面接そして魔力測定
筆記試験、実技試験から3日経ち。
300番台の面接の日が来た。
どのくらいで順番が来るのかわからないので。
とりあえず早めに言っておくことにした。
「アル、場所はわかってるしついてこなくても大丈夫だぞ。」
まあそれでも付いてくるのが執事ってもんだろうから、本気で追い返す気は無いが
「付いてくるとわかってて言うネル様も中々乙なものですな。」
「アル、社交辞令であって、お前の妄想のものとは違うと思うが。」
「ネル様このやり取りを社交辞令とは申しませんし、私とネル様の会話に社交辞令はございません。」
こういう所は真面目か!よくわからない執事め。
そんなやり取りをして学園に到着した。
「まあいい、とにかく面接に行ってくる。」
「ご武運を。」
「それは実技試験の時に言って欲しかったな。面接でご武運って言われてもな。」
「同じことです。面接もネル様の戦場でございます。であれば武運を祈るのみです。」
合ってるような合ってないようなことを言うじじいめ。
「行ってくる。」
なにか言えば言い返されるのでもういいや。
面接は300から始まり。
呼ばれた番号で居なかったらドンドン飛ばされていった。
俺は一時間待ってたら呼ばれた。
時間が早いのもあって居ない奴がいたため。
318番から324番まで飛んだみたいだ。
「失礼します。受験番号324番メルと申します。よろしくお願いします。」
あ、噛んだ。
まあいいかネルでもメルでもどうせ偽名だし。
「あぁ座り給え、試験結果を見させてもらったよ。
君は随分優秀なようだね。魔法の知識も十分ある、しかし君は何故準騎士科を選んだのかね。
君ほどの知識が会って準騎士科を選ぶとは思えないのだがどうしてかね。」
因みに面接をしてるのは学院長ではなかった。
誰だろうこのおじいさんは学院長は一番端に居た。
「そのことにつきましては、私の素性を話すことになりますが、大丈夫ですか?」
俺は学院長を見ながら言った。
「ほぉう、俺が学院長と知って居たのか?」
他の面接官も驚いた顔をして居た。
まあ実技試験の時に試験官が話してた相手だからな、そりゃあわかるよ。
「はい、存じておりました。質問の答えのために質問させていただいたのですが、まずその返答を頂かないとお答えできません。」
「そうか、素性を話すと問題があるということか、そうだな準騎士科がどういうとこかわかって書いたのかという質問に変更しよう。それなら問題無いだろう。」
「そうですね。すべてを話さず、済むので問題ないでしょう。準騎士科は貴族のそれもそれなりの地位がある者がなる所であると理解しています。そして私の身分はその規定に準じるものとご理解ください。」
これで納得しないならそれで構わないが
「そうか、貴族であると名言されるのであれば、なにか証はありますかな。」
「証ですか、私の身こそ証だと思ったのですが、それを理解されない学園であれば私がこの学園に入る価値はなさそうですね。」
何人かが立ち上がり抗議の声を上げていたが、やはり理解していないようだった。
「君は学園を侮辱するのかね」「なんだねその態度は」「馬鹿にするのもいい加減にしたまえ」
とかそんなことを言ってくる。
「学院長、これでも私がこの学園に入る価値がありますかね?」
「そうだな、無いとは言いたくないが、学園の質は落ちたかも知れんな。」
「学院長、私たちを侮辱するのか」「だから若すぎる君を学院長にするなど反対したのだ」「学院長」
何人かが学院長に抗議して居る。
まだ理解してないのかこいつらは・・・
「うるさい、いい加減にしろ。盲目の子供を学園に入れようとする平民が何処にいる。それほど上級でもない貴族が金の掛かることをする。
それを理解出来んものは今すぐこの部屋を出ろ、目障りだ。」
あ~あ、学院長がお怒りになられたぞ、俺の身が証だと言ったのに学院長の言った通りだ。
盲目の子供がしかも筆記も問題なく、見えないのに椅子の場所も分かってたり、見えてるのと変わらない動きしたからって、なんで布を目に当ててる人間の目が見えてると思うかね。
「それは・・・」「見た目では」「確かに」
馬鹿がいた、見た目でわからないとかアホだろ。
流石に呆れと通り越して哀れに見えてきたぞ。
「まあ学院長が理解されてるのであれば問題はないですよ。きっと学院長や賢者の方々は素晴らしい方が多いのでしょう。目の前の方達とは違って」
俺が嫌味を言うと一人は睨んできたが何も言えないのかただ睨んでいる。
一人は臍を噛む想いと言う言葉を体現したかのように頭が下がって後悔しているようだ。
最後の一人はアホだからか自分じゃないと思ってるようだ。
「それで準騎士科、希望の話は問題ないでしょうか?」
「問題は無いな、それと今この状態で敵対する人間の眼球を蒸発させるなんてことはしないでくれよ。」
俺は即座に
「なんのことかわかりかねます。」
学院長は俺が何者かわかったようだな。
それとアホが俺の事を知ってたようだ。
ほかの二人は気づいてないのにアホは、口の動きだけで、王子とか殿下とか三男とかなんか声を出さずに言ってそうだが、俺はあいにく唇は読めないそもそも動いてるくらいしかわからないんだから、わかるのは三文字ってだけだ。
「準騎士科の希望と実践魔術科の希望はどちらが上か確認してもいいかな。」
