街にて・・・
みなさん、こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
冒険者のライです。
俺は、今、街の路地裏に隠れています。
何故、そんな場所に隠れているかと言うと・・・
「ライさま~、この辺りに隠れているのは、
精霊たちに聞いてわかってますのよ~、
観念して出てらっしゃって、私と結婚なさ~い!」
あの、変な女から、逃げているからです。
何故、こんな事態に陥っているかと言えば、
事は一週間前に遡ります。
「はい、クエスト完了を確認しました。
これで、ライ君も、いよいよC級冒険者ね!」
冒険者ギルドの受付をするロザリア嬢が言ってくる。
「ああ、そうだな。」
「相変わらず、感動が薄いわね、
おそらく、世界中にある冒険者ギルドの登録者で、
最速ペースで昇格してると思うわよ。」
「へ~、そうなんだ。」
「もう!張り合いが無いわね、
ところで、ライ君は誰かとパーティーは組まないの?」
「ああ、一人が合ってるもんでな。」
「でも、上級になってくると、
パーティーでのクエストが増えてくるから、
組んで置いたほうが仕事の選択肢が増えるわよ。」
「そうなのか?
まあ、考えておくよ。」
俺はギルドを後にして、オッサンの店へと向かった。
「オッサン、居るか?」
「あら、ライ、いらっしゃい。」
「おお、ライか、今日はなんじゃ?」
「よお、リーナ、元気でやってるか?
オッサン、最近、グローブに魔法の通りが悪いんで、
見て貰えるか?」
「どれどれ、見せてみい。
ああ、これはミスリル成分が弱くなっとるんじゃ、
ミスリル粉をスリ込んで調整すれば、ちゃんと元に戻るぞい、
30分ほどで出来るが、どうするかの。」
「ああ、店でリーナと話しながら待ってるよ。」
「そうか、では、
さっそく作業に取り掛かると、するかの。」
オッサンは奥の作業場へと消えた。
「リーナ、この前、作った盾やウォーハンマーは使ってみたのか?」
「もちろん!
武器は飾っておくもんじゃ無いからね、
草原に行って、グレイウルフを狩ってきたわ。」
「おお、冒険者でも食べていけそうだな。」
「ええ、アタイは身体強化が得意だから、
E級ぐらいの実力があるってギルドの人にも言われたわ。」
「へ~、そりゃ凄いな。」
こんな風に、リーナと、当たり障りのない会話を楽しんでいたところに、
問題の彼女が現われた。
「ごめん下さいませ。」
「いらっしゃい!」
「私、フローラと申しますが、
ご店主は、いらっしゃいますか?」
(おお!あの、とんがった耳はっ!?
こちらに来てから初めてみるエルフだぜ!!
でも、何故かボディコン風な衣装に身を包んで、
胸もそれなりに大きいな、
ここの世界のエルフは、こうなのか?)
「父ちゃんは、武具の整備中ですが、
もう少ししたら戻ってきます。」
「あら、ご店主の、お嬢さん?」
「ええ、お嬢って柄じゃないけど、そうです。」
「あら、十分可愛らしいと思うけど・・・」
女は何故か、リーナの体をジロジロ見てから、
リーナの手を取ってブンブンと握手をしながら、
「あなたとは、仲よくやって行けそうだわ、
ご店主の事は、弓でも見ながら待たせていただくわ。」
と言ってから弓が展示してある方に行った。
(何だ?今の、やり取りは・・・)
俺は、エルフが奥の弓を見に行ったのを見計らって、
小声で、リーナに聞いてみた。
『なあ、リーナ、俺が聞いたエルフの特徴って、
胸が小さいって聞いてたんだけど、
彼女みたいのも居るのか?』
リーナは、エルフの方を見て、
『ああ、確かにエルフはスリムな人が多いけど、
偶に彼女ぐらいの人も居るわよ。』と言った。
『へ~、やっぱ偶にって事は少数派なんだな。』
『まあ、そうね。』
その時、グローブの整備を終えたオッサンが戻ってきた。
「ライ、待たせたのぉ、グローブは元通りに戻ったぞい。」
「おお、サンキュー!オッサン。」
俺が、オッサンに礼を言ってると、
後ろから声が掛かった。
「お久し振りね、ピッカリー。」
「もしかして、花子か?」
「いいえ、フローラよ!」
「だって、花「フローラです!!」
・・・そうか、フローラだな分かったぞい。」
どうやら、フローラの本名は花子らしい。




