが倒せるかも知れないぜ!
でかしたぞ、リーナ!」
「ほんとか?ライ!」
「おう!ギルマスに説明するから、リーナとフローラも来てくれ!」
「アイヨ!」
「分かりましたわ!」