「そうですね、身分を明かしていない以上は実践魔術科でしょうね。
因みに魔法学科に関しては勉強になるかどうかも怪しいので、その上の実践魔術科を希望しました。」
「そうか、とはいえ、魔法学科を卒業しないと、実践魔術科に行かせることは出来ないのだ。」
「私に無駄金を払えと?」
学ぶ価値を見いだせないのに金だけは払えって事か悪辣だな。
「いや、受験料から卒業までの学費をすべてをこちらで払わせてもらいたい。
研究等をするのであれば研究成果の手当なども出るぞ。
魔力測定をしなくても、持久力試験のあの特殊な場所で二時間走り続けられるのだから魔力の量もわかっているので問題無い。」
「わかりました。そちらがその条件で魔法学科も受けろと言うのであれば私からも条件を頂きたい。
今までこの学術国家の賢者が研究した結果生まれた魔法を、全て貰い受けたいもちろんもらった魔法を売買することはしません。
私の魂に刻むだけなので研究資料とかも要りません。
欲しいのは魔法です。その条件を受けていただけるなら、入学しましょう。」
他の奴らはもう口を挟まなくなったな。
俺としては助かるけど、俺ってどの立場で発言してるんだろう。
この学園に残って欲しかったらもっと俺に差し出せって言ってるようなもんだな。
「その申し出は受けられない、魔法を渡した後に学園を辞められても困るのでな。
魔道科を卒業した時に渡すというのではどうかな?」
学院長は現実を見ているようだ、俺ももらったらその魔法でなんでも出来るような気さえしてたから辞めてもおかしくないかもな。
「その条件で構いません」
そう言うと契約魔法を始めた。
羊皮紙に文字が浮かび上がり、俺の血を垂らした。
そして学院長の前に羊皮紙を飛ばした。
「これは契約魔法です。今言った条件を書いておきました。これに学院長の血を垂らせば契約完了です。」
契約書にはこう書かれている
血の契約
甲は乙に学園での必要経費(受験料、入学金、学費、イベント積立金、教本代金、筆記具、生活用品、住居)の全てを負担し、甲は乙の卒業に際し、学術国家にあるすべての魔法を各1つずつ供与する事、甲は乙の契約を反故にした場合、甲の意思とは関係なく契約は完遂される
乙:ネフェル・アルロイス 甲:
学院長が契約書を見て少し驚いている。
俺の名前にか契約内容にかそれはわからないが、契約書の書き方が変だったら勘弁してほしい俺は契約書初めて書いたんだから、でも内容的には問題ないはず。
学院長も覚悟を決めたのか、血を垂らして契約が成立した。
魔法って不思議だよな魂に刻まれてるから何となく理解はしてるけど、あれでああいうことが出来ちゃうんだからな。
理詰めで考えたくても、そうなるからそうなるって感じに。
重力を知らない人間に
この実は何故木から落ちるんだと聞いても、
落ちるんだから落ちるんだよ、
気にしてもしょうがないって言ってるのと同じ感じになる。
結局誰かが理解してそれを伝える術が無ければ何となく世界はそうなってるんだ、で終わってしまう。
なんか強引に面接を終わらせて契約もしたし。
入学は確定金は一切払わなくて良くなったわけだあとは魔力測定だな。
学園が金を払うんだ払っても得だと思わせる位の魔力を見せてやるか。
「すみません、魔力測定に来ました。」
「はい、じゃあこの玉に触れてみて。」
俺のマスクを見ても特に気にする様子もなく玉に触れろって言うし目を隠しても盲目だと思わないのか?
「これはどのくらいの魔力まで測定出来ますか?」
魔力を増やしてから望むか素でまず測るか悩んでいたので聞いてみた。
「そうね誰がやっても測れるわよ。」
徐々に上げてけばいいか限界を見るのも面白いかもな。
「わかりました。」
玉に手を置き、結果は魔力増やさずに玉は壊れました。
「なんで~、どうして~」
と計測する人は困っていた。
「測定不能って書いて置いてください、他の玉を壊したくないので。」
俺は他の玉を持ってこようとしてたので断って事務員のところに言って入学の日を聞いておいた、
「合格発表は」
と合格発表の日を言おうとしてたので
「大丈夫です、学費も学園持ちになりましたから、見る必要がありません。」
そう答えると事務員はビックリしていた。
「入学式は9月1日になります。」
「わかりました、ありがとうございます。これからお世話になります。」
俺は全て終わらせて後は入学まで待つばかりだった。
ちなみに今日は2月15日だ。
この試験はまず移動に時間が掛かるので一度試験を受けて合格発表を聞いてから家に帰り支度をしてまた来ることになる人によってはこの作業が半年くらい掛かるものも居る。
本当はこのまま残ってすぐ入学式と行きたいがそれが出来ないものも居る。
まあ貴族や王族は私兵や近衛兵などを持っているので往復でもそれほど危険はないが商人の子供などは魔物に襲われて家に帰ったっきり戻ってこなかったりすることもあるらしいしそんな危険な世界だ。
移動にも準備を確りとしなければならないのでこれだけの日にちが空いて入学となる。
入学前に用意してもらう住居に住んだら契約違反かもなぁ。
失敗したな~後半年も待たないと住めないんだろうな~あ~失敗したな~
契約書には血を垂らして初めて名前が載るといった感じで
契約書を読んでた時には学院長がまだ血を垂らしてないので名前が書いてありません
読んで頂きありがとうございます