宿にて・・・
夕の鐘が鳴ったので、宿の食堂に行くことにした。
ちなみに、夕の鐘は18時頃、夜の鐘は22時頃、
朝の鐘は5時頃に鳴るそうだ、
娯楽が少ない、この世界では早寝早起きが基本のようだが、
明かりが貴重なのかと思ったら、部屋の照明は魔道具だった。
てっきり、ロウソクや獣脂ランプかと思っていたので、
意表を突かれた感がある、
何でも、フラッシュベアという熊タイプの魔獣が居て、
夜行性なのだが、自分の目から光を出しながら獲物を探すそうだ、
目の裏側に、光の石という素材が入っていて、
それを加工してランプにするらしい、
光の石の他にも毛皮や骨なども利用できて、
肉も、とても美味しいとのことなので、
俺も、そのうち、ぜひ狩りに行きたい魔獣だ。
食堂に入ると、宿代が割と高いせいか、
客は商人風の人や、貴族っぽい服装の人が多くて、
冒険者らしいのは少数だった。
看板娘のメアリーが来たので、
シェフのお奨めディナーを注文した。
シェフは、メアリーの父親であるテツジーンさんが務めていて、
宿屋の主人でもあるそうだ、
この国の王城がある、王都のレストランで修業を積んでいたそうなので、
とても楽しみだ。
料理が運ばれてきたので、
さっそく食べてみるとする、
驚いたことに、生野菜のサラダらしき物もあった、
ゴブリン村でも、ドイカナ村でも野菜は煮込まれていたので、
生で食べる文化が無いのかと思っていた。
しかも味付けは塩だけではなく、
酸味の効いたドレッシングらしきものが絡めてある。
パンは少し固めだけど、
スープに浸して食べれば気にならない程度だ、
そして、何の肉かは分からないが、
ステーキの焼き加減は絶妙で、
油が乗っている割には、しつこくなくて、
口に入れたら、いつの間にか無くなっていると感じるほど、
やわらかかった。
「この料理を作ったシェフを呼べ!
褒めてつかわす!!」と叫びたいほどの美味しさだった。
しかし、サラダがあったのは朗報といえる、
地球時代はプロテインと鶏肉が主食だった反動か、
こちらに来てから、肉ばかり食ってたので、
この体に栄養バランスが必要かは定かじゃないが、
バランスが取れた物を食べていたほうが、
精神的に健康な気がするからな。
大満足の食事を終えた俺は、
部屋に戻って、明日の行動をどうするか考える事にする、
ポイントを稼いで早くランクを上げたいが、
今日の雷魔法のように、この世界の一般常識を身に付けないと、
今後、問題が起きそうな気がする。
(まずは、その辺の問題を解決するのが先決だな・・・)
今日は、色々な事があって精神的に疲れたので、
考えるのは、この辺にして早めに眠ることにした。
翌朝、朝の鐘の音で目覚めて、
パン、スープ、サラダ、ハムらしき物を焼いたもの、
やたらにデカい目玉焼きといった、
卵の大きさを除けば、
地球でも、よく見られる感じの朝食を済ましてから、
冒険者ギルドに行くことにした。




