実家への手紙
聖王国アルロイス聖都アルロ王城アルロイス玉座の間の隣の執務室にて
ドアを叩く音がして返事をすると「失礼します」と宰相が入ってきた。
「陛下、ネフェル様より手紙です。」
元執事長からではなく、ネフェルからだと。
「読み上げよ。」
「はい。
父上、私は魔法学科を卒業して。
実践魔術科を飛び級し、今魔道科の2年生をそして賢者従士科も2年生をしています。
来年には学園も卒業となります。
ですが、父上の望みの戦争に向けての戦力増強は叶いませんでした。
ですので来年ネフェルとして準騎士科に入るか戦場に行って現地の兵士に指示を出して戦場で頑張るしかないと思います。
その裁量は父上にお任せいたします。
と手紙には書かれております」
飛び級してたのか、ネフェルは優秀なのだな。
ネフェルとして準騎士科か、それよりも、この際戦場に行かせたほうがいいかもしれんな。
「ジネル、どうせ目の見えぬ者など準騎士科ではやっていけぬ。
このままフルネイス王国への援軍として戦場に贈ろうと思う。
学園卒業後、そのままフルネイス王国に向かい巨人共を蹴散らして来い。
と返事を書いておけ。」
「かしこまりました。」
返事をして、ジネルは部屋を後にした。
我が子はなんと厄介なものか今いくつなのか知らんがもう卒業なのか。
金が二年分、掛からなくて済むから良しとするか。
その後はなにもなく通常業務に戻った。
話は学術国家に居るネルに戻り
結局、バルフイムの下。
賢者従士科にも入り学園生活ももう終わりを迎え様としていた。
半年前に届いた手紙には卒業後は戦場に赴くようにと書いてあったので、俺は学園卒業後は巨人と戦争することになるようだ。
そんなこんなで今、学院長室に居る。
「実家から戦場に参加せよと言う名を受けまして学園卒業後すぐに立つことになりそうなので、卒業までに学術国家にあるすべての魔法の用意を済ませておいてください。」
そう学院長との約束で卒業後に魔法をもらう契約をしている。
「わかった用意しよう。
こちらとしても戦争は気がかりだったのでな。
早期集結の助けになるのであれば協力せねばなるまい。」
なんか自分に言い聞かせているようだな。
契約で渡すしかない状況なのはわかっているはずなのに。
「この戦争でフルネイス王国は兵士と冒険者や義勇兵を15万近くの失っておりますからね。
最近は盛り返してきているとも聞きますが失った者は帰ってきませんし。
これ以上は厳しいでしょう。
すべての魔法なので発表されていない広範囲魔法などもあるのでしょうから、俺としては戦争に役立てたいと思います。」
俺の言葉に明らかに嫌な顔をする学院長。
しかも前者ではなく後者で明らかに苦い顔になった。
俺の予想通り公表されてない魂に刻む魔法はあるようだ。
「では、卒業式の後に来るといい、後10日の学院生活を楽しめ。」
「はい、よろしくお願いします。失礼しました。」
あっという間に10日経ち、卒業式を迎え卒業式の後、魔法を受け取りに学院長室に来た。
「失礼します。約束の者を受け取りに参りました。」
俺は目の前に居る学院長から目を離さないように部屋の中に入っていった。
「来たか、そこのテーブルに置いてあるのが、すべての魔法だ。
売られたりしたら困るからな、この場で魂に刻んでくれ。」
「わかりました。」
俺はこうして色々な魔法を魂に刻み込んだ。
軽く100はあった気がするな。
用意してあったのは150以上はあったけど、魔法がかぶってたので何十個もそのまま置いてある。
俺はそのまま11歳で卒業した。
なんでこんなに淡々と展開しているのかというと、俺は二度目の死を迎えていた。
俺の年表をまとめてみよう。
聖王歴1405年に、生まれて半年位のネフェルの体を乗っ取る。
聖王歴1413年に、学術国家にある学園に入学。
聖王歴1414年に、魔法学科卒業、実践魔術科進学そして卒業。
魔道科入学、賢者従士科入学。
聖王歴1416年に、魔道科卒業、賢者従士科卒業、学園卒業。
そしてフルネイス王国にある戦場へ。
聖王歴1420年に、戦争終結。盲目の英雄アークロード誕生。
最後の1420年だけは、俺の年表ではなく、俺の代わりに英雄になった者の話だ。
歴史には残らないが俺は1420年に人生の幕を閉じた。
戦争行ってからの話だが、俺は魔法を鍛えまくって居たし、沢山の魔法を持っていた。
そして巨人のほとんどが肉弾戦故に魔法がよく効く相手で、俺は魔法を使いまくっていた。
時には遠距離で、時には奇襲を仕掛けて、体よりも魔法をどう効率的に使うかを戦場では考えていた。
そして4年間かけて戦って、漸く巨人王との戦いを迎えた。
さすがに巨人王は魔法で一撃で仕留めることが出来ず。
魔法を何発か撃っている間に近づかれてしまい、何度も攻撃を受けた。
