自宅訪問
「すみません、家の場所を聞きたいのですがよろしいですか?」
「はい、今調べますのでお待ちを」
事務員のいる窓口で家の場所を聞く。
探してるあいだにも事務員さんの口は止まらない。
内容を聞くと学区と住宅地区の間には学生居住区があって。
これは正確にはそこは住宅地区なのだが、学区に入りやすいようになっているし。
住宅地区にも出ることが出来る。
学生証を見せると住宅地区に住んで学生居住区を通って学園に入ることも出来る。
「へ~、そうなってるんですねぇ。」
興味はあまりなかったが相槌を打つと、話は止まらず。
家族と一緒にこの学術国家に住んでる者はそうするものが多いらしく。
一人で学術国家に来たものが学生居住区に寮に住むか学生居住区にある貴族用の家に住むかだそうだ。
貴族用の家は屋敷サイズや一軒家程度の大きさまである家臣の多さや荷物で決めるようだ。
「俺の家は大きいんですねぇ。」
俺はその貴族用の家でサイズは屋敷サイズだ。
それもよく使うのは公爵の息子とからしい。
王族用の屋敷は3棟あるのだが常にどの国が使うか決まっている。
「公爵家用のサイズなんですか、王族は3棟なんですか、4国ありますよね。」
「そうなんだけどね。」
何故4国あるのに3棟か聞くとチェロード国には王族はなく。
4公爵、上級8貴族という12名で国を回しており。
4公爵は一世代で最大20年と決まっており。
不祥事等を起こさない限り20年やるそうだ。
20年経つと上級8貴族に公爵の座を渡し公爵は上級8貴族になるらしい。
「公爵は交代するんですね、面白い。」
「もっと面白いのがね。」
その時に学園が用意した試験を8貴族の中から立候補を立てて、トップの者が公爵になれる。
この時公爵を一度でもやっているものは、立候補出来ないので大体の8貴族が次世代に交代するらしい。
こうやって4公爵と上級8貴族の質向上をして成り立っているようだ。
「確かに面白いですね。チェロード国に興味が湧きました。
優秀なものが1人で支配するのではなく、4公爵それぞれが、交代する時に一番優秀な者を決めて選ばれるんですね。
それはそれだけ優秀な4名が公爵として国を支えていると、しかもその公爵家や上級8貴族の子供は皆この学園の卒業生ですよね。」
「よくわかったね、皆この学園の卒業生だよ。今の4公爵はその中でも主席か次席を入学から卒業までずっと取っていたよ」
「つまり今年は公爵家もしくは上級8貴族が居ないってことですかね3位までは平民2人と1人は王族ですし。」
「それがねえ今年は公爵家は3人来てるんだよ、長男は居ないけどね、次男二人と4男が来てるんだ。」
俺はそれを聞いて声を下げて。
「公爵が上級貴族に戻っても今年来た人が優秀でないのなら、長男が家を次ぐでしょうから問題ないですよ。」
声は出さずに頷いている、流石に貴族批判、公爵批判は気が引けるようだ。
「ではいろいろ面白い話をありがとうございました。場所は分かりましたので、これから向かいます。」
「ああ、これから学園で頑張りなよ。」
「お気遣いありがとうございます。」
俺は家に向かい歩き出した。
聞かされた家に近づくと、家の前に誰かが居た。
「なにか御用ですか?」
後ろから声を掛けると、目の前の女は飛び上がった。
「いきなり声掛けるなんて、なんて無礼なのかしら。」
そうなの?知らなかったよ。
「引越し先に人が立ってたら気になるだろ、声掛けないで中に入れば良かったのか?」
そう言って俺は門を開けて中に入る。
「あなたは、あなたはネルで・・ちょっちょっとー」
俺はその言葉を無視しながらを門を閉じる。
ドンドン叩かれて、「開けなさい」と聞こえるが無視する。
今日中に今日の買い物の金額の申請出すのはやめよう、明日にしよう。
「ただいま、ルナ、家はどうだい?」
屋敷の扉の前にはルナが居たが、俺を待ってたのか外がうるさいから居るのかどっちだろう。
「お帰りなさいませ、外が騒がしいようですが大丈夫でしたか?」
「大丈夫だよ、今日は外に出ないほうがいいかもしれないから、金額の請求は明日俺が学園でしてくるから金額まとめといて。」
俺がそう言うとルナが家の扉を開けてくれる。
「はい畏まりました、家ですがここが玄関になっておりまして、ネル様が言われた通り靴の上に履く中履きを用意致しました。
靴が汚れた時用の履き替え用の靴もこちらに用意してあります。」
俺は前世では家の中では素足やスリッパという生活が普通だったので、下駄箱を玄関に用意させた。
「ルナもシアもこれから雇う人もこれなら掃除が楽だろう?
