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ちはるちゃんとわたし

千春の飼い猫(現在は実家預かり)マメキチ視点

 ちはるちゃんと出会ったのは、まだほんの小さい頃だ。

 たくさんの子といっしょにいたのに、ある日ちはるちゃんがわたしをみて「この子がいいです」って言ったの。

 出会ったのがちはるちゃんでよかったわ。だって、ちはるちゃんの家族の側はとても居心地がいいの。あ、でもおとうさんにはちょっといいたいことがある。わたしの名前が「マメキチ」になったのはおとうさんのせい。

 ちはるちゃんやおかあさんは女の子だから「さくら」とか「かのん」にしようって言ってたのに、おとうさんが「いや、この子は“マメキチ”だ。なんかぴんときた」ってわけわかんないこと言って、マメキチにしちゃったの。



 そんなわたしは、年齢は秘密だけどシッポと耳が茶色で残りの部分は白いのよ。

 名前は男の子みたいだけど、正真正銘の女の子なんだから。

 今わたしは、ちはるちゃんのおとうさんとおかあさんがいる家に住んでいるの。

 どうしてかって?だって、ちはるちゃんの新しいおうちは周囲がうるさいんだもの。ちはるちゃんの部屋の昼間の静けさが気に入っていたのに、今度は昼間がうるさいの。もうそれだけでストレスだわ。

 その点、おとうさんとおかあさんがすんでるおうちはいいわ~。昼間はよく日のあたる窓際でぼーっとできるし、夜もおとうさんのひざのうえでのんびり。おかあさんはわたしにちゃんとお気に入りのごはんをちゃんとくれるの。だから好き。

 でも、おとうさんは、ときどきごはんを間違えるの。それだけが困った点よ。


「マメちゃんひさしぶり~~。ああ、やっぱりこのほわほわとぷにぷに肉球がたまらないわ~~」

 そう言ってわたしにすりすりしてくるのは、ちはるちゃんのおともだち「ももみちゃん」。

 とってもきれいな人で、いいにおいがするのよ。おみやげにちゃんとすきなごはんを買ってきてくれる。だから、このひとにすりすりされるのも好き。

 ももみちゃんはひとしきりわたしにすりすりすると、こんどは「仏壇」がある部屋に行ったの。そこにはちはるちゃんのおじいちゃんやおばあちゃんがいるんだって。

 おじいちゃんは知らないけど、おばあちゃんなら知ってる。「はるこさん」って言って、ちはるちゃんがわたしを連れてはるこさんのおうちに行くと「おや、マメ。元気だったかい?」とやさしくなでてくれた。

 だけど、「はるこさん」はいなくなって、代わりに「仏壇」に写真が飾られたの。毎朝おとうさんとおかあさんがけむいのをあげて、ちはるちゃんも顔をみせるたびにけむいのをあげる。

 そして、今はももみちゃんがけむいのをあげている。


 おなかがすいたので、ちはるちゃんにごはんをねだると頭をなでてくれて、いつものお皿に私のすきなごはんと水をいれてくれる。

 わーい。やっぱりこれが一番すき。いただきまーす。ぱくぱく食べていると、なぜかおかあさん、ちはるちゃん、ももみちゃんがこっちを見ている。

「ほんとにマメキチは“肉球印のねこごはんシリーズ”が好きよね。見てよ、あの食べっぷり」

「マメちゃん、うれしそうに食べるわね~。よっぽどのお気に入り?」

「そうなのよ~。前にお父さんがうっかり“星印キャットフード”を買ってきたら、ちょっと食べてぷいっとしちゃったんだから。

 千春、あんたちょっとワガママに育てすぎよ。いくら可愛いからって」

「う・・・それはちょっと反省してる。でもさマメキチにいろいろ猫缶をあたえて一番食いつきがよかったのが“肉球印”だったんだもん」

「そういえば、マメちゃんは聡之介の紹介でボランティアから譲り受けたんだっけ」

「そうそう。ペット可のマンションに引っ越したから猫がほしいなあって言ったら、聡之介さんが紹介してくれて」

「そうそう千春。川端さんといえば、桜子さんが教えてくれたんだけど商店街であんたの彼氏認定されてるんだって?母さん知らなかったわよ。お父さんにそれ言ったらショック受けてたわよ~」

「はあああ?なにそれ?!」

「ちょっと私知らないんだけど。親友には教えてくれてもいいんじゃないの?」

「桃実、お母さん。それは全くのデマだから!もう収まったと思っていたのに~。どうしてそんな話になってるの~」

ちはるちゃんが頭を抱え、おかあさんとももみちゃんが楽しそう。


 でも、ちはるちゃんが「けっこん」するひとはわたしが気に入った人じゃないとひっかいちゃうんだから。

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