森にて・・・
「う、うぅぅっ。」
徐々(じょじょ)に意識が覚醒してくる。
段々と記憶が戻ってきた。
どうやら、俺は死なずに済んだようだ、
そして、俺は自分の腕をみて叫んだ。
「なんじゃ、こりゃ~!!」
すぐさま、ガバッと起き上がり、
自分の体をペタペタと触ってから、ふたたび叫んだ。
「俺の、筋肉が無い~!!」
昔の体のように、ガリガリではないが、
育て上げたキレキレの筋肉たちが居なくなっていた。
身長も、心持ち低くなっているようで、
昔の名残は、溶けてアチコチに穴の開いたトレーニングウェアと、
ぶかぶかのシューズぐらいだ。
「どうなってんだ、こりゃ?」
周りをキョロキョロと見るが、
ジョギングをしていた川沿いの土手ではなくて、
どこかの森に居るようだ。
深く蔽い茂った、木々の右手の奥から水の流れる音が聞こえ、
俺は、ひどく喉が渇いているのに気付いた。
木々の間を抜けて歩いていくと、小川が流れており、
その先に、美しい泉が佇んでいた。
俺は、泉に顔を近づけて、水を飲もうとして気付いた。
「なんじゃ、こりゃ~!!」
はい、本日2度目の「なんじゃ、こりゃ~!!」を頂きました。
泉に映った、俺の顔は15~6歳くらいの超美男子で、
髪は金髪で、瞳も金色に輝いていたのだ。
「俺は、生まれ変わったのか?」
筋肉たちが居なくなっていたので薄々気付いてはいたのだが、
どうやら、俺は生まれ変わったらしい。
「金髪ってことは、俺はヨーロッパ辺りの人に生まれ変わったのか?
すると、ここはヨーロッパあたりの森なのかな~?」
自分の今、居る場所を考える俺の視線に、
泉の水を飲みに来たらしい動物が入った。
(狼・・・?いや、動物園で見た狼は、
3メートルぐらいなんて、バカでかくなかったよな・・・)
その時、俺の視線を感じたのか、巨狼がヒョイと俺の方を見た。
(ヤバッ!!)
「グラァァァァツ!!」
巨狼は唸り声をあげると、猛然とコチラに向かって、
走り始めた。
機械で作られた筋肉は強度が落ちると聞いた俺は、
一応、古武道なるものを習っていたが、
あんなに大きな獣と戦うことは、
当然、想定していなかった。
「ガァァァァツ!!」
一気に間合いを詰めた巨狼は、俺に飛び掛ってくる、
(殺られるっ!!)
とっさに、体を庇うように、突き出した右手から、
カカッ!!と、音を発しながら、強い光が飛び出した。
「グワッ!!」
光が巨狼を貫くと、巨狼は地に落ちて、
伏せの姿勢のまま、動かなくなってしまった。
「あれ?助かった・・・のか?」
しばらく様子を見ていたが、巨狼が動き出す気配はなく、
そお~っと近づいて、足先でチョンチョンと突いてみたが、
ピクリとも動かず、どうやら呼吸も止まっているようだ。
「今の、手から出たのは何だったんだ?」
自分の手のひらを見つめる、
俺の頭の中に、ポンという音と共に、メッセージが流れた。
『レベルがアップしました。』
「ゲームかよ!!」
思わず突っ込んでしまったが、
目の前の巨狼の死体と合わせ見て、ひとつの考えが浮かんだ。
俺は、キョロキョロと周囲を見回して、
人目が無いことを確認してから、小さく呟いてみた。
「・・・ステータスオープン。」
すると、ポンと音がして、
目の前に半透明の画面が現れた。
名前 ライ
年齢 15歳
職業 なし
レベル 15
HP 150/150
MP 140/150
スキル 身体強化
武術全般適正
状態異常耐性
魔力操作
雷魔導
風魔法
水魔法
気配察知
鑑定
異世界言語理解
アイテムボックス
称号 雷撃の勇者