それに何年か住んだら返す家だ俺たちは綺麗に使って無駄な改装費も極力減らしたいからな。」
ルナに言ったのだが。
「素晴らしい、流石ネル様です。このアルフレッド、ネル様に一生ついていきます。」
アルが目の前にいてなんか言っている、ストーカー宣言か。
「アルただいま、今ルナに玄関の説明をしてもらってたんだ俺の部屋とか案内してもらうから、新しく雇ったメイドや執事、庭師とか居たら集めといて。」
「かしこまりました。」
アルはそう言うと、奥に歩いて行った。
「ルナ俺の部屋は?」
「ネル様の部屋は2階でございます。
本来もっと上に住むと思うのですが執事長が「ネル様は2階です」と言うので」
アルはわかっているな。
俺の生活スペースを全て二階にしてくれたようだ。
ルナとシアも2階で他のメイドは3階でアルを含めた執事は皆1階に住むらしい。
ただ問題は客間も3階らしいのでメイドと同じ階というのを嫌うかもしれない。
家を見渡すと欲しいものが色々と足りなかったので後で請求しようと思う。
住居の提供も学園の仕事だからな、色々足りない。
俺の部屋の壁4辺全部に本棚を配置させて学園で学ぶすべての本を並べる全部の学科のだ。
この学園には教科書がなかった。
つまり教師は口頭で伝えるか黒板みたいなものに書いて伝えるのだろう。
学園に必要なものとして置いてあったのがサバイバルグッズのような感じだったナイフやら魔道具とか。
本は貴重なのだろうが、俺は学園に言って揃えさせなくては。
特に魔法学科での一年は無駄な一年だから色々勉強しないとならないだろうし。
俺が自分の部屋と今後を考えているとルナが俺に近寄ってきて、ついには息がかかる位まで近かった。
「何してるんだ」
俺が聞くと
「何やら動かなくなったので心配になりました。」
明白な嘘だったが敢えて触れないことにした。
「そうか悪かったなこの部屋を書斎にしようと考えていた。学園に色々請求しないとならないものが多くて困るな。」
「まだ始まったばかりですからね、必要なものも色々出てきてしまうのはしょうがありませんよ。」
「そうだなまだ入学式が終わったばかりだったな、まだ学園生活も始まってなかったな。」
「ネル様なら一杯ご学友ができますよ。」
そいつは無理だろ、盲目の8歳児に近寄る12歳児が想像出来ないぞ。
「とにかく家を住みやすくしていかないとな。」
そう言いながら俺は仰々しいマントを脱ぐことにした。
「着替えられるのですね、お手伝いします。」
ルナがそう言って俺が服を脱ぐのを手伝ってくれた。
俺は普段手伝ってもらうことはないがこの服は着づらく脱ぎづらいので手伝ってもらった。
「やはり、普段の服が一番だな、学園に通う制服は用意してあるのか?」
「学園は正装はこれから上の学科ではございますが、日常の服については今の学科でも上の学科でも汚い格好でなければ自由ですよ。」
知らなかった、そうなのか制服はないのか。
「じゃあ明日の服は適当に用意しておいてくれ。机の上に置いてくれれば明日着るから。」
「畏まりました。」
そんなこんなで二階にはリビング、書斎、寝室があり俺はリビングで晩飯を食べて、リビングの窓の近くに下駄箱を用意して。
その後に寝室で、明日からの学園ライフを考えながら意識を手放した。
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