また街にて・・・
「王都に居ると聞いとったが、戻っておったのか?」
「ええ、ある重大な使命のために、
国中を旅して、
王都で、ついに神と呼ばれる方に、
お逢いする事が出来たんだけど、
結局、生まれ付いての宿命は、
切っても切り離せないと思い知らされて、
街へと戻った次第よ。」
「おお、何か良く分からんが苦労したんじゃな。」
「父ちゃん、フローラさんて、
昔、この街に居たの?」
「ああ、お前は、まだ小さかったから、
覚えておらんじゃろうが、
花・・・いや、フローラは、この街でA級にまで上り詰めた、
一流の冒険者だぞい。」
(リーナが小さい頃って・・・
フローラって、一体、何歳なんだろ?)
「すごい!アタイ、A級冒険者なんて初めて会ったよ!」
「へ~、A級って言うぐらいだから、
相当な実力者なんだろうな。」
「何を、言っとるか、
お主の力なら、時期にA級まで到達するぞい。」
「そうね、ライは、何かと規格外だからね。」
「あら、あなたが最近、
売出し中って言われているライ君なの?
ギルドに顔を出した時に、小耳に挿みましたわ。」
「大先輩に、名を知られているとは光栄です。」
「私は、実力のある冒険者を高く評価しますのよ、
どうかしら?
一度、私と手合せしてみませんこと。」
「ライよ、強い者との手合せは、とても勉強になるぞい。」
「そうよ、こんなチャンス滅多に無いわよ。」
(戦いたいのは山々(やまやま)なんだが、
強い相手と戦って、つい雷魔法が出ちゃうと困るんだよな~。)
「申し訳ありませんが、
俺には、まだ、フローラさんと戦うほどの、
力はありませんので、お断りさせて下さい。」
「そう、それは残念だわ。」
「そうかの?
わしは、結構、良い勝負になると思うがの。」
「そうよね、ライが力が無いなんて言ったら、
この街の冒険者は、みんな三流になっちゃうわよ。」
「新人とは思えない程の実力って伺ったから、
一度、手を合わせて見たかったのだけれど、
本人が出来ないって仰るなら仕方がありませんですわね、
残念ですわ、
もし、私に勝つことが出来たら、
幻の秘境と呼ばれるエルフの里に、ご招待申し上げたのに。」
「今、何て?」
「エルフの里ですわ。」
「いえ、その前に。」
「ああ、幻の秘境ですか?」
「幻の秘境~!」
実は、俺は地球に居た時に、
大の秘境・秘湯マニアで、
学生時代から、長い休みには秘境や秘湯を目指して旅していたのだ。
俺は、雷魔法がバレる事のリスクと、
秘境・秘湯のロマンとを秤に掛けて、
結局、後者を選択した。
「いや~、力及ばずと思いましたが、
せっかくの先輩の、お申し出なので、
手合せを、お受けさせていただきます。」
「そう!それは嬉しいわ!」
親子からは、冷たい視線が送られていたが、
欲望に忠実に生きる、俺の生き様を後悔してはいない。
フローラとの手合せは、
翌日に、ギルドの練習場にて行われることとなった。
ギルマス (ギルドマスター)に事情を説明して、
一応用心の為に、
当日は練習場を貸切にしてもらって、
観客は、オッサンとリーナとギルマスのみだ。
「どうぞ、掛かって、いらっしゃいませ。」
「行かせてもらうぜ、先輩!」
俺は、風兎の靴に魔法を纏って、
高速で向かって行った。
フローラの何も持っていなかった両手に、
突然、弓と矢が現われた。
(アイテムボックスから、取り出したのか?)
フローラが、俺に向かって、矢を射ってきた。
「俺の魔法障壁は、矢じゃ抜けないぜ。」
「あら、そうかしら?」
突然、右肩に強い衝撃が走った。
「あら、矢が刺さると思ったのに、
随分と、堅い障壁を纏われているのね。」
驚いた事に、
弓から放たれた矢は、今まで破られた事が無かった、
俺の障壁を抜けてきた。
鋼殻トカゲの鎧を着ていなかったら、
肩に刺さっていただろう。
(矢が何かに包まれていた様だが、魔法なのか?)
「さすがに、やるな先輩!
今度は、こちらが、やらせてもらうぜ!」
矢で狙われないように、変則的な動きで近づいて、
電撃パンチを、お見舞いする。
「貰ったぜ!・・・何っ!」
当たったかに見えたパンチが、何故かフローラの横を通り抜けた。
「確かに、当たったと思ったのに・・・
そうか!さっきの矢も、今の壁も風魔法か!」
「良く気付かれたわね、
ええ、私たちエルフは、風の精霊の加護を戴いているので、
常時、攻撃にも、守りにも風の精霊魔法が働いているのよ。」
「種が分かれば、それなりに攻め様はあるぜ!」