俺は魔法で防いだり受け流したりもしたが、全ての攻撃を防ぐことが出来ないので、どんどんボロボロになっていった。
最後まで諦めずに戦った結果、巨人王を討ち取り。
なんとか生き延びた感じだった、その場で動くことも出来ずに放心状態だった。
そこへ同じ陣営の方角から向けられた殺意に吃驚して振り向くと、其処には仮面を着けて立っている男が居た。
と思う、魔法を使ってなかったし見えてなかったはずだから死んだあとに見た記憶が混乱して思い出すとそういう表現になってしまう
それがアークロード(俺がこの体に入ってすぐに起こした眼球蒸発事件で眼球を蒸発された聖王国アルロイスの長男)だった。
まあ死んだ後に名前を知ったんだけどさ。
アークロードの殺意に吃驚して振り向いた俺は、その直後に4方向から長槍の突きをくらってあっけなく絶命した。
索敵の魔法を展開していたり、俺が生まれつき目が見えなければ問題なかったかもしれないが目が見えていた前の体の時からの条件反射で見えないのに見てしまった。
まあもちろん死んだ後に知ったが、実行犯は俺が目を蒸発させた者達の親族だった。
体を鍛えていたらこんなことにはならなかったんじゃないのか。
今も生きていたんじゃないのか俺は死んでいく体で考えていた。
俺が最後に巨人王を倒したところで戦争が終わったと安心してしまった。
まさか俺が戦争直後に味方と思ってる相手に殺されるなんて思いもしなかった。
というか巨人王と戦う前には兄も居なかったし味方陣営には索敵に引っかかる者は居なかったはずだ。
戦闘後には索敵することは出来たはずだから、油断といえば油断だった。
一度死んだことのある経験から俺は死んだ時こそ冷静になっていた。
暫くすると、前と同じで魂だけでの生活?が始まった。
まあ自業自得とも言うのかもしれないが毒を盛られた仕返しした形だったんだが更なる怨みにより死んだんだろう。
俺がさまよっていると兄アークロードは英雄として凱旋し、父である聖王国アルロイスの国王に謁見して玉座の間で
「私が戦場に到着した時にはすでに瀕死の状態で、弟に加勢に向かってる間に、弟は絶命し。
我々は弟の敵を取るために奮戦し巨人王を討つことが出来ました。
弟ネフェルのおかげで今の我々が居ります。
英雄と云われるべきは我が弟ネフィルだと私は思っております。」
と発言していた。
誰もが知っていることだが、俺は明らかに人間の武器によって殺されていた。
巨人と戦って刺し傷で死ぬことは無いからだ。
それでも俺の死体を見てないものには兄の台詞で感動したことだろう。
現に俺の近くに居るおっさんは
「なんと謙虚な、さすがは英雄アークロード王子だ。」
とか言っている。
俺もその場に居た魂だけになってたけど、元々乗っ取った体だから殺されたところで恨みは俺にはない。
流石にのうのうと英雄として過ごされるのも腹が経つ。
俺は魂だけの存在で体が無いので魔力が回復することがないんだが。
外気というか空中に漂う魔力というか魔素というか、それを取り込む事が出来るので魔法を使っても、減った魔力を外気から吸収し回復出来る。
前にこの技を使おうとしたんだが必要がなくて使ってこなかった。
まさか死んでからまた使うことになるとは思ってもなかったな。
そして俺が何をしたかと言うと、
アークロードが死ぬまで魔法を使って財を奪い続けた。
そしてアークロードと親しくする者へも続いた。
アークロードは巨人王の呪いを受けたという噂が立ち。
死ぬまで一人で生きることとなった。
結婚もしたが結婚した直後に妻の家の財産が消え、親族全ての金が家から消えた。
英雄アークロードと言う英雄譚は歴史に刻んだものの伝記が世に出ることは無かったという。
俺の元々持ってた、金もアークロードやその近辺で奪った金も全て俺がとある場所へ隠した。
あ~そういういやいろんな種蒔いたのに収穫してねぇな~。
魔道科と賢者従士科を一緒にやるので忙しかったし、戦争後に色々考えてたのに死んじゃったからなぁ。
一度目も二度目も15歳で人生を終えて魂生活が始まった。
アークロードが死ぬまでに30年以上掛かったために、聖王歴1450年を過ぎていた。
読んで下さいまして誠にありがとうございます
この作品は変なので細かい事は気にしないことをオススメします
今回駆け足で進みましたが魔法の設定を固めたくて
魔法は魔力があればイメージと工夫で色々出来るというのと伝えたくて始めた話なのである意味最初の予定は終わらせた感じです、
でもまだ終わりませんのでよろしくお願いします
それと感想で有難いご指摘を頂きましたので
今、全部の話を読みやすく出来るように考えながら直してます
良ければ今一度、読み返していただいて、ダメな部分を教えていただけるとありがたいです。
ですが、頭のおかしい作者の個性は直せませんので、申し訳ありませんがそこだけはご理解をお願いします